私的評価
Amazonプライムビデオで探して、面白そうなので観てみたドラマ。基本的には海外物の映画やドラマは吹替版で観ますが、字幕版しかなかったので字幕版で鑑賞。
字幕版は、画面から目が離せないので、やはりちょっと面倒くさいです。Amazonプライムビデオでの視聴です。
非常に面白かったドラマでした。少しづつ核心に迫っていくドラマ、観始めたら最終話まで観るしかありません。
★★★★☆
作品概要
監督はトム・シャンクランド。脚本はハリー・ウィリアムズ、ジャック・ウィリアムズの兄弟。
製作総指揮はウィロウ・グリルス、チャールズ・パティンソン、エレイン・パイクほか。
主演はジェームズ・ネスビット、その他出演者にはチェッキー・カリョ、フランシス・オコナーほか。
英BBCと米国の合作で、フランスを舞台としたミステリードラマです。全8話。
作品の紹介・あらすじ
第72回ゴールデングローブ賞にノミネートされた本格ミステリー。8年前、旅行先で行方不明となった息子を探し続ける父親がたどり着いた真実とは。
英国BBC(2014年10~12月放送)と米国の合作で、全編ベルギーでロケを敢行。2015年開催の第72回ゴールデングローブ賞TVの部でミニシリーズ/TVムービー作品賞にノミネートされ、第2シーズンの製作もされた本格ミステリー。
8年前、フランスで幼い息子が行方不明になった父親トニーは、ある手掛かりを得て再びフランスへ向かい、調査を開始する。8年前と現在が交互に描かれることで、ドラマ性の高いサスペンス世界が繰り広げられるとともに、事件に関わる人物たちのそれぞれの思惑や過去の事実が少しずつ明かされ、衝撃のラストへとつながっていく……。少年はなぜ失踪(ミッシング)したのか。果たして彼は生きているのか?
出演はトニー役に映画「ホビット」3部作(ボフール役)やTV「ジキル」「脳外科医モンロー」のジェームズ・ネスビット、トニーの妻エミリー役に映画『A.I.』のフランシス・オコナー。国際派スターのチェッキー・カリョがジュリアン警部役で共演。
WOWOW(ザ・ミッシング~消えた少年~)
感想・その他
物語は、2006年にフランスの小さな町でひとりの少年が忽然と姿を消した事件を軸に展開していきます。ストーリーは過去(2006年)と現在(2014年)を交互に行き来しながら進行する構成になっており、最初は少し混乱するかもしれません。ただ、登場人物たちの髪型や表情、服装の変化などがうまくヒントとして使われていて、それを意識して観ていれば時系列の把握はそれほど難しくありません。最初は誘拐事件、あるいは人身売買か――と想像されるようなミステリアスな始まり方をしますが、物語が進むにつれ、真相は想像していたよりも「ありがち」で、そして「やりきれない」ものだったと明らかになります。事件の背後にあるのは、ほんの小さなすれ違いや油断、あるいは偶然。ほんの些細な出来事が重なり合った結果、少年は行方不明になり、そしてそのまま戻ることのない存在になってしまうのです。
「ひょっとすると、あのとき、あの選択をしていれば……」と、親であれば誰もが感じるであろう後悔と苦しみ。それを体現しているのが、少年の父親トニーです。彼は事件後もずっと、まるで亡霊のようにヨレヨレの姿で息子を探し続けます。妻とは心がすれ違い、家庭は崩壊。すべてを投げ打ってでも真実を突き止めようとする彼の姿は、痛々しいほどに切実で、観ていて胸が締め付けられます。
さらにやるせないのは、事件に関わった人物たちの多くが、何の裁きも受けずに逃げ延びていたり、死んでしまっていたりすることです。責任の所在が曖昧なまま、時間だけが過ぎていく。物語は決して“真相解明&大団円”という分かりやすい結末にはなりません。むしろ、観終わった後に心に重く残るモヤモヤとした感情、やり場のない虚しさこそが、このドラマのリアリティであり、テーマそのものなのかもしれません。
ラストシーンで、遠くの街角で似た背格好の少年を見かけた父親が、追いかけるように歩き出すシーン。それは幻影か現実かも分からない。でも、あの瞬間こそが彼の人生の延長線にある“希望”なのだと、切なく感じました。
最後にひとこと。主人公トニーを演じたジェームズ・ネスビットについて。初めて見た時、「あれ? ジョージ・クルーニーにちょっと似てる?」と思ったんですが、よく見ると……なんとも言えない残念さを感じさせる“惜しいジョージ・クルーニー”という印象(笑)。でもその“ちょっとくたびれた雰囲気”が、事件を追い続けて心も身体もボロボロになった父親という役には実にマッチしていて、妙に説得力がある。いいキャスティングだったと思います。
重いテーマを扱った全8話のドラマですが、引き込まれる構成と丁寧な人間描写で、ただのサスペンスでは終わらない“余韻のある作品”でした。観る人の心にじわりと残る、そんなドラマです。
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