今村翔吾著『五葉のまつり』を読んだ感想

2025年4月15日火曜日

小説 読書

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私的評価

今村翔吾著『五葉のまつり』を図書館で借りて読みました。

石田三成を除いて、私にはあまり馴染みのなかった豊臣政権の五奉行――増田長盛、浅野長政、長束正家、前田玄以。その五奉行が活躍する小説ということで、非常に期待して読み始めました。決して面白くないわけではありませんが、私には少し退屈に感じられる作品でした。

豊臣政権下の政治の裏側を描いた歴史小説でありながら、「仕事の進め方」という観点では現代のビジネスにも通じるものがあり、歴史小説に馴染みのない方でも楽しめる作品ではないでしょうか。

★★★☆☆

『五葉のまつり』とは

今村翔吾著、2024年10月に新潮社から発刊されました。豊臣秀吉の政権を支えた五奉行(石田三成、増田長盛、浅野長政、長束正家、前田玄以)を中心に描いた歴史小説です。彼らが取り組んだ五つの大事業が、それぞれの視点から描いています。

出版社内容情報
戦だけが闘いの場じゃない。命と矜持を賭けた任務への挑戦が今、始まる。刀狩り、太閤検地、醍醐の花見など、豊臣秀吉が仕掛けた大事業を縁の下で支えたのは、尊敬と嫉妬のまなざしを浴びながら五奉行と呼ばれるようになった男たち。ぶつかることも多いが互いの才は認め、敵対勢力の横槍をはねのけ、力を合わせて難事に立ち向かう。『八本目の槍』に次ぐ、石田三成をめぐる歴史お仕事傑作巨篇!

内容説明
北野大茶会、刀狩り、太閤検地、瓜畑遊び、そして醍醐の花見。豊臣秀吉が仕掛けた公私に亘る大事業を縁の下で支え、尊敬と嫉妬のまなざしを浴びながらいつしか五奉行と呼ばれるようになった男たち―石田三成、増田長盛、浅野長政、長束正家、前田玄以。出自も思想も異なり、ぶつかることも多いが互いの才は認め、千利休、伊達政宗、徳川家康らの横槍をはねのけ、力を合わせて難事に立ち向かう。すべては天下安寧、そして己を拾ってくれた殿下のため…。今村翔吾が贈る、歴史お仕事傑作巨編。

著者等紹介
今村翔吾[イマムラショウゴ]
1984年、京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。同作で歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。2018年「童神」(刊行時『童の神』と改題)で角川春樹小説賞を受賞。2020年『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞、『じんかん』で山田風太郎賞、2021年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで吉川英治文庫賞、2022年『塞王の楯』で直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

紀伊國屋書店

感想・その他

あの豊臣秀吉に見出され、その政権を支えた五奉行の面々。彼らがいかにして頭角を現し、信頼を勝ち得ていったのか。その背景には、単なる実務能力だけでなく、強烈な個性や才覚があったことは想像に難くありません。中でも石田三成の名は広く知られ、しばしば「豊臣政権の頭脳」として語られますが、他の四奉行――前田玄以、増田長盛、長束正家、浅野長政――については、私自身も当初、それほど関心を持っていませんでした。

そんなときに出会ったのが、五奉行それぞれの視点から彼らの生き様を描いた一冊の小説でした。この作品は、単なる歴史解説ではなく、彼らの内面や葛藤、秀吉との出会い、そして政権中枢に取り立てられるまでの過程を生き生きと描いており、読んでいるうちに自然と惹き込まれていきました。とくに、華やかな戦場ではなく、政の舞台で力を発揮した彼らの姿には、これまでの「戦国武将像」とは一線を画す新鮮さがありました。

ただ、この小説では、彼らの活躍が秀吉の存命中にとどまり、その後の運命にはほとんど触れられていませんでした。むしろ、物語の終わりが、秀吉の死と共に静かに幕を下ろす印象を受けたのです。そこで私は、自然と疑問を抱きました。「秀吉亡き後、彼らはどうなったのだろう?」と。

調べてみると、五奉行それぞれの末路はまさに波乱に満ちたものでした。関ヶ原の戦いでは石田三成とともに命を落とした者もいれば、新たに興った徳川政権のもとで生き延びた者、あるいは出家の後に自ら命を絶った者もいました。豊臣政権の一翼を担ったとはいえ、その後の道は決して一様ではなく、まさに「歴史に翻弄された男たち」の姿がそこにはありました。

その中でも、私がとりわけ心惹かれたのが長束正家という人物です。彼は「もっとも武芸に秀でていなかった」と書かれていましたが、逆に言えば、それだけ文官としての手腕を買われていた証でもあります。関ヶ原では石田三成と運命を共にし、壮絶な最期を遂げました。知れば知るほど、彼の忠誠心や冷静な判断力、そして不器用なまでの一途さが胸に響き、今では私の中で「好きな戦国武将」のひとりとなっています。



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1964年生まれ。糖尿病を患ってから、自転車と歩くことを趣味にしています。毎日クスリ飲んでます。

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