私的評価
映画『イップ・マン外伝 マスターZ』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
先日観た『イップ・マン 完結』のブログ記事を書いていて知ったこの映画。早速観てみましたが、『イップ・マン』シリーズ同様に楽しめました。しかし、ストーリー的には『イップ・マン』同様にワンパターンです。これは『イップ・マン』に限らず、私が観てきた香港映画すべてに言えることかもしれません。日本人や西洋人が悪役で、虐げられた香港人(中国人)が最後にはそれら悪役を打ちのめすという、このパターンです。まあ、清朝後期からの欧米諸国(日本を含む)の侵略の歴史を考えれば、それも仕方ないところでしょう。
主演のマックス・チャンは、『イップ・マン 継承』では人気のでる役どころだったので、彼を主人公にしたこの映画が出てくるのも頷けます。ぜひ『イップ・マン 継承』を観てから、この映画を観てください。
★★★☆☆
作品概要
監督はユエン・ウーピン。脚本はエドモンド・ウォンほか。
製作はレイモンド・ウォン。
主演はマックス・チャン、その他出演者にデイヴ・バウティスタ、ミシェル・ヨー、リウ・イエンほか。
2018年の香港映画です。実在の武術家葉問(イップ・マン)を主人公とする人気シリーズ三作目『イップ・マン 継承』の登場人物で、詠春拳の正統継承者を争った張天志(チョン・ティンチ)のその後を描いたスピンオフ映画です。
作品の紹介・あらすじ
解説
『イップ・マン 継承』でイップ・マン相手に激闘を繰り広げたチョン・ティンチを主人公にした、『イップ・マン』シリーズの番外編。武術界を去った彼が、ヘロイン密売に手を染める組織の幹部に立ち向かう。メガホンを取るのは『ドランク・モンキー/酔拳』などのユエン・ウーピン。『ドラゴン×マッハ!』のマックス・チャンとトニー・ジャー、『ブッシュウィック -武装都市-』などのデイヴ・バウティスタらが出演する。
あらすじ
1960年代の香港。詠春拳の正統をめぐる戦いでイップ・マンに破れたチョン・ティンチ(マックス・チャン)は武道家を辞め、小さな食料品店を営みながら息子フォンと一緒に暮らしていた。ある日ティンチは、犯罪組織の幹部キット(ケビン・チェン)の手下に追われていたナイトクラブの歌手ジュリア(リウ・イエン)らを救う。手下を打ちのめしたティンチは、キットの怒りを買う。住居を兼ねた店に火炎瓶を投げ込まれてフォンが火傷を負わされ、さらに父子は殺し屋(トニー・ジャー)に襲われる。
シネマトゥデイ
感想・その他
『イップ・マン』シリーズにおいては、最初の「序章」では敵役が日本人として描かれていましたが、それ以降の三作と今回の映画では、敵役として西洋人が登場しています。 個人的には、一作目で日本人役の池内博之さん演じるキャラクターがイップ・マンに敗れるシーンは、見ていてあまり気持ちの良いものではありませんでした。しかし、敵が西洋人になると話の受け止め方が一変し、自然とイップ・マンを応援する気持ちが強くなってしまう自分に気づきました。これは、どこかで文化や民族の立場に感情が左右されているのかもしれません。もっと踏み込んで考えると、映画『ブラックホーク・ダウン』でも似たような感覚があります。あの作品では、ソマリアの民衆がまるで虫けらのように大量に殺されても、観ている側が特に感情を揺さぶられることは少ないのに、アメリカ兵士が傷ついたり死んだりすると胸が痛むのは否めません。この現象は、視点や物語の語り手が誰であるかによって、感情移入の対象や倫理的な評価が大きく変わることを示しているのだと思います。
もしあの『ブラックホーク・ダウン』の物語を、ソマリア人側の視点から描いた映画があったら、きっとまったく異なる印象を受けるでしょう。そこでは被害者としての彼らの苦しみや葛藤が前面に押し出され、我々が普段抱くイメージとはまるで違った物語が展開されるはずです。
そんなことを考えながら、この映画を観ていました。映像の裏に潜む文化的・歴史的な背景、そして観客としての自分自身の感情の動きに目を向けることで、映画体験がより深く、豊かなものになるのだと改めて感じました。
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