私的評価
Amazonプライムオリジナルドラマ『弁護士ビリー・マクブライド』ファイナルシーズンを観ました。ファイナルシーズンは全8話、Amazonプライムビデオでの視聴です。
この作品は、Amazonオリジナルドラマの中でも個人的に特に気に入っていた一本で、同じくお気に入りだった『BOSCH/ボッシュ』と並んで、いや、それ以上に思い入れのあるドラマでした。『BOSCH/ボッシュ』がシーズン7で幕を閉じたのに続き、この『ビリー・マクブライド』もファイナルシーズンをもって完結。どちらも“長く続いて欲しかったドラマ”であるだけに、寂しさを感じつつも、完走できたことに感謝したい気持ちです。
特に印象に残ったのは、やはりシーズン1とファイナルシーズン。初期の勢いと、最終章ならではの締めくくりの重み。ビリー・マクブライドというキャラクターの魅力、そして彼を取り巻く事件や人間模様の描き方が秀逸でした。ストーリーとしては、どこかドラマ『半沢直樹』を彷彿とさせるところもあります。理不尽に押しつぶされそうになりながらも、主人公が耐えに耐え、最後には一発逆転で全てをひっくり返す――そんな展開がやはり胸を熱くさせます。
骨太な社会派ドラマでありながら、エンターテインメントとしても高水準。重厚なテーマを扱いながらも、ビリー・ボブ・ソーントンの軽妙な演技が作品全体をしなやかに支えており、ラストまでしっかりと魅せてくれました。終わってしまったのは本当に残念ですが、良質なドラマに出会えたことに感謝したいと思います。
★★★★★
作品概要
監督はビリー・ボブ・ソーントン、ローレンス・トリリング、デレク・ヨハンセン。製作はローレンス・トリリング、ガイヤー・コジンスキー、ジェニファー・エイムズほか。
出演はビリー・ボブ・ソーントン、ニナ・アリアンダ、タニア・レイモンド、ブルース・ダーンほか。
『弁護士ビリー・マクブライド』(原題:Goliath)は、Amazonビデオによるアメリカの弁護士テレビドラマシリーズです。ビリー・ボブ・ソーントンが主演を務めます。ファイナルシーズンは2021年9月に放送されました。
作品の紹介・あらすじ
サンフランシスコを舞台とし、ビリーは巨大な製薬会社を相手に薬害訴訟を闘う。パティは大手弁護士事務所マーゴリス&トゥルーに勤め、オピオイド系の鎮痛剤トリマドンの強い依存性をめぐって巨大製薬会社ザックス社、ティリンジャー社、ラッセル社相手の訴訟を扱う。事務所の共同創業者の一人で、娘を依存症で失ったトム・トゥルーはザックス社を憎んで追及するが、何者かに襲撃されて失踪する。銃傷から回復したビリーが、亡き創業者の娘でもう一人の代表であるサム・マーゴリスに呼ばれて代理となりチャイナタウンに滞在する。近所に住むフランクと知り合いになる。ビリーはしばしば西部劇の街ハドリービル、父、そして娘デニスの幻を見る。
難病を患うサムは事務所の負債に悩み、密かに3社と通じて和解金と顧問契約を得る代わりに、裁判を回避して3社の不利な情報を隠蔽しようとする。ビリーは同僚のロバート・ベッテンコートやパティらとともに交渉し、やすやすと多額の和解金を得る。パティは望み通り事務所のエクィティ・パートナーに選ばれる。失踪中のトムはビリーに会い、25年前にザックス社が、クーパーマン・マクブライド時代のビリーの顧客であったため、利益相反によりザックス社を裁判で追及できないことを知らせる。サムがビリーを罠にかけるため、友人であるパティを雇ったことが分かる。その後トムはロバートにメッセージを残している間に、襲われて殺される。
ザックス社の経営者ジョージは、かつて会社から追放した兄で創業者のフランクの娘で、開発部門を率いるケイトに、製品の強い依存性について警告されるも無視する。ケイトは父親代わりだったジョージへの愛と良心のはざまで悩み、ビリーに依存性のことを教える。ジョージはケイトを解雇する。
ビリーは罠にかけられたことを知る。法廷では突然に和解の無効を主張し、事務所を解雇される。聴聞会にかけられて弁護士資格を停止されるが、25年前にザックス社に自分が欺かれていたと主張する。州司法長官はこれを聞き、和解を破棄して裁判を続行するようサムに求める。ブリタニ―がシカゴからサンフランシスコにやって来てビリーを助ける。ビリーはドナルド・クーパーマンに頼み、25年前のデータを得る。パティとロバートはビリーの意向を受け、サムを無視して和解を破棄し、ケイトを内部告発者として裁判を進める。サムはケイトの居場所をジョージにもらす。ジョージは自殺を図ったケイトを精神病棟に入院させ、ビリーを殺そうとする。パティはケイトの代わりにフランクを公判の証人に召喚するが、サムが同席して妨害し、ペトックはフランクの精神病歴を攻撃して信用を貶める。
ビリーはサムにトムの最後のメッセージを聞かせて良心に訴える。回心したサムは法廷で証人のジョージを追及し、依存性を知りながら販売したことを認めさせる。3社の弁護士グリフィン・ペトックはビリーを証人として呼び、サムと話し合いザックス社追及に関わったことで審理無効を求める。サムに代わってパティがビリーに反対尋問を行い、サムが巨額の代償と引き換えに、裁判を妨害していたことを聞きだす。ザックス社は敗訴しさらに巨額の賠償金が課せられるが、サムも司法妨害で罪に問われる見込みとなる。ビリーは疎遠だった娘デニスに再会する。
Wikipedia(弁護士ビリー・マクブライド)
感想・その他
主役ビリー・マクブライドを演じているのは、ビリー・ボブ・ソーントン。1955年生まれで、2021年時点では66歳になります。 個人的に彼の印象が強く残っているのは、ドラマ『FARGO/ファーゴ』(シーズン1)で演じた冷酷な殺し屋役。静かな口調と不気味な存在感が画面越しにもじわじわと迫ってきて、忘れがたいキャラクターでした。映画では『シンプル・プラン』にも出演していたとのことですが、正直、私の記憶には残っていません。とはいえ、演技力には定評があり、数々の映画・ドラマで独特の存在感を放っています。

そんなビリー・ボブ・ソーントンですが、私生活でもなかなかの話題性を持つ人物。なんと結婚歴は6回。その5人目の妻は、あのアンジェリーナ・ジョリー。そう、彼女がブラッド・ピットと結婚する前の“元夫”にあたるのがビリー・ボブなのです。さらに驚くのは、そのアンジェリーナ・ジョリーの前には、結婚こそしなかったものの、婚約していたとされる相手が女優ローラ・ダーンだったこと。ローラ・ダーンといえば、『ジュラシック・パーク』シリーズでおなじみの実力派女優。そしてその父親が、名優ブルース・ダーン。実はこのブルース・ダーン、ビリー・ボブ・ソーントンと共演しており、本作でも重要な役どころを演じています。
元婚約者の父親と元恋人が同じ映画で共演する――日本のドラマならちょっとした修羅場が起きそうなシチュエーションですが、そこはアメリカ。過去の私情を仕事に持ち込まないプロ意識なのか、あるいは文化の違いなのか。「うちの娘を弄びやがって」なんていう遺恨は感じさせない、大人の距離感がかっこよくもあり、ちょっと不思議でもあります。
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