私的評価
映画『カットバンク』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
監督のマット・シャクマンは、ドラマ版「FARGO/ファーゴ」の監督でもあり、映画はこれが初めての監督作品。どうりで雰囲気が「FARGO/ファーゴ」そのものです。
★★★★☆
作品概要
監督はマット・シャクマン。脚本はロベルト・パティーノ。
製作はローラ・リスター。
出演はジョン・マルコビッチ、リアム・ヘムズワースほか。
2014年制作のアメリカ映画です。主演は「インデペンデンス・デイ リサージェンス」に出演のリアム・ヘムズワースです。ジョン・マルコビッチ、ビリー・ボブ・ソーントン共演によるクライムサスペンス映画です。監督は「FARGO ファーゴ」「リベンジ」など数々のテレビドラマの演出を手がけてきたマット・シャックマンです。
作品の紹介・あらすじ
解説・あらすじ
「インデペンデンス・デイ リサージェンス」のリアム・ヘムズワース主演、ジョン・マルコビッチ、ビリー・ボブ・ソーントン共演によるクライムサスペンス。モンタナ州の平和な田舎町カットバンクで、郵便配達人の男性ジョージーが射殺された。現場の近くで恋人の動画を撮影していた青年ドウェインのカメラに犯行の様子が映り込むが、ジョージーの死体は郵便配達車と共にどこかへ消えてしまう。実はこの事件は、病気の父を抱えて金に困ったドウェインとジョージーが情報提供の報奨金目当てで企てた偽装殺人だった。しかし事件に異様に執着する変わり者ダービーが動き出したことから、事態は思わぬ展開を見せる。「FARGO ファーゴ」「リベンジ」など数々のテレビドラマの演出を手がけてきたマット・シャックマンがメガホンをとった。
映画.com
感想・その他
舞台はモンタナ州の寒々しい田舎町・カットバンク。冬枯れの風景が広がるこの町で、ある日突然、殺人事件が発生します。物語は、その衝撃的なシーンから幕を開けます。偶然にも事件現場に居合わせた若いカップルが、殺人の一部始終をビデオカメラで捉えていたのです。町の人々も警察も驚きと動揺を隠せない中、捜査が進められていきます。しかし、事態はそう単純ではありませんでした。実はこの“殺人事件”は、若いカップルの男・ドウェインと、犠牲者と思われていた郵便配達人・ジョージーによる巧妙な偽装だったのです。目的は、町が提供する「殺人事件の情報提供者への報奨金」を手に入れること。行き詰まった人生を抜け出したい若者と、引退を目前に人生を変えたい老人の利害が一致した、ある意味で共謀劇とも言える計画でした。
計画は順調に進んでいるかに見えましたが、思わぬ伏兵が現れます。それが町の“変わり者”として知られるダービーという男。彼は人付き合いを避け、どこか得体の知れない雰囲気を持った人物で、郵便配達車の中にあった“自分宛の荷物”が消えたことに異様な執着を見せ始めます。
このダービーという人物、はじめは単なる風変わりな住人かと思わせておいて、物語が進むにつれ次第に恐ろしい側面が浮き彫りになっていきます。彼にとっては偽装殺人がどうであろうと関係ない。ただひたすら「荷物を取り戻す」ことだけが目的。その執念が、次第に歯車を狂わせていき、結果として偽装だったはずの事件が、本物の殺人事件へと変貌していくのです。
そしてその“荷物”とは、一見なんの変哲もない古びたカバン。しかし、そのカバンにどれほどの価値があり、なぜダービーがそれを取り戻すために殺人まで犯すのかは、終盤に明かされる驚きの展開です。視聴者は、ただの物体であるはずのカバンが持つ“使い方”に、ぞっとするような不気味さと狂気を感じることでしょう。
この映画は、サスペンススリラーであると同時に、田舎町に生きる人々の閉塞感や社会的な問題も描き出しています。ドウェインと恋人のカサンドラは、親の介護や将来の不安、夢の実現のために何としてでも町を出たいと願っています。その気持ちは痛いほど伝わってきます。人生に出口が見えない若者が一か八かの選択をしてしまうのも、このような背景を知ると決して荒唐無稽な話には思えません。
最終的に、思いがけない形で事態が収束し、警察官の粋な計らいによって若い二人はようやくこの町を後にすることができます。ひとまず“めでたし”のように思える結末ではありますが、物語の奥底には「地方の過疎化」「介護問題」「夢の持てない若者」など、現代の社会問題が静かに横たわっているのです。
映画『カットバンク』は、表面上はスリル満点のサスペンスでありながら、その裏に潜む人間の業や社会の歪みをあぶり出す、異色の一作です。

さて、このカットバンクという町は、モンタナ州の北部にあります。Googleストリートビューで確認すると、ほんとにアメリカの田舎町って感じです。
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