私的評価
映画『湿地』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
この映画の魅力は、捜査を進める中で徐々に明らかになる、過去の過ちが引き起こした悲劇です。その展開は非常にミステリアスで、観ているこちらも次第に引き込まれていきます。人間関係や事件の背景を考えさせられる場面も多く、単なるサスペンスにとどまらない深みがあります。
映画のラストでは、最初に映し出された場面とのつながりが明かされ、全体が一本の線で結ばれる構成になっています。この仕掛けには思わず感心しました。ただ、全体的なテンポや演出の部分でやや物足りなさを感じたため、評価としては星三つといったところです。それでも考えさせられるテーマ性は十分で、一度観る価値はある映画だと思います。
★★★☆☆
作品概要
監督・脚本はバルタザール・コルマウクル。原作はアーナルデュル・インドリダソンの2002年の同名作『湿地』(原題:Mýrin)です。
出演はイングヴァール・E・シーグルソンほか。
2006年制作のアイスランド・デンマーク・ドイツ合作映画です。
監督は『2ガンズ』『エベレスト 3D』『ハードラッシュ』のバルタザール・コルマウクルで、脚本も手掛けています。
作品の紹介・あらすじ
解説
それはありふれた殺人事件だと思われていた…。被害者の部屋に残された1枚の写真から明らかになる衝撃の真実とは! ?一見ありふれた老人の殺害事件。しかし被害者の部屋に残された1枚の写真から、事件は意外な方向に進展していく…。付近で起こったレイプ事件の聞き込み捜査の中、事件に関連すると考えられた30年前に死んだ少女の死体を掘り起し検死したところ、死体には脳がないことが判明、一体誰が何の目的で脳を取り出したのか?そしてその脳の行方は…。
あらすじ
この地に眠る、脳のない死体の少女。10月のアイスランド・レイキャヴィク。北の湿地にあるアパートで老人の死体が発見された。エーレンデュル警部が現場に向かうと、強盗の痕跡は無く、顔見知りの人物による突発的な殺人事件と見られた。しかし現場に残された3つのメッセージを元に捜査を進める内に、次第に明らかになる老人の隠された過去。それは、小さな町中を巻き込む一大スキャンダルと、ある一族が抱える哀しくも怖ろしい運命に辿り着くのだった…。
シネマトゥデイ
感想・その他
この映画の舞台であるアイスランドってどんな国? よく耳にする国名ではありますが、恥ずかしながら「北欧の国だよね」ということしか答えられませんでした。
少し調べてみると、アイスランドは北大西洋上に位置し、首都はレイキャヴィク。面積は北海道と四国を合わせたくらいですが、人口はわずか35万人しかいません。ちなみに名古屋の人口は約200万人ですから、いかに人口密度が低いかが分かります。映画の画面に映るどんよりとした鉛色の景色は、まさにその広大で寒々しい国の雰囲気を反映しており、こちらまで寒さを感じるようでした。
私自身、ローラー台に乗りながら視聴したので、最初のうちは状況が把握できず、登場人物も誰が誰だかさっぱり分かりませんでした。顔と役柄が頭に入らず、途中で観るのを諦めそうになりましたが、我慢して観続けると、後半になってようやくストーリーがぼんやりと見えてきて、面白さを感じ始めました。それでも、腑に落ちない部分が多く、後でネットで確認してようやく理解できるところもありました。
この映画は、単なる娯楽作品ではなく、非常に重く、考えさせられる内容です。軽く観るのではなく、じっくり真剣に向き合うべき作品だと思います。場合によっては2回ほど観て、細部まで理解することをおすすめします。
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