私的評価
ジョン・クラシンスキー主演、映画『13時間ベンガジの秘密の兵士』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
どこかで「ムムッ」と引っかかるものを感じながら観始めたのですが、その違和感は終盤まで続きました。そしてクライマックスの場面で、「ああ、やっぱり!」と腑に落ちました。そう、この映画、以前にも観ていたのです。クライマックスのシーンだけは鮮明に記憶に残っていたものの、それ以外の場面はぼんやりとしか覚えておらず、「あ、これ観たことある」と気づくまでに1時間半もかかってしまいました。
銃撃戦はもちろん、車を使った脱出(銃撃にさらされながら基地へ戻る)シーンも多く、少人数で多勢に立ち向かうという構図は、まるで『ブラックホーク・ダウン』の縮小版を観ているようでした。
この映画は、2012年9月11日にリビア・ベンガジで実際に起きたアメリカ領事館襲撃事件を基にしています。アメリカ側では大使を含む4人が犠牲となりましたが、リビアの武装集団の死者はその10倍以上のように映画を観てて感じました。虫けらのように次々と殺されていく武装集団の描写には、「なんだかなぁ…」という気持ちにもなりました。とはいえ、先に手を出したのは彼らであり、非は武装集団側にあるのも事実です。
ただ、作中には亡くなった武装集団の家族が遺体を前にして涙するシーンもあり、彼らもまた一人の人間として描かれていた点には、ある種の配慮を感じました。
★★★☆☆
作品概要
監督はマイケル・ベイ。脚本は チャック・ホーガン。
原作はミッチェル・ザッコフの「13時間」。 製作はデン・ニコルズ、アーウィン・ストフ、マイケル・ベイ。 主演はジョン・クラシンスキー、その他出演者にはジェームズ・バッジ・デール、パブロ・シュレイバー、デヴィッド・デンマン、マックス・マーティーニほか。
2016年製作のアメリカの戦争映画です。2012年に実際に起きた、アメリカ在外公館襲撃事件を題材としたミッチェル・ザッコフの書籍『13 Hours: The Inside Account of What Really Happened in Benghazi』を原作とした作品です、
作品の紹介・あらすじ
2012年、リビアのベンガジは世界で最も危険な場所の一つに指定されていた。米国はベンガジにCIAが秘密裏に設置しているアネックス(The Annex)だけを残し、民間軍事請負業者のチーム「GRS(グローバル・レスポンス・スタッフ)」がCIA職員を保護している。CIAチーフのボブはGRSの行動を制約する。ジャックは友人のロンがチーフを務めるアネックスのGRSにアメリカから赴任してくる。
各国は過激派の攻撃を恐れ、多くはベンガジから職員を退去させている。しかし、米国のクリストファー・スティーブンス大使らが市内に赴任してくる。大使館と比べ警備の手薄な領事館に滞在し、わずか5人の護衛に加え、地元のリビア人民兵を雇う。
アメリカ同時多発テロ事件から11年目の夜、アンサール・アル=シャリーアの武装集団によって在外公館が攻撃されてしまう。GRSチームは大使救出を志願するが、アネックスとGRSは存在を秘匿されており、ボブは一貫して待機を強く命じる。ついに領事館は制圧・放火され、リビア人民兵は逃げだし、セーフルームに隠れていた大使らまでにも脅威が迫る。我慢の限界に達したGRSチームは命令に背き領事館へ向かう。だがGRSチームは大使を見つけられずにアネックスに退却し、追ってきた敵はアネックスに迫る。
CIAは機密文書を破壊し、GRSチームはアネックスに立てこもり、助けを求める。トリポリからGRSの援護が到着して退去準備を始めるが、敵は迫撃砲攻撃を始めてロンは死に多くが負傷する。GRSの味方のリビア人部隊"リビアの盾"が到着してアネックスは守られる。だが大使は死亡している。
生存者たちと4人の遺体は帰国する。GRSの生存者たちは叙勲され、引退して家族と暮らす。
Wikipedia(13時間 ベンガジの秘密の兵士)
感想・その他
この映画で活躍するのが、GRS(グローバル・レスポンス・スタッフ)という組織です。GRSは、アメリカ政府と契約を結ぶ民間の軍事請負業者であり、特に紛争地帯や政情不安定な地域において活動するCIA職員や外交官の警護を任務としています。いわば、「影の護衛部隊」とも呼べる存在で、その活動は極めて危険かつ過酷です。GRSのメンバーは、主に米軍の特殊部隊──たとえばネイビーシールズ、グリーンベレー、デルタフォースなど──を退役した兵士たちで構成されており、その高い戦闘能力と現場での判断力が求められます。しかし、彼らは正規の軍人ではなく、あくまで非正規雇用の民間職員という立場にあります。したがって、法的にも政治的にもグレーゾーンに置かれることが多く、その存在自体が長らく一般には知られていませんでした。
よくスパイ映画に登場する、情報を巡って暗躍し、銃撃戦や暗殺を繰り返す“闇のエージェント”のようなキャラクターとは異なり、GRSは攻撃ではなく防衛、特に“人命の保護”を専門とする組織です。彼らの任務は、あくまで外交官や政府関係者が無事に任務を遂行し、安全に帰国できるよう支える「盾」としての役割なのです。
そんなGRSの存在が広く知られるきっかけとなったのが、2012年にリビア・ベンガジで発生したアメリカ領事館襲撃事件です。この事件では、在リビア・アメリカ大使クリストファー・スティーブンスを含む4名のアメリカ人が命を落としました。混乱の中で奮闘したGRS隊員たちの実話を元に描かれたのが、この映画です。
主演を務めるのはジョン・クラシンスキー。彼といえば、私にとってはやはりテレビドラマ『CIA分析官 ジャック・ライアン』の印象が強いです。このシリーズは全4シーズンにわたりAmazonで配信され、CIAの情報戦や国際的な陰謀と戦う主人公の姿をスリリングに描いています。クラシンスキーは、知性と行動力を兼ね備えたキャラクターを見事に演じており、本作でもその演技力が存分に発揮されています。
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