サボチ・チューローチ主演、映画『ヒットマン:インポッシブル』のあらすじ・ 感想など

2022年1月26日水曜日

映画 映画(洋画)

t f B! P L

私的評価

映画『ヒットマン:インポッシブル』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

なかなか観る機会の少ないハンガリー映画です。物語の中で、「なぜ車椅子の元消防士が凄腕のヒットマンになれたのか?」など、観ている最中に感じるさまざまな疑問が、最後の最後で明かされ、一気にスッキリと腑に落ちる展開になります。ただし、この映画をいわゆる“アクション映画”として期待して観ると、肩透かしを食らうかもしれません。 激しい銃撃戦や派手なカーチェイスといった要素はほとんどなく、むしろ人間ドラマや内面の葛藤を丁寧に描いた作品です。

主人公の車椅子の青年・ゾリカも、とてもリアルな存在感があり、調べてみたところ、彼は実際に車椅子で生活している俳優のようです。その自然な演技や表情からも、本人の経験がにじみ出ており、物語に深みを与えていました。

★★★★☆

作品概要

監督・脚本はアッティラ・ティル。
製作はユディ・スタルタール。
主演はサボチ・チューローチ、その他出演者にゾルタン・フェンベシ、アダム・ファケテ、モーニカ・バルシャイほか。

2016年制作のハンバリー映画で、アカデミー賞外国語映画賞ハンガリー代表作品です。不慮の事故で両足が不自由になった元消防士の、死を覚悟したアツイ戦いを描いたヒットマン・アクションとなります。

作品の紹介・あらすじ

解説
車椅子に乗った凄腕の殺し屋と、彼の仕事を手伝うことになった障害者の青年2人の運命を描いたハンガリー製クライムドラマ。障害者施設で車椅子生活を送る青年ゾリカと親友バルバは、3年前に事故で両足が不自由になった元消防士のルパゾフと知り合う。ルパゾフは自身が障害者であることを利用し、車椅子の殺し屋としてギャングから仕事を請け負っていた。ゾリカとバルバはルパゾフの仕事を手伝うようになるが、秘密が漏れることを案じた組織が、ルパゾフに2人の殺害を命じ……。

映画.com

感想・その他

まずタイトルを見て、「え?コメディ?パロディ?」と首をかしげたくなるようなネーミングですが、実はこれはハンガリー映画で、原題は Tiszta szívvel。直訳すると「清らかな心で」「心を込めて」といった意味合いのようです。英題は Kills on Wheels――こちらは直球で「車椅子の殺し屋」といった感じで、作品の内容をよく捉えていると思います。

どちらのタイトルも、この映画が持つ深いテーマ性や独特なユーモア、そして人間ドラマの要素をうまく反映しているのに対し、邦題の『ヒットマン:インポッシブル』はやや残念な印象を受けました。明らかに『ミッション:インポッシブル』を意識して付けられた感が否めず、作品の本質からはかけ離れているように思います。おそらくDVD向けにインパクトを狙って名付けられたのでしょうが、そのせいで映画そのものを軽く見せてしまっている気がしてなりません。ちなみに日本では劇場未公開。だからこそ、このタイトルが先行してしまうのがもったいないのです。

さて、肝心の中身ですが――これがとても良い映画でした。登場するのは、身体に障害を抱えた若者たち。車椅子に乗った彼らが、ある日「殺し屋」と名乗る謎の男と出会い、思いもよらぬ非日常へと巻き込まれていく、という物語です。一見すると突飛な設定のようですが、その中には障害者たちが抱える葛藤や社会とのズレ、そして内に秘めた夢や怒り、ユーモアが詰まっています。

映画全体には、彼らのやり切れなさや、社会から見放されたような感覚がじわじわと漂っています。しかし決して暗く沈むばかりではありません。主人公たち三人――青年たちとその“殺し屋”の男には、それぞれの弱さと強さがあり、時に笑い、時に衝突しながらも、懸命に日々を生き抜こうとする姿が描かれています。特に、彼らのちょっとしたユーモアや茶目っ気が、この映画に人間らしい温もりを加えています。悲しみや重さの中にも、確かに「生きる力」があるのです。

そしてラスト。それまで散りばめられていた違和感や謎が一気に回収され、「ああ、そうだったんだ!」と膝を打つような種明かしが待っています。真相が明かされた瞬間、観る者は驚きとともに、どこか救われるような感覚に包まれることでしょう。肩の力がふっと抜けるような、やさしい余韻が残るエンディングでした。

外見や立場ではなく、心の中にある“自由”や“希望”をどう持ち続けるか。この映画はそんな問いを、ユニークな切り口と静かな力強さで投げかけてくる作品です。邦題の印象に惑わされず、多くの人に観てほしい一本です。



自己紹介

自分の写真
1964年生まれ。糖尿病を患ってから、自転車と歩くことを趣味にしています。毎日クスリ飲んでます。

このブログを検索

人気の投稿

Amazon

ラベル

自転車関係 映画 映画(洋画) ドラマ ねこ ウォーキング Tommasini 読書 DA17V エブリイ GIOS PULMINO キイ 小径車 リン サイクリング 車関係 DIY メンテナンス 映画(邦画) その他 連続ドラマ(海外物) 自転車 連続ドラマ(日本物) ROAD 自転車小物 ノンフィクション チューブレスレディ 小説 熱田区 MAVIC トレッキング 多度山 用品・モノ WOWOW 知多半島 ローラー台 単発ドラマ 全塗装 MTB 三重県 岐阜県 中川運河 滋賀県 知識 知多四国 アウトドア用品 七里の渡し 堀川 ニコラス・ケイジ 名古屋港 自転車レース 長野県 タイヤ 中川区 FOCUS SPERBUD シーラント剤 北の国から 靴修理 RECARO テレビ番組 リーアム・ニーソン レカロシート 名古屋 工具 旅行 日産ROOX 椅子 浅田次郎 エッセイ ジェイソン・ステイサム 瑞穂区 エーゼット(AZ) ドキュメンタリー ムウ 日常 磯田道史 F1 WRC おとこの料理 クウ デンゼル・ワシントン ビワイチ 中村区 実用書 山陰 山陰海岸ジオパークトレイル 車中泊 キアヌ・リーブス マーク・ウォールバーグ ロングトレイル 余呉湖 役所広司 木曽三川公園 池波正太郎 熊野古道 熱田神宮 特捜部Q 福井県 Amazon TVアニメ ねじめ正一 アニメ映画 グリス ジャック・リーチャー ハイキング 中辺路 名古屋城 愛知県・名古屋市 旧北陸本線 港区 瀬音の森コース 琵琶湖 ALONE 〜孤独のサバイバー〜 PaaGo WORKS eTrex20 お菓子 クルーズ名古屋 スマホ関係 スマートウォッチ ニュース パソコン ポータブル電源 リムテープ レーパン 中区 乗鞍 伊吹山 保険 南区 名古屋市市政資料館 大雲取越え 寸又峡温泉 庄内川 愛知県 昭和区 温見峠 竜ヶ岳 糖尿病 群馬県 能郷白山 豊田市 金華山 高座結御子神社 F1総集編 Prime Video イヤホン ウィンドブレーカー カンパニューロ クロモリバイク サイクリングコース スポーク長 セキュリティアラーム ハンドル パソコン関係 ヘッドライト ラジカセ レカロチェアー ロングロレイル ロードエンド 上高地 京都 千種区 名古屋三大天神 名古屋市科学館 天白区 奈良 家族 富山県 小雲取越え 山形県 常滑市 彦根城 振れ取り 携帯工具 新潟県 旧中山道宿場町 東区 水晶山 猫エサ 猿投山 珍夜特急 知多市 石津御嶽 紀伊勝浦 雑記 電化製品

ブログ アーカイブ

ねこ(キイ・クウ・ムウ)

ねこ(キイ・クウ・ムウ)

SUZUKI EVERY

SUZUKI EVERY

Tommasini Sintesi

Tommasini Sintesi

GIOS PULMINO

GIOS PULMINO

QooQ  Powered by Blogger.