私的評価
映画『ラン・オールナイト』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
非常に分かりやすいストーリーで、あまり構えずに、ぼんやりと観ていても十分楽しめるタイプの作品です。全体としてテンポがよく、シンプルながらも緊張感のある展開が続き、最後まで飽きずに引き込まれました。
とくに印象的だったのが、ヨレヨレだった主人公ジミー(リーアム・ニーソン)が、物語の終盤で元ボスのもとへ討ち入りに行く場面。その姿は、まるでクリント・イーストウッドの名作『許されざる者』のクライマックスを彷彿とさせ、老練な男が最後に見せる静かな覚悟と凄みが胸に迫ってきました。
シンプルながらも力強い、そんな一本でした。
★★★★☆
作品概要
監督はジャウム・コレット=セラ。脚本はブラッド・イングルスビー。
製作はロイ・リー、ブルックリン・ウィーヴァーほか。
主演はリーアム・ニーソン、その他出演者にジョエル・キナマン、コモン、エド・ハリス、ブルース・マッギルほか。
2015年にアメリカで製作されたアクションスリラー映画です。リーアム・ニーソンとジャウム・コレット=セラ監督の組み合わせは、この映画で三作目となります。
作品の紹介・あらすじ
解説
『アンノウン』『フライト・ゲーム』のジャウマ・コレット=セラ監督とリーアム・ニーソンが3度目のタッグを組んだアクション。息子の命を守るため親友でもあるマフィアのボスの息子を殺害してしまったことから、復讐(ふくしゅう)に燃えるボスに命を狙われる殺し屋の逃走劇を描く。組織のボスに名優エド・ハリスがふんするほか、主人公を30年以上も追う刑事を『フルメタル・ジャケット』などのヴィンセント・ドノフリオ、主人公の息子を『ロボコップ』などのジョエル・キナマンが演じる。
あらすじ
ブルックリンのマフィアのもとで暗躍するすご腕の殺し屋ジミー・コンロン(リーアム・ニーソン)は、命を狙われた息子を救うため相手を亡き者にする。ところが相手がマフィアのボスで親友ショーン(エド・ハリス)の息子だったため、復讐(ふくしゅう)に燃えるショーンはジミーと彼の息子を殺すことを宣言。ジミー父子は、組織や金で買われた警察が包囲網を張り巡らせたニューヨークで、迫り来る追手を必死に振り切ろうとするが……。
シネマトゥデイ
感想・その他
親友でもありその忠実な部下でもあったビリーに、最愛の息子を殺されてしまう――そんな複雑で悲劇的な立場のマフィアのボスを演じているのが、エド・ハリスです。年老いたボスの威厳と哀しみ、そして抑えきれない怒りと憎しみを静かな演技の中に込めていて、さすがの存在感を放っていました。私の中で「エド・ハリス」と聞いてまず思い浮かぶのは、映画『レニングラード』で演じた冷酷なドイツの狙撃兵役。あの静かな狂気とプロフェッショナルさが非常に印象的で、今でも脳裏に焼きついています。しかし改めて振り返ってみると、実際に彼が出演している作品で私が観たものは意外と少なく、『アポロ13』くらいしか記憶に残っていないことに気づき、ちょっと驚きました。テレビドラマでは『ウエストワールド』シーズン1の前半を少しだけ観た程度。それなのに、俳優名まできっちり頭に入っていて、「なんでだろう?」と自分でも不思議になるほどです。きっと、あの独特の鋭い目つきと静かな威圧感が、作品の中で強烈に印象を残しているのでしょう。
そして、そのマフィアのボスの腹心を演じるのがブルース・マッギル。この俳優もまた、見た瞬間に「どこかで見たことある!」と思わず唸ってしまいました。というのも、つい最近まで観ていた海外ドラマ『リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線』で、コーサック刑事としてずっと登場していたからです。シーズン1から最終シーズンの7までしっかり観ていたばかりだったので、まさかこんなところで再会するとは思わず、ちょっとした運命のようなものを感じました。
さらに調べてみると、『クリフハンガー』や『パーフェクト・ワールド』『戦火の勇気』といった、90年代の洋画好きなら誰もが一度は目にしているであろう有名作品にも出演していて、実はかなりの実力派・ベテラン俳優だったことが判明。顔を見ればすぐに分かる“あの人”なのに、名前がパッと出てこない…でもどこか安心感がある、そんな俳優のひとりです。
ただし、この映画の中での彼を含め、エド・ハリス率いるマフィアの部下たちはというと――はっきり言って全員が役立たず。誰一人まともに仕事をこなせず、かつての殺し屋ジミー(リーアム・ニーソン)ひとりに次々とやられていく始末。まるで、現代のギャングではなく、古びた芝居小屋のチンピラのような頼りなさで、観ていて「またかよ!」と何度ツッコミを入れたくなるほどでした。もちろん、ブルース・マッギル演じる腹心もその例にもれず、見事に“役立たずチーム”の一員として、派手にやられてくれます。
とはいえ、そんな“情けなさ”も含めて、この映画の魅力の一部。強すぎる老殺し屋リーアム・ニーソンと、それを取り巻く頼りない面々との対比が、物語を引き締め、どこか切なさすら感じさせてくれました。
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