
海上自衛隊が運用する砕氷艦であり、南極観測船としても広く知られている「しらせ」が、2019年10月3日、名古屋港ガーデンふ頭に寄港しました。この艦は、南極地域観測隊の輸送任務を担い、過酷な環境の中を航行することが求められる、いわば“氷の海を切り開く精鋭”です。
寄港当日は、雲ひとつない晴天に恵まれ、抜けるような青空の下、真っ白な船体が静かに港に佇む姿は、まさに威風堂々としたものでした。遠目にも、その存在感は際立っており、近づくにつれてその圧倒的なスケールに、思わず息を呑みました。南極の厳しい自然に立ち向かうための機能美が、無言のうちに力強さを語っているようでした。
5日と6日には一般公開が行われるということで、「これはぜひ見ておきたい」と思い立ち、散歩がてらガーデンふ頭まで足を運びました。日差しはあるものの心地よい秋風が吹き、絶好の見学日和。会場には、小さな子どもを連れた家族連れや、立派な望遠レンズを構えたカメラマン、さらには明らかに艦船マニアと思しき人々の姿もちらほら。普段はなかなか目にすることのできない自衛艦を前に、みな一様に高揚した表情を浮かべていました。
名古屋港ガーデンふ頭といえば、昭和の時代に南極観測の任を担った、2代前の観測船「ふじ」が記念艦として常時係留されている場所でもあります。私も以前、「ふじ」の船内を見学したことがあり、狭い通路や当時の観測設備など、当時の苦労と工夫が感じられる構造に深い感銘を受けた記憶があります。
今回、「ふじ」と「しらせ」が並ぶように停泊している光景を目にしたとき、その進化の歴史が一目瞭然となり、思わず感嘆の声を漏らしました。「ふじ」がまるで模型のように見えてしまうほど、「しらせ」は格段に巨大で、そのスケール感の違いには驚かされました。技術の進歩だけでなく、観測体制や任務内容の変化までもが、その船体の大きさから読み取れるようで、まるで時代を越えた対話がそこにあるようでした。
南極という極限の地で、長い航海と厳しい任務をこなす「しらせ」は、日本の技術と誇りの結晶とも言える存在です。そんな艦を、間近で見学できるまたとない機会に恵まれたことは、まさに幸運でした。普段は遠い世界の出来事のように感じる南極観測も、こうして実際の船を目にすることで、ぐっと現実味を帯びてくるものです。次世代を担う子どもたちにとっても、大きな刺激になったことでしょう。


格納庫にはヘリ2機が格納できるそうです。

救命ボートかな?

艦橋。


この丸みを帯びた船主で氷の上に乗りかかり、船の重みで氷を砕いて進みます。
また、下にある穴からは水が出て、氷上の雪を解かすようです。

日章旗。

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