
静岡などに甚大な被害をもたらした台風15号が過ぎ去った、2022年のシルバーウィーク後半。その最後の日、久しぶりに晴れ渡った秋空のもと、岐阜県と福井県の県境に位置する冠山(かんむりやま)をトレッキングしてきました。
数日前までの大雨が嘘のような快晴で、空気は澄み渡り、山全体が洗われたように清々しく感じられました。台風一過の影響もあってか、道中の沢の水は勢いがあり、木々の葉はまだ濡れている部分もありましたが、それすらも自然の息吹として感じられる、そんな一日でした。
現在、冠山へのメインルートは「冠山峠」から登る2.3kmほどのコースです。登りは約1時間、下りは45分ほどで往復できる比較的短めのルートながらも、しっかりと登山の楽しさを味わえる道のりとなっています。
道中は整備された登山道が続き、比較的歩きやすいのですが、山頂直下、最後の150メートルは一変して岩場の急登となります。手を使って登る“プチ岩登り”のような場面もあり、登山のスパイスとしてはちょうど良い刺激です。ロープも張ってありますが、年季の入ったものもあるので、体重をかける前に一度しっかりと確認することをおすすめします。
そして、ようやくたどり着いた標高1,256メートルの山頂。期待していた360度の大パノラマは、残念ながらガスがかかっていて真っ白……かと思いきや、時折そのガスが風に流され、切れ間から周囲の山々が幻想的に姿を現すという、逆に印象に残る風景が広がっていました。白山方面や、うっすらと日本海側の山並みも垣間見ることができ、自然の移ろいを間近で感じられる贅沢なひとときとなりました。
静かな山頂には数人の登山者がいて、皆それぞれに思い思いの時間を過ごしていました。私も持ち込んだ食料を食べながら、ゆっくりと流れる時間に身を委ね、山の空気を胸いっぱい吸い込んでリフレッシュ。
登山というと「苦しい」イメージを持つ人も多いかもしれませんが、この冠山は、初心者でも挑戦しやすく、なおかつ“登った感”も得られる、とても魅力的な山だと感じました。
帰り道、登ってくる人たちと何度かすれ違いながら、「お疲れ様です」「頂上ガスってますけど、気持ちいいですよ」といった軽いやり取りが交わされるのも、山ならではの温かさです。
台風の被害が各地に爪痕を残したあとではありましたが、こうして自然とふれあい、身体を動かし、空を見上げることで、日々の喧騒から少し離れて心の整理ができた、そんな一日でした。また違う季節にも登ってみたくなる、素敵な山行でした。

photo by エリオットさん
なんかいい感じの自分(笑)

photo by エリオットさん
ガスっていた頂上。10人ほどが居られるスペースでした。

photo by ranranさん

photo by エリオットさん

photo by ranranさん
山名の由来となっている鋭く尖った冠型の特徴のある山容の冠山。
国道417号線は、冠山峠から岐阜県側と福井県側の数キロに渡って、車両のすれ違いができない狭い峠道となっています。トンネル工事が行われており2023年内の完成が予定され、それにより国道417号線のバイパス化が完了されるようです。また、旧道となる冠山峠道路は廃道にはならないようです。
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