
朝の歯磨きをしていると、大体はここに飛び乗ってくる猫のキイです。洗面台の脇にある窓枠がまるで「いつもの定位置」とでも言うように軽やかに飛び乗り、私の顔をじっと見つめた後は、外の様子を窺います。まるで「今日の外はどんな感じかな?」とでも言っているような眼差し。そんな朝のひとコマが、最近の日課になっています。
窓枠の上に立ったキイは、そこから見える外の景色をじっくりと観察します。通りを歩く人の姿や、風に揺れる木の葉、小鳥のさえずり。どれもが彼女にとっては気になる存在のようで、時折小さく「ンニャ」と声を漏らしながら、耳をピクピクさせています。そして一通りその“パトロール”が済むと、静かに棚から降りて、すっと去っていきます。まるで、使命を果たした警備員のように。
推定年齢5歳になるキイ。人間の年齢に換算すると30代前半、ちょうど脂が乗った、円熟と活力が共存する年頃です。筋肉質で引き締まった体つきは見応えがあり、とりわけその逞しい前脚は、まるでしなやかなバネのよう。普段のんびりしているくせに、いざという時の反射神経には驚かされるばかりです。
その立派な前脚に生えている手根触毛(しゅこんしょくもう)が、風に揺れてふわふわと踊っていました。まるで、雨上がりの空気を感じ取っているかのように。
激しい雨が去ったばかりの朝。少しばかりジメっとした空気が残る2022年5月27日、金曜日。カーテン越しの柔らかな光と、どこか静けさの漂う室内。その中に、キイの気配が確かにあった、そんな朝のひとときでした。
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