私的評価
映画『Mr.ノーバディ』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
映画冒頭のふてぶてしさから、主人公の「ただ者ではない」感がひしひしと伝わってはきましたが、想像以上の危ない男でした。とは言え、狂気的な「危なさ」ではなく、節度ある「危なさ」で、我々視聴者には納得の「危なさ」だと思います。
脚本のデレク・コルスタッドは映画『ジョン・ウィック』シリーズを手掛けており、なるほど同じだなと思わせる単純明快なストーリーですが、こちらの危ない男はとにかく泥臭くて、逆に共感できる主人公となっています。
とにかく楽しめました。とくにバスの中での格闘シーンは何回も観直してしまいました。
★★★★☆
作品概要
監督はイリヤ・ナイシュラー。脚本はデレク・コルスタッド。
製作はケリー・マコーミック、デヴィッド・リーチほか。
主演はボブ・オデンカーク、その他出演者にアレクセイ・セレブリャコフ、クリストファー・ロイドほか。
2021年のアメリカのアクション・スリラー映画です。主演のオデンカークはプロデューサーも務めており、脚本のデレク・コルスタッドは映画『ジョン・ウィック』シリーズを手掛けています。
作品の紹介・あらすじ
解説
家庭にも職場にも居場所のない平凡な中年男の覚醒を描いたアクション。ある出来事をきっかけにロシアンマフィアとの激闘に巻き込まれていく主人公を、ドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」などのボブ・オデンカークが演じる。共演には『ある愛の風景』などのコニー・ニールセン、『アイアン・フィスト』シリーズなどのRZAのほか、マイケル・アイアンサイド、クリストファー・ロイドらが集結。『ハードコア』などのイリヤ・ナイシュラーが監督、『ジョン・ウィック』シリーズなどのデレク・コルスタッドが脚本を務めた。
あらすじ
さえない中年男のハッチ・マンセル(ボブ・オデンカーク)は、職場では実力が評価されず、家族からも頼りない父親として扱われていた。ある夜、自宅に強盗が押し入るも暴力を恐れた彼は反撃できず、家族に失望され、同じ職場の義弟にもばかにされる。鬱憤(うっぷん)を溜め込んだハッチは、路線バスで出くわした不良たちの挑発にキレて連中をたたきのめす。この事件をきっかけに、彼は謎の武装集団やロシアンマフィアから命を狙われてしまう。
シネマトゥデイ
感想・その他
映画『Mr.ノーバディ』で主人公ハッチ・マンセルの父親役を演じているのは、あのクリストファー・ロイド。彼と言えば、何といっても映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでエキセントリックな“ドク”、エメット・ブラウン博士を演じたことで知られています。その風貌とユーモラスな演技で、世界中の映画ファンの記憶に深く刻まれている名優です。そのロイドが、今作ではまたしても強烈なキャラクターを好演。息子ハッチに負けず劣らず、いやむしろそれ以上に“ヤバい爺さん”として暴れまくります。銃を手にとっては敵をなぎ倒し、目をキラリと光らせる姿は、危険極まりないのにどこかユーモラスで、思わず笑ってしまう場面も多々。御年83歳(2022年時点)という高齢にもかかわらず、堂々たる存在感とアクションを披露している姿には、ただただ脱帽です。
ちなみに、彼が最初に“ドク”を演じたのは46歳の頃。私の母親がちょうど同い年ということもあって、改めて月日の流れを痛感しました。歳を重ね、白髪も深まり、かつてのドクとは少し異なる風貌になったものの、それでもなおスクリーンの中で躍動する彼の姿には、強い感銘を受けました。「現役でいられることの格好良さ」そのものです。
そして主役のボブ・オデンカーク。彼も2022年当時で59歳。実は私自身とそう変わらない年齢です。そんな彼が、本作で披露するあの激しい肉弾戦、銃撃戦、格闘シーンの数々をこなしていることに、まず驚かされました。「同じ年齢でこの動きはすごい!」と、つい自分の身体能力と比べてため息が出そうになったほどです。
ですが、映画のDVDに収録されていたメイキング映像や特典映像を観て、少しだけホッとしました。カメラのアングル、編集、音響効果など、映画の“魔法”がどれほど巧妙に現実を演出しているのかが分かったからです。実際の撮影では、アクションの動きは意外とゆったりしていて、リズムや間合いを意識して繰り出していることが映像から伝わってきました。編集でテンポを上げたり、カットをつないでスピード感を演出しているんですね。
それにしても、オデンカークは本作ではカツラ(ヅラ)を着けて演じているにもかかわらず、その違和感のなさと役への没入感は見事なものでした。役柄としての“冴えない中年男”から“怒らせちゃいけない男”への変貌ぶりは痛快で、年齢を感じさせないパフォーマンスには、ただただ拍手を送りたくなります。
若さだけがアクションの条件じゃない。年を重ねたからこそ出せる渋さ、動きのキレ、そして存在感――そうしたものがこの映画には詰まっていて、自分自身にも少し勇気をくれるような気がしました。
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