私的評価
映画『ファイナル・プラン』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
原題は”Honest Thief” で、訳すると「正直な泥棒」。実際、日本語にすると間抜けな題名となりますが、「ファイナル・プラン」というカタカナにするんなら「ホネスト・シーフ」でもいいような気がします。
安定のリーアム・ニーソン映画と言え、安心して観ていられました。前回記事にした『ラン・オールナイト』同様に、反撃に出てからのリーアム・ニーソンは無敵です。しかし、この映画のアイキャッチ画像から想像するような激しいアクションは少なめです。
★★★☆☆
作品概要
監督・脚本はマーク・ウィリアムズ。製作はマーク・ウィリアムズ、マイルズ・ネステルほか。
主演はリーアム・ニーソン、その他出演者にケイト・ウォルシュ、ジェフリー・ドノヴァン、ジェイ・コートニーほか。
2020年にアメリカで製作されたアクション映画です。全米各地の銀行を破ってきた伝説の爆破強盗のトム・カーターが、愛のため過去を捨て、新たな人生を踏み出すためファイナル・プランで悪に挑む。
作品の紹介・あらすじ
解説
『96時間』シリーズなどのリーアム・ニーソンが主演を務めたクライムアクション。恋を機に過去の清算を決意した銀行強盗が、自分をわなにはめ、愛する女性を傷つけたFBI捜査官への復讐(ふくしゅう)に立ち上がる。監督は『ファミリー・マン ある父の決断』などのマーク・ウィリアムズ。共演はドラマシリーズ「プライベート・プラクティス」などのケイト・ウォルシュ、ドラマシリーズ「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」などのジェフリー・ドノヴァンのほか、ジェイ・コートニー、アンソニー・ラモスらがそろう。
あらすじ
アメリカ各地の金庫を爆破してきた銀行強盗カーター(リーアム・ニーソン)は、偶然出会った女性アニー(ケイト・ウォルシュ)と恋に落ちたことで、過去を償い人生をやり直すことを決意する。しかしFBIに自首した彼を取り調べた二人の捜査官は彼の強奪金を横領しようとたくらみ、アニーにまで危害が及ぶ。怒りに燃えるカーターは、爆破という自らの流儀で決着をつけるべく反撃を開始する。
シネマトゥデイ
感想・その他
ハッピーエンドで悪者をスカッと懲らしめる、いわば王道のアクション映画ではあるのですが、観終わってどこかスッキリしきれない気持ちが残ったのも事実です。主人公トム(演じるはリーアム・ニーソン)は、かつて銀行強盗として名を馳せながらも、恋人との出会いを機に足を洗い、自首して償おうとする人物です。物語の中で彼は一貫して「人を殺さない」ことを貫き通します。この点は、従来のリーアム・ニーソン主演作とは少し趣が異なっていて、むしろ倫理的に一歩踏み込んだ人物造形にも感じられました。
しかし、彼の行動が原因となって、ホール捜査官(アンソニー・ラモス)やベイカー捜査官(ロバート・パトリック)が命を落としてしまうのです。特にホール捜査官は、最初は同僚であるニベンス捜査官(ジェイ・コートニー)の強引なやり方に巻き込まれ、しぶしぶ不正に手を貸す形になりますが、途中で良心の呵責からトムに味方するという決断を下します。その結果、命を落とす羽目になる。あの場面には、やるせなさと無力感を覚えずにはいられませんでした。
もちろん、一番の悪党は間違いなくニベンスです。権力を盾に私利私欲を追求し、正義を踏みにじる姿には怒りを感じました。しかし、それでも「トムだけが結果的にすべてうまく収まり、他の善良な人たちが犠牲になるのはどうなんだろう?」という思いが拭えませんでした。まるで主人公だけが「ハッピーエンド」の中に取り残されてしまったかのような、そんな皮肉な印象すら残りました。
なお、本作には連続ドラマ『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』でおなじみのジェフリー・ドノヴァンも出演しています。私の中では彼といえば『ボーダーライン』や『ブラッド・スローン』、最近では『キャッシュトラック』などに登場していましたが、これまでの作品ではメガネをかけていたり、少し体型が変わっていたりと、パッと見ではドノヴァンと気づかないこともありました。
しかし本作では、まさに「ドノヴァンらしいドノヴァン」がそこにいて、スクリーンに映った瞬間に「あっ、ドノヴァンだ」と分かる存在感を放っていました。彼のクールで少し影のある雰囲気は、正義感と現実の狭間でもがく人物像にぴったりハマっていたと思います。
全体として、リーアム・ニーソンらしい安定感のある作品ではありましたが、倫理的な問いかけや、報われない登場人物たちの行く末が、単なる勧善懲悪の枠に収まらない余韻を残した作品でもありました。
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