私的評価
映画『潔く柔く』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
高良健吾さん目当てで観始めたこともあり、やはりハルタ(高良健吾)の登場シーンは自然と目が引き寄せられます。飄々としながらも人懐っこい雰囲気を持つハルタは、画面の中で柔らかく光っているように見えました。しかし、そのハルタの死が、あたかもその後のカンナ(長澤まさみ)の人生を立て直すための出来事であったかのように描かれている点には、どうしても違和感を覚えました。まるで彼の存在そのものが“カンナの物語のための装置”として消費されてしまったような印象で、「いや、それは違うだろう」と思わず心の中でつぶやいてしまいます。
また、作中で「カンナの心は15歳のまま」という台詞がありましたが、長澤まさみさんの演技からは、その設定があまり伝わってきませんでした。もちろん彼女の演技は安定しており、美しさや大人の余裕も感じさせるのですが、その分“15歳の心のまま大人になってしまった人”の危うさや不器用さは薄く、観客として感情移入しづらい面がありました。
全体としては、美しい映像や役者の存在感で見せる作品ではあるものの、人物の心情描写や設定の活かし方には物足りなさを感じました。特に、高良健吾さんファンとしては、ハルタという人物の魅力や生きざまをもっと深く描いてほしかった、という思いが残ります。
★★★☆☆
作品概要
監督は新城毅彦。脚本は田中幸子、大島里美。
原作はいくえみ綾の同名の漫画。
製作は門屋大輔、市川南ほか。
主演は長澤まさみ、岡田将生、その他出演者に高良健吾、波留、中村蒼、池脇千鶴ほか。
2013年10月、東宝系にて公開された日本の映画です。この映画は漫画「潔く柔く」の中の「カンナ編」を映画化したものです。キャッチコピーは、「大切な人を失っても、人はまた愛することができるのでしょうか。」で、日本テレビ放送網開局60周年記念作品です。
作品の紹介・あらすじ
見どころ
漫画雑誌「Cookie」にて連載され、人気を博したいくえみ綾のコミックを実写化したラブロマンス。両思いだった幼なじみをなくしたことを引きずって生きてきた女性が、新たな恋を通して前に進む姿を見つめていく。主人公となる男女を『モテキ』などの長澤まさみ、『悪人』などの岡田将生がふんし、『100回泣くこと』などの波瑠や『苦役列車』などの高良健吾らが脇を固める。彼らが織り成すストーリー展開に加え、『僕の初恋をキミに捧ぐ』などの新城毅彦監督による温かくて爽やかなタッチも見どころのひとつ。
あらすじ
高校1年生のカンナ(長澤まさみ)は、思いを通じ合わせていた幼なじみのハルタ(高良健吾)を交通事故で失ってしまい、それを機に新たな恋ができなくなってしま う。時はたち、映画宣伝会社で働くようになった彼女は、出版社に勤める赤沢禄(岡田将生)と知り合う。何かとぶしつけな言動を繰り出してくる赤沢に憤慨しては反発するカンナだったが、意外な優しさを見せる彼のことが気に掛かるようになっていく。心の距離が近づいていく中、カンナは赤沢にもつらい過去があったことを知ってしまう。
シネマトゥデイ
感想・その他
『弥生、三月-君を愛した30年-』を観終えて、そのまま勢いで次の作品を再生しました。偶然にも、こちらにも波留さんが出演しており、続けて彼女の演技を堪能できることに。今回の作品は『弥生、三月…』よりもおよそ7年前の映画。時系列的にはかなり遡るはずなのに、画面に映る波留さんは当時二十代前半。それにもかかわらず、現在とほとんど変わらない雰囲気と透明感をまとっていて、思わず「やっぱり変わらないなあ」と感心してしまいました。ただし、物語の前半終盤でのあのシーン──カンナにぶちまける責めの言葉は、正直言ってかなり衝撃的。内容的にはほぼ言いがかりで、観ていて「いや、それはひどいだろ…」と心の中で突っ込まずにはいられません。役とはいえ、あまりの強さに一瞬引きました。「波留さん、そんなこと言わないで…」と。
そして、我が家で密かに「ニヒルな人」と呼ばれている岡田将生さんもこの作品に登場。そう呼ぶ理由はシンプルで、右側だけ口角を上げる、あの独特の笑い方です。この映画でもそのクセは健在で、「ああ、若いころからもうニヒルだったのか!」と妙に納得してしまいました。役柄的にもその笑みがよくハマっており、爽やかさの奥に少し影を感じさせる雰囲気が魅力的です。
さらに高良健吾さんの存在感も見逃せません。自然体でありながら、画面に映るだけで物語の温度が変わるような独特の存在感。結局のところ、この作品は三人のキャストそれぞれがしっかりと印象を残していて、改めて「やっぱり好きな俳優さんたちだな」と再認識する一本になりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿