私的評価
映画『お元気ですか?』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
物語は、主人公が旅をしながら、手帳に記された名前の人々へ一本ずつ電話をかけていく…という、非常にシンプルな構成です。最初は「この行為にどんな意味があるのだろう?」と、少し距離を置いて眺めていました。しかし、旅先の風景や、電話口の声に込められた温度、間合いの取り方などを感じ取るうちに、その“行為”の裏にある時間の重みや人とのつながりの深さを、少しずつ想像するようになっていました。
気づけば、何度も心が揺さぶられていて、終盤には静かに涙がこぼれていました。過去と現在が、そして会えない人と会える人が、電話という細い糸でつながっていく。その儚さと温かさが、胸にじんわりと沁みていきます。
主演の宮澤美保さんの存在感も、この映画の魅力を大きく支えています。穏やかな笑顔や少し切ないまなざしを見ているだけで、不思議とこちらの心までやわらかくほどけていく。映像の中の時間がゆったりと流れ、観ている自分の心拍まで落ち着いていくような感覚に包まれました。
期待せずに観始めたはずなのに、終わってみれば心に静かな余韻が残る一本。日常の中で少し立ち止まり、人との関係や自分の歩んできた時間を見つめ直したくなる、そんな映画でした。
★★★☆☆
作品概要
監督、脚本は室賀厚。プロデューサーは森谷伸一、西秋輝彦、櫻井哲也、金田宏昭、小熊梨津子、小関太一。
主演は宮澤美保、その他出演者に丸山隼人、加藤藍子、長谷直美、菅田俊ほか。
2016年10月に公開された日本の映画です。旅先から知り合いに電話をかけ続け、謝罪と感謝を伝える主人公。「お元気ですか?」と語りかける主人公の心にはどんな思いが込められているのか。そして最後の10人目に電話をかける…。『苺の破片〈イチゴノカケラ〉』の宮澤美保を主演に迎えたヒューマン・ドラマです。
作品の紹介・あらすじ
見どころ
『GUN CRAZY』シリーズや『復讐したい』などの室賀厚監督によるヒューマンドラマ。「お元気ですか?」と旅先から知り合いの10人に電話をして、謝罪と感謝を伝える女性の姿を描く。スタッフには撮影の加藤孝信、ビジュアルエフェクトの平井将人など、室賀監督と旧知の面々が集結。主演は『苺の破片(イチゴノカケラ)』などの宮澤美保、共演にはベテランの菅田俊、テレビドラマ「太陽にほえろ!」などの長谷直美らが顔をそろえる。
あらすじ
小学校時代の恩師や学生時代の友人らかつて知り合いに、「お元気ですか?」と旅先から電話を掛ける藤木冴子(宮澤美保)。 旅の途中、若いカップルの仲むつまじい姿を見て表情が曇るものの、その後も電話を掛け続ける。彼女は義姉やママ友、元恋人、夫の両親ら、電話の向こうの相手に謝罪と感謝を伝え……。
シネマトゥデイ
感想・その他
この映画には、とても久しぶりに見た長谷直美さんと、ちょくちょく見る菅田俊さんが出演していますが、顔を見知っている役者さんの出演はこの二人だけでした。とは言え、菅田俊さんはこの映画により名前を覚えることになりました。菅原文太の「菅」と鶴田浩二の「田」、俊藤浩滋(映画・テレビドラマのプロデューサー)の「俊」を貰い、芸名を「菅田 俊(すがた しゅん)」としたようです。菅田俊さんは主人公の元教師役で、定年退職しているのか町の囲碁だか将棋の道場で遊び中でした。そこに主人公から電話が掛かってくるわけです。菅田さん特有のそっち系の言葉使いはとても元教師だとは思えませんが、懸命に主人公のことを思い出そうとします。しかし、最後まで電話の主が誰だか分かりませんでした。声と名前だけで10年前の教え子のことなど、思い出すはずありません。そんな役どころを上手く、コミカルに演じていました。
また、長谷直美さんは主人公が働いていた美容院のママさん役でした。80年代、90年代のドラマなどでよく見掛けていました。しかし、どんなドラマだったのかと問われれば困ってしまいますが、当時は本当によくテレビでお顔を拝見していました。ただ、最近では見かけることもなくなり、私が彼女を見たのは20年振りくらいでしょうか。それでも名前がすぐに出てきたのが不思議です(調べてみると一時期日本を離れていたみたいです)。そんな彼女の演技は、なにか安心して見られるものでした。
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