私的評価
WOWOWの連続ドラマ『監査役 野崎修平』を観ました。全8話、Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
やられて、やられて、やり返し、またやられる…。
この手のドラマは観だしたら止まりません。スマートでない織田裕二さんの体形がとても気になりましたが、面白く観られるドラマであることは確かです。故・古谷一行さんの憎たらしさと言ったら半端なく、また、不条理と闘う織田裕二さんの熱血演技がお楽しみいただけます。
★★★★☆
作品概要
原作は周良貨・能田茂の『監査役野崎修平』。監督は権野元。
脚本は前川洋一。
主演は織田裕二、その他出演者には岸谷五朗、古谷一行、松嶋菜々子、ユースケ・サンタマリア、光石研、駿河太郎、甲本雅裕ほか。
2018年1月14日から3月4日まで、WOWOWの連続ドラマW枠にて放送されました。全8話。織田裕二演じる主人公が、銀行内で蔓延る問題に直面し悪戦苦闘する様子を描いています。
作品の紹介・あらすじ
解説
大手銀行の監査役が活躍する人気漫画を織田裕二主演でドラマ化。強い正義感と厚い人情を持つ主人公が、銀行の不正を徹底究明すべく行内の抵抗勢力に戦いを挑む。
原作・周良貨、漫画・能田茂による経済漫画「監査役野崎修平」を織田裕二主演でドラマ化。監査役とは取締役の職務執行が正しく行なわれているかどうかを監査する役職。
舞台はバブル経済が崩壊し、金融当局が従来の政策を大転換させる“金融ビッグバン”に銀行業界が直面した1990年代末。当時の日本社会では、不良債権をひた隠す銀行、汚職に手を染めてでも権力を欲する政治家、株主総会にのさばる総会屋が幅を利かせ、まさに金と権力が渦巻いていた。このドラマは、そんな時代においても正義を貫くため奮闘するひとりの銀行員・野崎修平の活躍を描く痛快作だ。
野崎を演じるのは織田裕二。「連続ドラマW 株価暴落」で組織の論理に染まらず、自らの信念に忠実に突き進むバンカーを好演した織田が、今度は、持ち前の熱い正義感と人情、そして冷静な判断力で銀行の“悪”を暴いていく大手銀行の監査役を演じる。共演には本作で織田と初共演になる、岸谷五朗、古谷一行。脚本は「連続ドラマW 沈まぬ太陽」「連続ドラマW アキラとあきら」を手掛けた前川洋一、監督は「連続ドラマW 楽園」の権野元が担当する
あらすじ
舞台はバブル経済が崩壊し、金融当局が従来の政策を大転換させる“金融ビッグバン”に銀行業界が直面した1990年代末。当時の日本社会では、不良債権をひた隠す銀行、汚職に手を染めてでも権力を欲する政治家、株主総会にのさばる総会屋が幅を利かせ、まさに金と権力が渦巻いていた。おおぞら銀行地蔵通り支店長である野崎修平(織田裕二)は、正義感と人情味あるその人柄から行員や街の人々に好かれているものの、出世コースとは程遠い行員生活を送っていた。そんなある日、支店が閉鎖されることになると知らされる。出向を覚悟していた野崎の元に人事異動がくだる。その異動先はなんと役員昇進である監査役への就任で監査役になった野崎は銀行内での不正を目の当りにし、この銀行を変えると決意する。そして、銀行が抱える「究極の闇」に辿り着く。そこには、現おおぞら銀行頭取・京極雅彦(古谷一行)の影が…。野崎に対抗すべく、京極が出向先から呼び戻した剛腕の行員・武田真吾(岸谷五朗)や、おおぞら銀行初の女性役員を目指す立川祥子(松嶋菜々子)も加わり、銀行内で熾烈な戦いが繰り広げられる。
連続ドラマW
感想・その他
Wikipediaによると、「監査役」とは日本の株式会社において、取締役および会計参与の業務を監査する機関と定義されています。つまり、会社の経営陣が法律や会社のルールに従って業務を遂行しているかを監視する役割を担っているのです。さらに言えば、その監査は「業務監査」と「会計監査」の両面に及び、違法行為や著しく不当な職務執行があれば、それを指摘し、必要であれば阻止し、是正を求めるという責任も負っているとされています。そんな「監査役」という職責を、ドラマ『監査役 野崎修平』の主人公・野崎は、まさに体現しています。彼は、表面的な数字や帳簿の裏に隠れた不正を見抜き、社内の権力構造や圧力に屈することなく、真っ直ぐに正義を貫く人物として描かれています。ドラマを観ながら、思わず「こんな熱血漢が本当に存在するのだろうか?」と驚かされるほどです。
というのも、私の中での「監査役」のイメージは、もっと穏やかで控えめ、いや、正直に言えば「名誉職」的なものとして捉えていました。定年退職後の元役員や元官僚が、いわゆる“天下り”的な形で就任し、ほとんど実働のないまま名前を貸しているだけ、という印象です。会社のWebサイトで役員一覧を見ても、「ああ、この方が監査役ね」という程度で、具体的にどんな仕事をしているのか、普段はなかなか想像がつかないのが現実です。
しかし、調べてみると最近では「もの言う監査役」が増えているというではありませんか。しかも、単に“増えている”というレベルではなく、今や「もの言わねばならない監査役」の時代に突入しているというのです。背景には、企業のガバナンス(企業統治)強化の流れがあります。たとえば、会社内部で不正が発生した際、それを監査役が見逃していたとしたら、世間や株主から「監査役は何をしていたのか」と、厳しい目が向けられることになるのです。
特に近年では、企業不祥事に対する社会の目がいっそう厳しくなり、監査役に対する期待も高まっています。何も言わずに静かに座っているだけの「お飾り監査役」では、企業の信頼を守ることはできません。むしろ、経営陣とある程度距離を保ちながらも、必要なときには正面から意見し、問題点を指摘し、行動に移す──そんな能動的な監査役こそが、これからの企業に求められているのです。
ドラマ『監査役 野崎修平』は、そうした“時代の要請”を反映しているようにも感じます。もちろんフィクションである以上、やや誇張された演出もあるでしょう。でも、それをきっかけに「監査役とは何か」「どんな存在であるべきか」と考えさせられるのは、ドラマの持つ大きな力だと思います。
現実の企業社会でも、野崎のような信念を持ち、会社の良心として働く監査役が増えているとしたら──私たち一般市民にとっても、それは心強いことなのではないでしょうか。気づけば、かつて抱いていた監査役への“静かな印象”が、私の中でも少しずつ変わりつつあります。
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