私的評価
映画『ガール・オン・ザ・トレイン』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
物語は、ある人妻の失踪から始まり、やがて遺体が発見されるという衝撃的な事件を軸に進みます。誰が犯人なのか、そして事件の真相は何か――その核心は終盤まで明かされず、観客は常にハラハラしながら画面に引き込まれます。伏線や登場人物の微妙な心理描写が巧みに散りばめられており、謎解きの面ではかなり満足感がありました。
しかし一方で、物語のラストには少し物足りなさを感じました。事件が解決したとはいえ、緊張感や心理的な余韻を最大限に生かしたエンディングとは言い難く、どこか平凡に収束してしまった印象です。せっかく緻密に構築されたサスペンスであるだけに、最後まで見せ場を維持してほしかったという気持ちが残ります。
それでも、登場人物たちの複雑な人間関係や、それぞれの秘密、心理的葛藤が丁寧に描かれているため、単なる事件解決物語に終わらず、観る側にさまざまな感情を抱かせる作品でした。緊迫した展開や謎解きを楽しみたい人には十分に楽しめる映画ですし、サスペンス映画としての完成度も高いと感じました。
★★★☆☆
作品概要
監督はテイト・テイラー。原作はポーラ・ホーキンズの同名小説。
脚本はエリン・クレシダ・ウィルソン。
製作はマーク・プラット。
製作総指揮はジャレッド・ルボフ、セリア・コスタス。
主演はエミリー・ブラント、その他出演者にレベッカ・ファーガソン、ヘイリー・ベネット他。
2016年制作、アメリカのスリラー映画です。世界中でベストセラーとなった同名のミステリー小説を、『プラダを着た悪魔』、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のエミリー・ブラントが主演し、監督は俳優でもあるテイト・テイラーがメガホンを取りました。
作品の紹介・あらすじ
解説
ポーラ・ホーキンズの小説を基にしたミステリー。通勤電車の窓から人妻の不倫現場を目撃したのを機に、殺人事件に巻き込まれる女性の姿を追う。メガホンを取るのは、『ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~』などのテイト・テイラー。『プラダを着た悪魔』などのエミリー・ブラント、『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』などのレベッカ・ファーガソンらが集結する。待ち受ける衝撃のラストに息をのむ。
あらすじ
夫トム(ジャスティン・セロー)と離婚し、深い悲しみに沈むレイチェル(エミリー・ブラント)。そんな彼女を慰めるのが、かつてトムと暮らしていた家の近所に住む夫婦の仲むつまじい姿だった。通勤電車の窓から二人を眺めてはトムと過ごした日々を思い出す彼女だったが、その夫婦の妻が不倫にふけっている現場を目撃する。次の日、電車を降りて彼らの様子を確かめようとするが、不意に記憶を失ってしまう。やがて自分の部屋で大けがを負った状態で目を覚ましたレイチェルは、その人妻が死体で発見されたのを知るが……。
シネマトゥデイ
感想・その他
主演のエミリー・ブラントは、どこかで観たことがあるはずなのですが、まったく思い出せないまま映画を観終えてしまいました。早速調べてみると、私が以前観た作品では映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、そして最近では『ボーダーライン』に出演していたことが分かりました。ちなみに配偶者は、テレビドラマ『ジャック・ライアン』で知られるジョン・クラシンスキーです。メインで共演する女性キャスト、レベッカ・ファーガソンとヘイリー・ベネットについても触れたいと思います。レベッカ・ファーガソンは、トム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル』シリーズにも出演しています。しかし、私の記憶にはほとんど残っていませんでした。顔立ちは確かに整っていてキレイなのですが、特徴に乏しく、印象に残りにくいタイプなのかもしれません。一方、ヘイリー・ベネットは顔立ちに個性があり、とても印象的です。最近再観した映画『イコライザー』にも出演していたので、「ああ、あの人だ」とすぐに分かりました。
また、映画全体の映像も印象に残ります。曇りがちなイギリスの天候がそのまま画面に反映され、心を病んでいる登場人物たちの心理状態が、より一層暗く陰鬱に見えます。観終わった後に思い返しても、青空が映し出されたシーンはほとんど思い浮かばず、まるで天候と人物の心象風景が一体となって物語を支えているかのようです。
エミリー・ブラントを中心としたキャスト陣の演技と、陰鬱な天候や映像美が組み合わさることで、観る者の心にもじわじわと緊張感や暗さを刻み込む作品になっていました。
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