私的評価
映画『居眠り磐音』を観ました。レンタルビデオでの鑑賞です。
原作はもちろんのこと、NHKでドラマ化された『陽炎の辻~居眠り磐音 江戸双紙~』も観ておりませんが、ドラマ版で磐音を演じた山本耕史さんはどうだったのでしょうか。己の愛する人々や恩人を守るため戦う磐音、そんな役柄を見事に演じた松坂桃李さんにより、映画は思っていた以上の出来栄えでした。
やはり悪が懲らしめられるのは、観ていてスキっとします。
★★★★☆
作品概要
監督は本木克英。脚本は藤本有紀。
原作は佐伯泰英の『居眠り磐音 決定版』。
製作は藤村直人。
出演は松坂桃李、木村文乃、芳根京子、柄本佑、佐々木蔵之介、杉野遥亮、柄本明、谷原章介ほか。
2019年の日本映画です。
作品の紹介・あらすじ
解説
佐伯泰英の小説シリーズを、『娼年』などの松坂桃李の主演で映画化した時代劇。普段は人情に厚く穏やかな主人公が、「居眠り剣法」でさっそうと悪を斬る。『超高速!参勤交代』シリーズなどの本木克英が監督を務め、脚本をドラマ「ちかえもん」などの藤本有紀が手掛ける。
あらすじ
豊後関前藩の坂崎磐音(松坂桃李)と小林琴平、河井慎之輔は、幼なじみだった。磐音が琴平の妹・奈緒との祝言を控えていたある日、事件が起こり、磐音は二人の幼なじみを失う。奈緒を置いて関前を去り、江戸で浪人として生活することになった磐音は、昼はうなぎ割き、夜は両替商の用心棒として働き始める。
シネマトゥデイ
感想・その他
ピエール瀧さんの不祥事により、急遽代役として奥田瑛二さんで撮り直しが行われ、予定通りの公開が危ぶまれるという、いわく付きの作品となりました。最近では奥田瑛二さんもすっかり悪役が板につき、憎らしいほどの演技を見せてくれます。しかし、もし予定通りピエール瀧さんが演じていたなら、あの独特の「悪役顔」の存在感が加わり、さらに憎々しさが増していたのではないかと想像してしまいます。どちらも味わい深いですが、演じる俳優によって悪役の印象が大きく変わることを改めて感じさせられました。主役には私が特に推している松坂桃李さんが起用されています。端正な顔立ちと存在感で個人的には大好きな俳優なのですが、ちょんまげカツラ姿は少々違和感がありました。見慣れないせいもあるのでしょうが、正直なところ、まだ柄本佑さんの方がその時代風の風貌には似合っていたように思います。しかし、浪人として落ちぶれた後の散切り頭になると、ようやくいつもの格好良い松坂桃李さんに戻り、安心して物語に集中できました。こうした髪型や装いの変化が、キャラクターの心境や成長を自然に表現していたのも巧みです。
一方で、女性キャラクターの強さと逞しさには目を見張るものがあります。ラストで元許嫁の奈緒と磐音が相対する場面を観て、つくづくその思いを強くしました。男性だけでなく、女性の芯の強さや意志の力が物語を引き締め、作品全体に深みを与えているのだと感じます。
全体として、キャストの演技力や人物描写の妙を楽しみながら観られる、力のある時代劇映画でした。
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