私的評価
映画『町田くんの世界』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
観る前は、途中で眠くなってしまうのではないかと少し心配していましたが、実際には思った以上に楽しめました。町田くんの不器用でまっすぐな人柄や、周囲の人々とのやり取りに、自然と笑みがこぼれる場面が多く、軽やかな気持ちで観ることができました。
しかし、ラストの”アレ”には正直、残念な気持ちでいっぱいです。原作ではどう描かれていたのか分かりませんが、映画の形になったあの演出は、せっかく積み上げてきた温かさやテンポ感を少し削いでしまっているように思えます。観客としての興ざめ感が強く、最後にもう一押しの心地よさが欲しかったというのが本音です。
それでも、その他の出演者がこれまた豪華な顔ぶれで、作品全体の厚みをしっかり支えていました。ベテランから若手までバランスよく配置され、町田くんの世界観を彩る上で重要な役割を果たしています。キャストの演技力の高さが、物語にリアリティと温かみを与えている点は特筆すべきでしょう。
全体として、ラストの一点を除けば、心地よい余韻とほのかな笑いに包まれる、観て損のない作品でした。
★★☆☆☆
作品概要
監督は石井裕也。脚本は片岡翔、石井裕也。
原作は安藤ゆきの「町田くんの世界」(集英社マーガレットコミックス刊)。
製作は北島直明。
出演は細田佳央太、関水渚、高畑充希、前田敦子、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子です。
2019年の日本映画です。運動も勉強もダメで、何も取り柄がなさそうに見える町田くん。しかし彼は、困った人のことは絶対に見逃さず、接した人々の心を癒すという不思議な力を持っていた。しかし、そんな彼の前に現れた女の子・猪原さんは、これまでの人々とは違っていた…。
作品の紹介・あらすじ
解説
『舟を編む』などの石井裕也監督が、第20回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した安藤ゆきの漫画を映画化した青春ストーリー。優しい男の子の日常が覆る出来事が描かれる。主演は、1,000人を超える応募者の中からオーディションで選ばれた細田佳央太と関水渚。岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子といった俳優たちが共演している。また全編を35ミリフィルムで撮影した。
あらすじ
町田くん(細田佳央太)は運動や勉強が不得意で見た目も目立たないが、困っている人を見過ごすことのできない優しい性格で、接する人たちの世界を変える不思議な力の持ち主だった。ある日、町田くんの世界が一変してしまう出来事が起こる。
シネマトゥデイ
感想・その他
この映画でまず目を引くのは、やはり前田敦子さんでしょう。彼女にあのような役を演じさせると、とびっきりいい味を出してしまうのだから驚きです。地がそのまま出ているわけではないのでしょうが、観ていると自然に彼女の持つ人間味や魅力が滲み出ているように感じます。その絶妙な演技で、物語にしっかりと引き込まれました。そして高畑充希さんも見逃せません。役柄的には難しい感情の起伏や複雑な心理を表現する場面が多かったように思いますが、安定した演技で安心して観ていられました。前田敦子さんとの掛け合いも自然で、二人の演技によって高校生の世界観がしっかりと成立していたのは見事です。
実際、高校生役のお二人ですが、年齢差や違和感をまったく感じさせませんでした。調べてみると、前田さんも高畑さんも1991年生まれで同い年。高校卒業から約10年が経過しているにもかかわらず、全く無理なく演じられているのは、演技力の高さゆえでしょう。
そしてヒロイン、猪原奈々役に抜擢されたのは関水渚さん。映画で見るのは初めてでしたが、最初は少し「うーん?」という印象もありました。しかし物語が進むにつれ、その可愛らしさと清楚な雰囲気に自然と惹き込まれていきました。さらに、映画『コンフィデンスマンJP』第2弾にも出演予定とのことで、今後の活躍に大いに期待したいところです。ただ、彼女の開けた時の口元だけは、正直少し残念に感じました。とはいえ、それも含めて彼女の個性として愛嬌があるとも言えそうです。
全体として、主演二人と新人ヒロインのバランスが絶妙で、キャラクターにリアリティと魅力を与えている作品でした。
コメント