私的評価
フジテレビ制作の連続ドラマ『君が嘘をついた』を観ました。レンタルDVDでの視聴です。
久しぶりにこのドラマを観返してみて、改めて楽しめたのは、出演者たちの若かりし頃の姿を発見することでした。こうした昔のドラマを楽しむ醍醐味の一つは、意外なキャストを見つける瞬間にあります。「あれ、こんな人が出ていたんだ!」と驚き、思わず笑みがこぼれる瞬間が何度もありました。
例えば、驚くほど若くてスリムな東幹久さんの姿や、まだアイドルだった工藤静香さんのフレッシュな演技。また、今では重厚な役者として知られる宇梶剛士さんや中野英雄さんが、初々しい雰囲気で登場するのも新鮮です。さらに、セリフもほとんどない端役で登場する田中美奈子さんを見つけたときは、「あ、ここにいたのか!」と小さな喜びを感じました。
こうして昔のキャストたちの当時の姿を確認しながら観ると、物語そのものだけでなく、出演者の成長やキャリアの変遷も楽しめるのが、このドラマの魅力だと思います。懐かしさと新しい発見が入り混じる視聴体験でした。
★★★★☆
作品概要
脚本は野島伸司。プロデュースは山田良明、大多亮。
主演は三上博史と麻生祐未、その他出演者は工藤静香、大江千里、鈴木保奈美、布施博ほか。
1988年10月よりフジテレビ系列で放送されました。全9話。大学でヨット部の仲間であった日高、山下、戸田の3人は、大学を卒業後も交流を続けていた。一方、イベントコンパニオンの渡辺、坂本、中村の女性3人は、「横浜のお嬢様」とウソをつき独身弁護士が集うパーティーに出席する。そこで「弁護士」と嘘をつき出席していた日高ら3人と出会う…。
作品の紹介・あらすじ
日高涼(三上博史)、山下克巳(大江千里)、戸田輝也(布施博)は大学時代、海に魅せられ、社会人になった今も、週末になるとヨットを楽しんでいる。オーナーは丹羽(地井武男)で、レストランを経営している。
丹羽の長女・加奈子(工藤静香)の誕生日に三人が集まった。涼らはお金を出し合って加奈子に靴をプレゼントすることになっていた。涼がその靴を買った。ところがその靴をほしいという女性が現れ、涼は…。
一方、亜紀子(麻生祐未)、恵美(鈴木保奈美)、美佐(井上彩名)は週末にカフェバーに集まり、いい男はいないかと捜している。来週、独身弁護士のパーティがあると聞いた三人は大張り切り。いいとこのお嬢さんをよそおって顔を出すことにした。
その当日。涼らは会場にはいりこんだ。亜紀子らも目いっぱいめかしこんでやってきた。だが、いずれもニセ者であるためバレるのではないかとヒヤヒヤ…。帰ろうかと考えたが、もう一度、勇気をふるいおこして会場を見回す。そして、この二組の男女がついに顔を合わせた。涼は亜紀子の顔を見てびっくりする。加奈子の誕生祝いに買った靴を無理やり横取りしていった女だったからだ。
フジテレビONE/TWO/NEXT
感想・その他
このドラマは、野島伸司氏が連続テレビドラマの脚本家としてデビューした作品です。当時、私のお気に入りの女優は麻生祐未さんでした。麻生さんが出演されている『君が嘘をついた』を観るため、毎週楽しみにテレビの前に座っていたものです。この作品も、時折無性に観たくなるほど心に残るドラマの一つです。1988年といえば、バブル景気の真っただ中。浮かれた空気と、未来に対して疑いのない希望が街に満ちていた時代です。このドラマもまさにその象徴で、「トレンディドラマ」という言葉がぴったりな作品でした。登場人物たちが身にまとうファッションは、肩パッドがしっかりと入ったジャケットや、きらびやかなアクセサリーで、時代の勢いをそのまま映し出していました。女性たちのメイクも印象的で、太く強調された眉毛が「自立した女性像」の象徴でもあったように思います。もっとも、今あらためて見返すと、その太眉メイクがどこか“卑猥”にさえ見えてくるのは、時代を経た私の感覚ゆえでしょうか。
主演の麻生祐未さんは、一時期テレビから姿を見かけなくなった時期もありましたが、最近では再び活躍されている姿をよく目にします。あの頃のように主役を務めることは少なくなりましたが、現在はお母さん役やおばさん役として味わい深い演技を見せてくれています。キャリアを重ね、良い形でイメージチェンジに成功されたのではないでしょうか。
ところで、麻生祐未さんについて調べていた際に知ったのですが、彼女の叔母さんは歌手の奥村チヨさんなのだそうです。奥村チヨさんの『終着駅』は私の大好きな歌の一つです。特に晩秋に聴くと、胸が締めつけられるような、誰にも言えない思い出のような、そんな切なさが胸を締めつけてきます。
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