山本元喜著『僕のジロ・デ・イタリア』を読んだ感想

2017年9月8日金曜日

ノンフィクション 自転車レース 読書

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私的感想

山本元喜著『僕のジロ・デ・イタリア』を読みました。

ほとんだ足切り時間(これを過ぎると次のステージへ進めなくリタイアとなる)との戦いであった山本選手。グランツールを完走するのがいかに難しいことなのか、改めて思い知らされました。
とにかく面白いです。ロードレースが好きな人も、そうでない人にもおすすめです。

★★★★☆

『僕のジロ・デ・イタリア』とは

著者の山本元喜(1991年11月19日- )さんは、奈良県生駒郡平群町出身の自転車競技(ロードレース)選手です。そんな彼が出場した2016年のジロ・デ・イタリアの参戦記です。

出版社内容情報
「グランツール」と呼ばれる世界的な大会のひとつ、イタリアの「ジロ・デ・イタリア」の2016年大会を、初出場にして完走した山本元喜選手。1991年生まれの彼は、日本自転車史上、最年少でのグランツール完走者である。明るい性格の一方で、レースの極めて詳細なブログを書き続けたことに現れる「記録魔」的な独特のキャラクターが個性的であり、完走を目指す彼の戦略や、映像に現れないジロの現場のプロトンの選手たちの様子が描かれていた。
そんな山本選手が、2016年のジロの裏側をリアルに、詳細に描いたスポーツノンフィクション。大学卒のいわゆる「普通の若者」であった彼が、世界的自転車レース、「ジロ」を完走したことを描いた自転車スポーツノンフィクション。

内容説明
特に運動が得意というわけでもない、いわゆる「普通の若者」といえる著者が、世界最高峰の自転車レース、「ジロ」を走り抜く。その詳細な記録。完走を目指す彼の戦略や、映像にあらわれない現場の選手たちの様子を詳細に描き、グランツールの裏側をリアルに、詳細に映し出したスポーツ・ノンフィクション。

目次
ジロ・デ・イタリア2016
第1ステージ
第2ステージ
第3ステージ
最初の休息日
第4ステージ
第5ステージ
第6ステージ
第7ステージ
第8ステージ〔ほか〕

著者等紹介
山本元喜[ヤマモトゲンキ]
1991年生まれ。奈良県出身。鹿屋体育大学の学生だった2010年、「ツール・ド・北海道」で国内外のプロを相手にステージ優勝を果たし、衝撃を与える。ツール・ド・北海道では、2013年にもステージ優勝。他に全日本選手権U23ロードレース2010・20112、全日本選手権U23タイムトライアル2013優勝。2014年、NIPPOにてプロ入り。2015年よりNIPPOのプロコンチネンタルチームへの昇格により、欧州で活動。2016年にはジロ・デ・イタリアに初出場・完走(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

紀伊國屋書店

ジロ・デ・イタリアについて

ジロ・デ・イタリア(Giro d’Italia)
自転車ロードレースのなかでも「グランツール」と言われるステージレースの一つで、毎年5月にイタリア全土を舞台にして行われています。通称は「ジロ」。

概要
毎年5月に約3週間かけて行われるステージレースで、コースは毎年新たに設定される。「イタリアを一周する」という表現がされることもあるが各ステージは地理的には連続していないことも多く、サルデーニャ島やシチリア島など島でのステージもある。ステージ数は通常21。平坦ステージ、山岳ステージ、タイムトライアルステージ(個人、チーム)と多彩なステージ設定がされている。
総合成績1位の選手にはピンク色のジャージ「マリア・ローザ」が与えられるほかスプリント賞、山岳賞、新人賞といった各賞の対象者も特別なジャージを着用する。

賞金総額は年によって上下するが、2004年の場合で約133万ユーロ。配分は各ステージ25位までの勝者に支払われる金額が合計47万4000ユーロ。総合優勝者15万ユーロやインテルジロ賞13万ユーロなど各賞の合計が62万3000ユーロ。チームへの賞金が合計23万3000ユーロとなっている。
特徴
ツール・ド・フランスに比べ勾配の厳しい坂を登る山岳ステージが多いため[2]、上りを得意とするクライマーが活躍する機会が多い。1990年のクラウディオ・キアプッチや1995年のトニー・ロミンゲル、1998年のマリアーノ・ピッコリ、2003年のジルベルト・シモーニ、2009年のダニーロ・ディルーカ、2010年のカデル・エヴァンスのように厳しい山岳コースが設定された年は山岳賞はおろかポイント賞すらクライマーやオールラウンダーが獲得してしまうこともあるが、これは2013年まではツール・ド・フランスとは異なり山岳ステージも平坦なステージも同じポイントが設定されていたためでもある。また平坦ステージであってもゴール直前だけ上り坂であったり、ゴールまで1kmを切ったところに急カーブが登場するなど危険かつ癖のあるコースレイアウトがしばしば採用される。

また5月はドロミーティを始めとしたアルプス山脈及びアペニン山脈にはまだ雪の残っている場所もあり、選手は坂だけでなく厳しい寒さや悪天候とも戦うことになる[3]。そのためイタリア人からは「ツール・ド・フランスが世界最大のレースなら、ジロ・デ・イタリアは世界最高のレース」と評される。
イタリア人選手の多くがこのレースをシーズン中の最大目標としており、歴代優勝者に占めるイタリア人の割合も圧倒的に多い。イタリア以外の選手が初めて優勝したのが1950年で、2017年現在31回しかない。近年は1997年以降、2007年までの総合優勝者はすべてイタリア人で、国際化が著しく優勝者の国籍も多様になる傾向があるロードレースの世界において、これは非常に珍しいケースである。

Wikipedia(ジロ・デ・イタリア)

感想・その他

そんな過酷なジロ・デ・イタリアの2016年大会を、初出場ながら見事に完走した日本人選手がいます。NIPPO・ヴィーニファンティーニというイタリア籍のプロチームに所属していた山本元喜選手です。
彼が出場したこの第99回大会の記録を、自身の視点から赤裸々に綴ったのが『僕のジロ・デ・イタリア』という一冊。まさに“リアル・ロードレース”の舞台裏が詰まった、読みごたえのある一冊です。

この本の特徴は、いわゆる「栄光の物語」とは一線を画している点です。ステージ優勝もなければ、三賞ジャージ(山岳賞・ポイント賞・新人賞)や総合上位との縁もなし。山本選手に与えられたチームからのミッションは極めてシンプル――「完走すること」そして「チームから指示された仕事を確実にこなすこと」。 それは、エースのアシストとして先頭を牽いたり、補給を運んだり、風よけになったりする“縁の下の力持ち”的な役割。個人の栄誉とは無縁でも、チームの勝利を支える重要な仕事です。

この本の魅力は、そんな裏方の仕事ぶりが克明に記されているところにあります。そして、何より驚かされるのが、華やかな舞台の裏にある「選手の本音」――テレビや雑誌の解説ではまず知ることのできない、選手の生身の思考や感情が、率直な言葉で綴られていることです。

例えば、ある日のステージでは、登りの途中で「もう足を着いてしまいたい……」という衝動に駆られたこと。あるいは、極限の疲労で思考が鈍り、「完走なんてどうでもよくなってきた」とさえ感じた瞬間があったこと。
グランツールを走る選手といえば、人間離れした“超人”のように思われがちです。しかし、山本選手の記録から伝わってくるのは、肉体の限界と常に向き合いながら、それでも歯を食いしばって前へ進もうとする一人の「等身大の人間」の姿でした。

日々、どんな体調でスタートラインに立ったのか。チーム内でどういうやりとりがあったのか。雨、寒さ、落車――過酷な条件の中で、どうモチベーションを保ち続けたのか。 すべてがリアルで、読んでいるこちらまで脚が重くなってくるような臨場感があります。

グランツールという世界最高峰の舞台で、日本人選手がどんな思いで戦っていたのか。その“人間ドラマ”がぎっしり詰まった一冊。テレビでは見えない、自転車ロードレースの裏側がこの本にはあります。
山本元喜選手の姿を通して、「超人」と思っていた選手たちが、実は私たちと同じ“人間”なんだということに、深く共感し、勇気をもらえるはずです。



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1964年生まれ。糖尿病を患ってから、自転車と歩くことを趣味にしています。毎日クスリ飲んでます。

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