私的評価
磯田道史著『徳川家康 弱者の戦略』を図書館で借りて読みました。私は秀吉贔屓で、家康があまり好きではありません。そのため、これまで家康に関する書籍には手を出していませんでした。しかし、磯田氏のお気に入りの著書であり、さらに題名に「弱者」とあったため、興味を惹かれ読んでみることにしました。この本に描かれている家康像は、小説的に史実を肉付けしたものではありません。むしろ、古文書などから拾い上げた事実を基に、磯田氏独自の視点で推測し導き出された家康像なのです。
この本には、私の「家康嫌い」を和らげてくれそうな家康の姿が描かれており、大変楽しむことができました。
★★★★☆
『徳川家康 弱者の戦略』とは
磯田道史著、2023年2月17日に文藝春秋より刊行されました。著者の歴史的な事実に基づいた客観的な分析と新たな視点や洞察力から、徳川家康像に迫ります。内容説明
出版社内容情報
徳川幕府が二百六十年隠してきた真実を暴く! 信長、信玄、そして秀吉。圧倒的な強者を相手にしてきた家康はつねに「弱者」だった。それがなぜ天下人となったのか? そこには弱者だから取り得た戦略、ライバルからの旺盛な「学び」があった。第一人者が家康の実像に迫る。
家康は最初から天下を目指したわけではなかった。戦国一の激戦地域に生まれ、頼みの今川義元はまさかの戦死、織田信長との同盟は過酷を極め、最強の信玄軍団には攻められる。家康の人生は厳しい選択の連続だった。豊富な史料から、逆境に学び続けた「天下人」の実態に迫る。
目次
はじめに――家康はどうしたのか!
第1章 「境目の土地」三河という運命
フォッサマグナと「陸の潮目」/松平家のルーツ ほか
第2章 信長から学んだ「力の支配」とその限界
二人の運命を変えた桶狭間/「信用」という富 ほか
第3章 最強の敵・信玄がもたらした「共進化」
武田家はなぜ強いのか/物見・透破・築城 ほか
第4章 二つの滅亡長篠の合戦と本能寺の変
勝利のカギは柵と弾薬/強みが弱みに ほか
第5章 天下人への道
あてにならない同盟相手/十二万五千対一万七千 ほか
著者等紹介
磯田道史[イソダミチフミ]
1970年、岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年、国際日本文化研究センター准教授、21年より同教授。18年、伊丹十三賞受賞。著書『武士の家計簿』(新潮新書、新潮ドキュメント賞受賞)、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、日本エッセイスト・クラブ賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
紀伊國屋書店
感想・その他
著者の磯田道史氏は、日本の歴史学者であり、特に戦国時代から江戸時代初期にかけての日本史を専門としています。研究対象としては、織田信長や徳川家康など、時代を動かした戦国武将たちに関するものが多く、その人物像や時代背景を、史料を丹念に読み解くことで浮かび上がらせています。磯田氏の人物像については、出演するテレビ番組やWikipediaなどの情報からもうかがい知ることができます。彼の実家は、江戸時代に備前岡山藩の支藩として存在していた備中鴨方藩の重臣の家系にあたり、家には代々伝わる古文書が大量に残されていたとのことです。磯田氏は、それらの古文書に囲まれて育ち、学生時代からまるで宝物のように扱いながら、夢中になって読みふけっていたとテレビで語っていました。そうした原体験が、彼の研究者としての原点になっているのでしょう。
そのような背景を持つ磯田氏は、NHKの教養番組『英雄たちの選択』でも司会を務めており、歴史をさまざまな角度から深掘りし、視聴者に知的な刺激を与え続けています。その番組で、最近大きな変化がありました。長年アシスタント司会を務めてきた杉浦友紀アナウンサーから、浅田春奈アナウンサーへと交代することが発表されたのです。
個人的には杉浦アナのファンである私は、最初は少し残念に感じました。しかし、新しく就任した浅田アナはつい最近までは名古屋放送局に所属していて、私たち名古屋の視聴者にとってはとてもなじみ深い存在でした。
名古屋在任時には、早朝のローカルニュース番組などでよく目にしていたのですが、その際の印象は、非常に控えめで品のあるアナウンサーというものでした。落ち着いた語り口や淡い表情が印象的で、「実はミスコングランプリの受賞歴がある」と後から知ったときには驚きを隠せませんでした。ただ、インターネットで見られる公式プロフィール写真などを見ると、たしかにその経歴にも納得できる美しさがあり、ニュース番組では意図的に化粧を抑えて、落ち着いた雰囲気を保っていたのだろうと感じます。
今後、『英雄たちの選択』で浅田アナがどのように番組に馴染み、磯田氏との掛け合いの中で新たな魅力を発揮していくのか、大いに期待しています。番組が今後どのような方向へ進んでいくのかも含めて、引き続き注目していきたいと思います。
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