
私的評価
映画『特捜部Q キジ殺し』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
ラストシーンは衝撃的でした。しかし、私の中の一番の衝撃は、あんな目に遭わされていてもまだ好きだという感情が消えずにいた女性(キミー)の心の内です。心の奥底にメラメラと宿る復讐心より、まだ好きだという感情により、あの衝撃的な終わり方になったのだと感じました(映画を観ていただければ分かっていただけるかと思います)。
派手なアクションはなく、犯人もすぐに分かってしまいます。しかし、謎解きはなくても、特捜部Qの面々が、今は成功して裕福に暮らす犯人たちの過去に犯した悪行三昧を、いかにして辿り着き暴いていくか、その過程をハラハラ・ドキドキしながら観ることができます。また、ストーリー展開もテンポが良いので、最初から最後まで楽しめる映画となっています。
★★★★☆
作品概要
監督はミケル・ノルガード。脚本はラスムス・ハイスタバーグ、ミケル・ノルガード、ニコライ・アーセル。
原作はユッシ・エーズラ・オールスンの特捜部Qシリーズ。
製作はルイーズ・ベス、ピーター・オールベック・イェンセン。
主演はニコライ・リー・カース、その他出演者にファレス・ファレス、ミピルウ・アスベック、デビッド・デンシック、ダニカ・クルチッチほか。
2014年製作のデンマーク・ドイツ・スウェーデン合作のサスペンス映画です。北欧ミステリーの代表作として、欧米や日本でも大人気の「特捜部Q」シリーズの第2作目の映画です。前作に続いて『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のスタッフが実写化しました。
作品の紹介・あらすじ
解説・あらすじ
デンマークの人気作家ユッシ・エーズラ・オールスンによる世界的ベストセラー「特捜部Q」シリーズの映画化第2弾。コペンハーゲン警察署の未解決事件捜査班「特捜部Q」に配属された個性的な刑事たちの活躍を描く。特捜部Qの刑事カールのデスクに、なぜか20年前に捜査終了したはずの双子惨殺事件のファイルが置かれていた。何者かの意図を感じたメンバーたちは再捜査に乗り出し、事件当時に重要情報を知る少女キミーが失踪していた事実にたどり着く。すぐにキミーの行方を追いはじめる一同だったが、キミーを探し続けている人物は他にもいた……。ミケル・ノルガード監督をはじめ前作のスタッフ・キャストが再結集し、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のニコライ・アーセル&ラスムス・ハイスタバーグが脚本に参加。「天使と悪魔」のニコライ・リー・カースが主人公カール役を、「ゼロ・ダーク・サーティ」のファレス・ファレスが相棒アサド役を引き続き演じた。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。
映画.com
感想・その他
この『特捜部Q』シリーズの原作者は、ユッシ・エーズラ・オールスンというデンマーク人作家です。1950年にデンマークの首都コペンハーゲンで生まれ、若い頃はジャーナリストや編集者として活動していました。その後、しばらくは研究職やテレビ番組のプロデューサーなど、文筆とは一線を画した職を経て、1985年に本格的に作家としての道を歩み始めます。そして、転機となったのが2007年に発表された『檻の中の女(原題:Kvinden i buret)』。この作品は、冷遇された未解決事件を扱う架空の部署「特捜部Q」の誕生を描いたサスペンスで、シリーズの第1作目にあたります。主人公カール・マーク警部とその部下アサドの凸凹コンビが、闇に葬られた真相に迫っていく姿が、読者に強い印象を与えました。
翌2008年には第2作『キジ殺し(Fasandræberne)』が刊行され、こちらも前作に続いてベストセラーとなります。以後もシリーズは順調に刊行され、2009年には第3作『Pからのメッセージ(Flaskepost fra P)』、2010年には第4作『カルテ番号64(Journal 64)』が出版されました。いずれも社会問題を深く掘り下げた重厚なストーリー展開と、独特のユーモアを交えたキャラクター描写で、多くの読者を魅了しました。
この4作は映画化もされ、原作の持つダークで緻密な世界観をうまく映像化したとして、ヨーロッパを中心に高い評価を受けています。特に原作の緊張感を保ちつつも、映像ならではの演出で観る者を引き込む力があり、シリーズの知名度をさらに押し上げる結果となりました。
現在のところ、映画化されているのはこの第4作までですが、小説シリーズ自体は第8作まで刊行されており、今後の映像化にも期待が高まっています。社会派サスペンスとしての完成度の高さ、そして主人公たちの人間的成長が描かれるシリーズ構成は、読めば読むほど引き込まれる魅力を持っています。
第5作目 特捜部Q―知りすぎたマルコ― 2012年
第6作目 特捜部Q―吊された少女― 2015年
第7作目 特捜部Q―自撮りする女たち― 2016年
第8作目 特捜部Q―アサドの祈り― 2019年
これらの映画化が楽しみです。
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