私的評価
NHKドラマ10『拾われた男 Lost Man Found』を観ました。NHK総合「ドラマ10」枠にて2022年10月11日から12月13日まで全10話放送されました。
NHK BSプレミアムでの放送を見逃し、友達から「すごく面白かった」と聞いて、なんとかして観てみたいと思っていてところ、NHK総合で放送され念願叶い観られることになりました。とは言え、どんな内容かはまったく知らずでの視聴でした。
面白おかしいドラマから、後半はちょっとシリアスなドラマに移行します。家族と距離を取っていた主人公の、家族(とりわけ兄)との葛藤、それが最終回で雪解け。いろんな人に助けられたのは、主人公の人柄とチャレンジ精神の賜物でしょう。そんな弟に、お兄さんが羨ましく思ったのがよく分かりました。とにかくとても面白いドラマでした。
★★★★☆
作品概要
原作は松尾諭の「拾われた男」。脚本は足立紳。
制作はウォルト・ディズニー・ジャパン、NHKエンタープライズ。
主演は仲野太賀、その他出演者に伊藤沙莉、草彅剛、風間杜夫、石野真子、柄本明、薬師丸ひろ子、井川遥ほか。
全10話。『拾われた男』は、「文春オンライン」で2017年4月から2020年3月まで月一で連載された、俳優の松尾諭さんの同名のエッセイが原作です。振られた回数13回、オーディションも落ち続けた松尾諭さんが辿っ波乱万丈の人生を描いた自伝風ドラマです。
作品の紹介・あらすじ
高校で演劇を見た瞬間「俳優になりたい」と夢が芽生えた松戸諭(まつど・さとる)。東京に行けば何か得るというノリ一つで、関西から幼馴染みが住む東京・表参道へ上京。人生充実している幼馴染みを横目に、貧乏で俳優への道も全く掴めない彼は、ある日、持ち前の嗅覚で自動販売機の下に落ちていた航空券を拾う。その持ち主は、なんと芸能事務所の社長だった!まさかの“縁”に拾われた諭は、人気女優の運転手をしながら、夜はレンタルビデオショップのアルバイト。それらの人生の出会いの数々が、やがてテレビや映画に“よく見る顔”の俳優・松戸諭を育てていく。そして全米公開された映画出演がきっかけで、アメリカから突然の電話が。ハリウッドのオファーかと思いきや、それは絶縁していた兄にまつわる知らせだった・・・。
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感想・その他
この作品のモデルでもあり出演もしているのが、松尾諭(まつおさとる)さん。顔はよく見かけるけれど、名前までは知らなかった…という方も多いのではないでしょうか。実際、私自身もずっとそんな感じで、「ああ、この人、あのドラマにも出てたな」と思いつつ、名前を意識したことはありませんでした。でも、このドラマを観てからというもの、松尾諭という俳優の名前が、しっかりと頭にインプットされました。思い返せば、彼を初めてしっかり認識したのはドラマ『ノーサイド・ゲーム』でした。企業ラグビーチームを舞台にした骨太な社会派ドラマで、彼は脇を固める重要な役どころで登場していました。まさに「そこにいるだけでリアリティが生まれる」ような存在感。気取らず飾らず、でも確かに印象を残す俳優さんです。
現在放送中の朝ドラ『舞いあがれ!』にも出演されていて、見るたびに「あっ、松尾さんだ」と思うようになりました。朝ドラのような幅広い世代が観る番組での出演は、彼の親しみやすさと演技力の幅広さを証明しているように思えます。
実際のところ、彼は“名バイプレーヤー”として、ものすごい数の作品に出演しています。今思い出しても、『電車男』にも出ていたんですよね。当時は当然ながら名前までは意識していませんでしたが、今ならもう一度観直して、どの役で出ていたのかをじっくり確認したい気持ちです。そういった「実は出てたんだ!」という驚きも、松尾さんのキャリアの面白さのひとつかもしれません。
ところで、私は長らく松尾さんと俳優の田口浩正さんを混同していました。どちらもバイプレーヤーとして印象が強く、なんとなく「似てるなぁ」と思っていたのですが、改めて見比べてみると全然似てない(笑)。でも、こうやってひとりの俳優さんをしっかり認識するきっかけになったのが、『拾われた男』という作品だったのです。
このドラマは、松尾諭さん本人のエッセイをもとにした自伝的作品で、自分の俳優人生や不思議な縁を通して「人に拾われる」というテーマを描いた物語です。フィクションでありながらも、どこかリアルで温かい。観終わったあとに、じんわりと心に沁みるようなドラマでした。そして何より、松尾さんという俳優の魅力が存分に発揮されていたのが、この作品の最大の見どころだったと思います。
もうこれからは、どんなドラマで見かけても「この人、松尾諭さんだ」と即座に言える気がします。それくらい、彼の人柄と演技が私の中にしっかりと刻まれた作品でした。
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