
私的評価
カルロス・サインツの特集番組『Sainz. Born to Compete』を観ました。全6話。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
現在(2022年現在)では、カルロス・サインツと言えばフェラーリのF1ドライバーの方でしょうか。このテレビ番組は、世界ラリー選手権 (WRC) で1990年と1992年に2度のドライバーズタイトルを獲得し、ダカール・ラリー総合優勝3回の実績を持つ、そのカルロス・サインツJr.の父親を追った番組です。
この番組を観終わったその日のF1イギリスGPで、応援しているカルロス・サインツJr.が初優勝したので嬉しかったです。
★★★☆☆
作品概要
出演はカルロス・サインツ、カルロス・サインツJr.、アリ・バタネン、ディディエ・オリオール、セバスチャン・ローブ、そしてフェルナド・アロンソほか。2021年の作品ですが、最後の第6話はアウディの電気自動車で戦う2022のダカールラリーを追った内容となっています。カルロス・サインツがいかにしてスペインの英雄となったのかがよく分かる作品です。作品の紹介・あらすじ
解説
59歳になったカルロス・サインツ。ライバルたちはすでにヘルメットを脱いでいるが、彼自身は毎年高いレベルを維持している。彼の生涯は忍耐の良い例だ。世界ラリー選手権を2度優勝し、ダカールラリーを3度優勝した彼の野心には際限がない。息子がフェラーリのドライバーとしてF1デビューをするなど、カルロスにとって最もエキサイティングな1年に密着する。
1. 生きる伝説
2. 教訓
3. 闘牛士
4. 思いがけぬ幸運
5. 受け継がれるもの
6. ダカールラリー2022
Amazon Prime Video
感想・その他
私が世界ラリー選手権(WRC)という競技に強く惹かれるようになったのは、リアルな車のレースを観たからでも、サーキットに足を運んだからでもありません。きっかけは、1998年に発売されたPCゲーム『コリン・マクレー・ラリー』でした。それまでラリーという競技の存在は何となく知ってはいたものの、まるで未知の世界。ところが、このゲームを通して、その奥深さとスリル、そしてマシンとドライバーの一体感に一気に引き込まれてしまいました。特に山道や雪道、泥道を疾走するラリーカーの挙動を、コントローラー越しに追体験できる臨場感は当時としては衝撃的でした。
そして、ゲームをより本格的に楽しみたくなり、当時“最新鋭の技術”として注目されていたフォースフィードバック(FFB)対応のハンドルコントローラーを導入することに。いまでは当たり前のように流通しているこの種のデバイスですが、当時はまだ日本では珍しく、私はアメリカから個人輸入で購入しました。
ネットショッピング自体がまだ一般的ではなかった時代。英語の注文画面に四苦八苦しながらもなんとか手配し、届くまでは「ちゃんと動くのか?」「関税はいくら取られるんだ?」と不安と期待で胸がいっぱいでした。
けれど、いざ手元に届いたそのFFBハンドルを握った瞬間——その振動や抵抗、滑り出しの感覚に、もう夢中でした。気づけば時間を忘れて走り続け、仮想のラリードライバーに成りきっていたものです。
それからというもの、ゲームだけでは飽き足らず、WRCの世界をもっと深く知りたくなり、総集編のビデオやDVDを買い漁るようになりました。今でも自宅の棚にはその頃のDVDがずらりと並び、時折取り出しては懐かしさに浸っています。また、2008年には北海道で開催されたラリージャパンを観戦しました。
私が持っている総集編の多くは、ちょうどカルロス・サインツがベテランの域に差しかかり、三菱のトミ・マキネンが4年連続で王座を獲った1996年から、スバルのペター・ソルベルグがチャンピオンを勝ち取った2003年あたりまでの時代。カルロス・サインツはこの時期に何度も表彰台に上がりながら、あと一歩で総合優勝を逃し続けるという、実力と運命の狭間に揺れた印象的な選手でした。特に1998年のシーズン最終戦、ラリー・グレートブリテンで、ゴール直前のマシントラブルによってタイトルを逃したあのシーンは、今思い出しても胸が締めつけられます。
そんなサインツが、実は私とほぼ同世代(私の2歳年上)だということを知った時は、ちょっとした親近感も覚えました。そしてさらに驚くのは、その彼がいまだに第一線で走り続けているという事実。ダカールラリーという過酷を極める舞台で、60代になってなおトップ争いに加わる姿は、もはや“伝説”と呼ぶにふさわしいものです。歳を重ねてもなお、挑戦し続ける姿勢には本当に頭が下がります。
あのゲームがきっかけで知ったWRCの世界。それは、単なる“趣味”を超えて、人生の一部といってもいいほど深く、長く、私の中に息づいています。
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