私的評価
映画『ウィークエンド・チャンピオン ~モンテカルロ 1971~』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
60年後半から70年前半、5年間F1レースに出場すれば3人に1人しか生き残れなかった。そんなことをジャッキー・スチュワートが回想します。87年のF1からしか知らない私からすれば、その20年ほど前はそんな時代だったのです。正しく「死と隣り合わせ」の世界でした。
当時のモナコGPの様子が手に取るほどよく分かり、とても楽しめる、そして考えさせられる映画でした。現代F1マシンに搭載されているかのような車載カメラの映像もキレイで、F1好きなら必ず観ないといけない作品です。
★★★★☆
作品概要
監督はフランク・サイモン。製作はロマン・ポランスキー。
主演はジャッキー・スチュワート、その他出演者にヘレン・スチュワート、ロマン・ポランスキー、ケン・ティレルほか。
2013年のイギリス・フランスのスポーツドキュメンタリー映画です。下の解説にあるように一般公開されずに闇に埋もれていたフィルムが、40年経った2013年に公開されました。
作品の紹介・あらすじ
解説
3度の世界チャンピオン経験者で伝説のF1レーサー、ジャッキー・スチュワートの素顔を、友人であるロマン・ポランスキー監督が捉えたドキュメンタリー。1971年モナコ・グランプリの週末を舞台に、サーキット内外でのジャッキーの様子を克明に映し出し、1972年にベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映後、一般公開されず倉庫に埋もれていたフィルムが見つかったことから公開が実現。約40年ぶりに再会した二人が、当時の様子やF1の軌跡を語り合う映像も追加されている。
あらすじ
1971年、モーターレースが好きな映画監督ロマン・ポランスキーは、友人であるF1世界チャンピオンのジャッキー・スチュワートが参戦するモナコ・グランプリに同行し、一緒に週末を過ごす。栄光の頂点にいた天才レーサーのプライベートから白熱のレースシーンまで克明に活写。それから40年ぶりに再会した二人は、その映像を見ながらF1の軌跡を振り返る。
シネマトゥデイ
感想・その他
「ジャッキー・スチュワート」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか。私の場合、3度のF1ワールドチャンピオン、あのタータンチェックの特徴的なキャップをかぶった姿、F1チームオーナー、そして年配のおじいさんといった断片的な印象しかありませんでした。正直なところ、特別に惹かれる人物でもなく、どこか距離を感じていたのも事実です。しかし、ある映画を観て彼に対する見方が大きく変わりました。その映画が描くジャッキー・スチュワートの姿は、単なるレースの英雄ではなく、モータースポーツの安全性向上に尽力した先駆者の一人であり、強い信念と情熱を持つ人物でした。彼の安全に対する取り組みは、単なるパフォーマンス向上ではなく、ドライバーの命を守ることに直結していたのです。映画を通じてその姿勢や努力の背景を知れば、誰もが彼の偉大さを理解できるはずです。
さて、ジャッキー・スチュワートのF1チーム「スチュワート・グランプリ」は1997年から1999年までわずか3年間の参戦でしたが、短い期間ながらも存在感は十分でした。特に最終年となった1999年には1勝を挙げ、コンストラクターズランキングで堂々の4位に食い込みました。この結果は、新興チームとしては驚異的な成績と言えるでしょう。しかし、その年の終わりにチームはフォードに売却され、その金額は約1億3000万ドルにものぼったと伝えられています。
興味深いのは、その後の展開です。フォードが買収したジャガー・レーシングは、2004年にはF1から撤退し、売却価格はわずか1ドル。象徴的な数字ですが、その後このチームはレッドブル・レーシングへと引き継がれ、現在の強豪チームへと成長を遂げました。1ドルで手に入れたチームが、現在のF1を席巻する強豪へと変貌したのは、モータースポーツ界のドラマそのものです。
そしてもう一つ興味深い点として、映画のあるシーンでジャッキー・スチュワートの口から「ヘルムート・マルコ」という名前が語られました。調べてみると、マルコ博士は1971年にマクラーレンのドライバーとしてF1を戦っていたことが判明。現在はレッドブル・レーシングの顧問を務めている彼の過去のドライバー経験を知り、改めてF1の歴史の深さと人間ドラマの豊かさを感じました。
この映画は、単なるモータースポーツの記録ではなく、一人の男の情熱、挑戦、そして未来への志が詰まった作品です。ジャッキー・スチュワートという人物に対する私の認識は、この映画によって大きく変わり、彼を心から尊敬するようになりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿