私的評価
映画『アウトポスト』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
この作品は評価の高い映画として知られていますが、私の感覚では映画『ブラックホーク・ダウン』と比べると戦闘シーンの迫力や緊張感にやや物足りなさを感じました。戦場の混乱や緊迫感は描かれていますが、画面を通して伝わる「臨場感」が少し控えめで、もっと手に汗握る展開を期待していた私にはやや物足りなかった印象です。
また、登場人物の識別が難しく、スコット・イーストウッドとオーランド・ブルーム以外は誰が誰だかほとんど分かりませんでした。実際の戦場では多くの兵士が同じ制服に身を包み、個々の顔や名前が分からない状況を反映しているのかもしれませんが、映画として理解しながら観るにはあと二・三回は再視聴が必要だと感じました。『ブラックホーク・ダウン』でも同じことを感じたのを思い出します。
さらに、敵側のタリバン兵が虫けらのように扱われている描写には違和感が残りました。確かに戦争映画における描写としてリアルさや緊張感を強調する手法かもしれませんが、あまりにも単純化されているため、人間性や状況の複雑さが感じられず、少し考えさせられる部分でした。
総じて、戦闘シーンの迫力や人物描写に改善の余地はあるものの、戦場の過酷さや兵士たちの精神的負担を描こうとする姿勢は伝わってきます。戦争映画ファンには一見の価値がある作品と言えるでしょう。
★★★☆☆
作品概要
監督はロッド・ルーリー。脚本はエリック・ジョンソン、ポール・タマシー。
原作はジェイク・タッパーの『The Outpost: An Untold Story of American Valor』。
製作はポール・タマシー、マーク・フライドマンほか。
主演はスコット・イーストウッド、その他出演者にケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、オーランド・ブルーム、マイロ・ギブソンほか。
2020年に公開されたアメリカの戦争映画です。ジェイク・タッパーが2012年に発表したノンフィクション小説『The Outpost: An Untold Story of American Valor』を原作としており、後に「カムデシュの戦い」と呼ばれる、アフガニスタン紛争で最も過酷な激戦を描いています。
作品の紹介・あらすじ
解説
アフガニスタン紛争で過酷な戦闘が行われた「カムデシュの戦い」の全貌を描いたミリタリーアクション。前哨基地がタリバンの大部隊に包囲され、全滅の危機に陥ったアメリカ軍の兵士が死闘を繰り広げる。『ザ・コンテンダー』などのロッド・ルーリーが監督、『ザ・ファイター』などのエリック・ジョンソンが脚本を担当。『スクランブル』などのスコット・イーストウッド、『アンチヴァイラル』などのケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどのオーランド・ブルームらが出演する。
あらすじ
アフガニスタン北東部にあるアメリカ軍のキーティング前哨基地は補給経路の要とされていたが、四方を山に囲まれた谷底に位置し、標的にされやすい弱点があった。タリバンの襲撃の度に誰かが命を落とす過酷な環境の中、同基地に派遣されてきたロメシャ2等軍曹らは、圧倒的多数の敵に囲まれる不安と戦いながら任務に当たっていた。2009年10月3日早朝、300人以上のタリバン戦闘員が総攻撃を仕掛けてきて、わずか50人ほどのアメリカ兵は絶体絶命の危機に陥る。
シネマトゥデイ
感想・その他
オーランド・ブルームは、坊主頭に兵士の装備といういかにも“男らしい”スタイルが実によく似合います。若い頃から整った顔立ちとしなやかな雰囲気で人気を集めていましたが、最近ではその爽やかさに渋さと落ち着きが加わり、ますます魅力を増しているように感じます。彼が兵士役で印象的だったのは、なんといっても2001年公開の『ブラックホーク・ダウン』。当時はまだキャリアの初期で、画面の中ではどこか初々しく、若さが前面に出ている印象でした。それが今では、同じような軍服姿でもどこか貫禄があり、「歳月って、やっぱり俳優を育てるんだな」と感じさせてくれます。
オーランド・ブルームを世界的に有名にした作品といえば、言わずと知れた『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ、そして『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでしょう。
特に『ロード・オブ・ザ・リング』ではエルフの戦士レゴラスを演じ、その中性的な美しさと弓の腕前で多くのファンを魅了しました。しかしながら、正直なところ私はそれらのシリーズを断片的にしか観ておらず、全体のストーリーや細かな登場シーンはあまり覚えていません。いくつか観たはずなのに、なぜか印象が曖昧なのです。おそらく、映画自体のスケールが大きすぎて、一度の視聴では追いきれなかったのかもしれません。
そして、そんなオーランド・ブルームについて調べていてちょっと驚いたのが、彼の宗教的な背景です。Wikipediaによれば、2004年に仏教に改宗し、創価学会の国際組織である「SGI(Soka Gakkai International)」に入会していたとのこと。もともと仏教に関心を持っていたという彼の選択は、スピリチュアルな側面でも自分自身を深めようとする真面目さがうかがえます。
それ以上に驚かされたのは、創価学会の国際的な広がりです。SGIは現在、なんと193の国と地域に支部を持ち、世界規模で活動しているとのこと。もはや“日本発の新興宗教”という枠を超えた存在になっているのかもしれません。オーランド・ブルームが創価学会員だったという事実よりも、その影響力とネットワークの広さに思わず驚いてしまいました。
ともあれ、歳を重ねるごとに演技にも深みが増し、私生活でも精神的な支柱を見つけたように見えるオーランド・ブルーム。今後の作品でも、これまでとはまた違った表情や役柄を見せてくれることを期待しています。
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