伊藤英明主演、連続ドラマW『トッカイ ~不良債権特別回収部~』のあらすじ・ 感想など

2022年4月8日金曜日

WOWOW ドラマ 連続ドラマ(日本物)

t f B! P L

私的評価

WOWOWの連続ドラマ『トッカイ ~不良債権特別回収部~』を観ました。
全12話、レンタルDVDでの鑑賞です。

全12話という長丁場ではありましたが、テンポの良い展開と緻密な脚本に引き込まれ、最初から最後までまったく飽きることなく観ることができました。登場人物それぞれの思惑が絡み合い、徐々に核心に迫っていく展開には、ついつい次の話が気になってしまい、一気見してしまったほどです。

描かれていたのは、不動産業界を舞台にした欲望と裏切りの世界。1996年当時の東京を舞台にしているとはいえ、あの時代を知っている人間にとっては、あながちフィクションとは思えないリアリティがありました。表沙汰にならないだけで、ドラマで描かれたような出来事――脱法ギリギリの土地取引や、権力と金がうごめく裏交渉――が、実際にどこかで起こっていたのではないかと思えてしまいます。

私自身も、あの異常だったバブル期を社会人としてそれなりに謳歌していました。今思い返してみると、あの頃の世の中はまさに“狂騒の時代”でした。誰もが「この景気が永遠に続く」と本気で信じていたし、地に足をつけることを忘れていたように思います。このドラマを観ながら、そんな過去の記憶がふと甦り、苦笑と共に「ほんとに狂ってたな…」と、しみじみ実感させられました。

中盤から終盤にかけては、イッセー尾形さん演じる“ナニワの悪徳不動産王”との知恵と駆け引きの応酬が非常に見応えがあり、思わず手に汗握る展開に。とにかく存在感が凄まじく、画面に出てくるだけで場の空気を一変させるような迫力でした。主人公との丁々発止の攻防は、まさにこのドラマの白眉と言えるシーンでした。

そして迎えたクライマックス――ラスボスとも言える中村トオルさん演じる冷酷な上層部との対決シーン。こちらは逆に、期待していただけに少し肩透かしを食らったような印象がありました。物語としての決着はきちんとついていたのですが、これまでの緊張感やドラマチックな展開に比べると、あまりにもあっさり終わってしまい、「あれ、もう終わり?」という拍子抜け感が否めませんでした。

とはいえ、全体を通して非常に質の高い作品であり、社会派ドラマとしても、ヒューマンドラマとしても十分に楽しめる内容でした。バブルの光と影を描いた本作は、当時を知る者にとっては“懐かしさ”と“痛み”の両方を呼び起こしてくれる、ある意味で貴重な時間旅行だったと言えるかもしれません。

★★★★☆

作品概要

原作は清武英利の『トッカイ 不良債権特別回収部』(講談社文庫刊)。
監督は若松節朗、村谷嘉則、佐藤さやか。
脚本は戸田山雅司。
主演は伊藤英明、その他出演者には中山優馬、広末涼子、萩原聖人、橋爪功、仲村トオル、イッセー尾形ほか。

WOWOW開局30周年記念として、2021年1月よりWOWOW『連続ドラマW』で放送されました。悪徳債務者からの取り立てを任務とする「トッカイ(不良債権特別回収部)」が、巨額不良債権の回収に奮闘する姿を描いています。

作品の紹介・あらすじ

解説
バブル経済崩壊後の1996年、経営破綻した住宅金融専門会社(住専)の不良債権取り立てを目的とした国策会社「住宅金融債権管理機構(のちの整理回収機構)」が設立された。中でも悪質債務者への取り立てを任務とする不良債権特別回収部(通称・トッカイ)の奮闘は想像を絶するものであった。本作は「連続ドラマW しんがり~山一證券 最後の聖戦~」「連続ドラマW 石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~」に続く、ノンフィクション作家・清武英利の著書の映像化第3弾。6兆7800億円もの不良債権を回収すべく集められた精鋭たちは、不動産王や闇金融、怪物商人らと長きにわたる熱き闘いを繰り広げる。国民の税金を守るために命を懸けて闘う彼らの物語は、大きな社会不安の中にある今だからこそ届けたい壮大な人間ドラマだ。
熱い理想と怒りを持ってチームの指揮を執る主人公を演じるのは、「海猿」シリーズや、映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』など数々のヒット作で主演を務めている伊藤英明。そして、ジャニーズ事務所の若手実力派として注目を集める中山優馬、さらに広末涼子、萩原聖人、矢島健一、橋爪功といった豪華キャストがトッカイチームの面々を熱演する。

あらすじ
1996年、あおば銀行・融資部の柴崎朗(伊藤英明)は、経営破綻した住宅金融専門会社(住専)の不良債権回収を目的とした国策会社「住宅金融債権管理機構(住管機構)」への出向を命じられる。そこには、柴崎と同様に銀行からの出向組の塚野智彦(萩原聖人)のほか、経営破綻した元住専社員の葉山将人(中山優馬)、多村玲(広末涼子)、岩永寿志(矢島健一)らが集められていた。「不良債権を1円残らず回収する」――社長の東坊平蔵(橋爪功)が掲げた至上命題とともに彼らに背負わされた回収額は、6兆7800億円。バブル経済が崩壊し、経営破綻した住専の不良債権処理のため、政府は6850億円もの税金を投入し、国民の怒りを買った。その失政のツケを負わされるかのごとく、回収の最前線に集められた彼らは、バブル経済に踊った怪商、不動産王、暴力団ら悪質債務者と対峙し、国民の税金を守るために命を懸けた熱き闘いを繰り広げていく――。

連続ドラマW

感想・その他

このドラマの中で、ひときわ異彩を放っていた存在――それが、ナニワの不動産王を怪演したイッセー尾形さんでした。登場するたびに空気がピリッと変わり、まるで画面越しに圧を感じるほどの存在感。セリフひとつ、動作ひとつに毒気と諧謔がにじみ出ていて、見ているだけで思わず顔をしかめてしまうほどのふてぶてしさでした。しかし、それこそがまさに彼の狙いであり、見事に役に成りきった演技力には、脱帽せざるを得ません。まさに「嫌な役を完璧に演じ切る」ことのできる数少ない名優だと感じました。

そんなイッセー尾形さんですが、現在(2022年4月時点)で70歳。すでに長年にわたるキャリアを築いてこられた方で、いったいどの頃から活動されていたのか気になり、少し調べてみました。すると、広く認知されるようになったきっかけは、あの伝説的なバラエティ番組『お笑いスター誕生!!』だったとのこと。そう聞いて、なんとなく当時の芸風やコントの雰囲気が頭の片隅からよみがえってきました。

とはいえ、正直なところ、私自身は当時の彼の芸がとびぬけて面白かったという印象はあまりなく、むしろ「ちょっと不思議な人」という印象に留まっていたように思います。独特の間合いや風刺的な視点、シュールな世界観が魅力だったのでしょうが、子どもだった当時の私には少し難解だったのかもしれません。

同じ『お笑いスター誕生!!』で名を上げた芸人に、でんでんさんがいます。どこか芸風に通じるものを感じていたせいか、私の中でこのお二人の印象が重なり、記憶が混同していたこともあったかもしれません。改めてYouTubeで当時の映像を見返してみたのですが、でんでんさんの方が分かりやすい笑いを提供してくれていた印象があり、私にはそちらのほうがしっくりきました。

とはいえ、年月を経た今、イッセー尾形さんが俳優として見せるあの繊細で緻密な演技には、若い頃には気づけなかった魅力が確かにあると感じています。当時は分からなかった良さが、年齢を重ねた今になってようやく見えてきたのかもしれません。俳優として、芸人として、独自の道を貫いてきた彼の歩みには、改めて敬意を抱かずにはいられません。



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1964年生まれ。糖尿病を患ってから、自転車と歩くことを趣味にしています。毎日クスリ飲んでます。

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