私的評価
映画『黒い司法 0%からの奇跡』を観ました。Amazonビデオでレンタルして鑑賞しました。
本作は、アメリカ南部を舞台に、冤罪で死刑判決を受けた人々を救おうと奮闘する若き弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を描いた作品です。単なる法廷ドラマという枠にとどまらず、そこには深く根付く人種差別という社会問題が鮮烈に浮かび上がってきます。
とくに印象的だったのは、無実を訴えても耳を貸さない司法の壁の厚さ、証拠よりも偏見が優先される理不尽さ、そしてそれに立ち向かうブライアンの信念です。弁護士でありながら、脅迫や嫌がらせを受けながらも諦めず、人の尊厳を守ろうとする彼の姿には胸を打たれました。
映画全体を通して、「公明正大であるはずの裁判が、偏見や差別によりいかに歪められているのか」を痛感させられます。死刑囚たちの恐怖と絶望、そして希望をつなぐ一筋の光を描いたこの物語は、単なる法廷映画を超えて、観る人の心を深く揺さぶるものでした。
涙なくして観られないシーンも多く、「無実の罪とどう戦えばいいのか」という問いかけが重くのしかかります。観終わった後も、正義とは何か、人の命を奪う制度の重さとは何かを考えさせられる一本でした。
★★★★★
作品概要
監督・脚本はデスティン・ダニエル・クレットン。原作はブライアン・スティーヴンソンの『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』(亜紀書房)。
製作はギル・ネッター、アッシャー・ゴールドスタイン。
製作総指揮はマイケル・B・ジョーダン、マイク・ドレイクほか。
主演はマイケル・B・ジョーダン、その他出演者にジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソンほか。
2019年のアメリカ合衆国のドラマ映画です。監督は『ショート・ターム』『ガラスの城の約束』のデスティン・ダニエル・クレットン。弁護士ブライアンを演じるのはマイケル・B・ジョーダン、ブライアンが弁護する被告人ウォルター役にはオスカー俳優のジェイミー・フォックス、ブライアンとともに法律事務所で働くエバ役をブリー・ラーソンが演じています。
作品の紹介・あらすじ
解説
えん罪で死刑宣告された被告人の容疑を晴らそうとする弁護士の奮闘を描いた人間ドラマ。ブライアン・スティーヴンソンのノンフィクションを、『ショート・ターム』などのデスティン・ダニエル・クレットン監督が映画化した。主人公を『クリード』シリーズなどのマイケル・B・ジョーダン、死刑囚を『ジャンゴ 繋がれざる者』などのジェイミー・フォックス、主人公の協力者を『ルーム』などのブリー・ラーソンが演じる。
あらすじ
黒人に対する差別が横行している1980年代のアラバマ州。黒人の被告人ウォルター(ジェイミー・フォックス)は、身に覚えのない罪で死刑を宣告されてしまう。新人弁護士のブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は、彼の無実を証明するために奔走するが、陪審員は白人で、証言は仕組まれ、証人や弁護士たちは脅迫されていた。
シネマトゥデイ
感想・その他
ずっと観てみたいと思っていた作品ですが、レンタルショップでは見つからず、Amazonではレンタル料金が500円ほどで少々手が出せずに我慢していました。ところが先日、何気なくAmazonビデオを覗いてみると、なんと100円になっていたので迷わずレンタルしました。この価格なら気軽に視聴できる、と思いながら再生ボタンを押したのを覚えています。実話を基にしたこの物語の舞台は、1980年代のアメリカ南部、アラバマ州。黒人差別がまだ根強く残る地域で、司法の場でも教育の場でも、人種による不平等が色濃く存在していました。先に描かれた映画『グリーンブック』では1960年代が舞台で、アフリカ系アメリカ人にとってはまだまだ暗黒の時代でした。それから20年後の80年代であっても、差別は依然として現実の問題として残っており、さらに言えば2020年代の現代においても、黒人差別や人種差別が完全に消滅したわけではないという現状を考えると、歴史の重さを痛感せずにはいられません。
私が黒人差別や人種差別という問題を意識して知るきっかけとなったのは、ドラマ『ROOTS/ルーツ』でした。これは、作家アレックス・ヘイリーの家系の祖であるクンタ・キンテを中心に描かれる、一族における黒人奴隷の壮絶な歴史を追った作品です。日本での放送は1977年、私が13歳の頃でしたが、40年以上経った今でも「クンタ・キンテ」という名前はすぐに思い出されます。
このドラマを通して描かれた「黒人奴隷時代」という歴史が、知らず知らずのうちに白人社会の潜在意識にも影響を与え、長い年月を経ても差別意識がなかなか消えない要因のひとつになっているのではないか、と私は考えています。単なる過去の出来事ではなく、現代にも続く課題として認識させられる――この映画もまた、観る者に深く考えさせる力を持った作品でした。
コメント