ヴィゴ・モーテンセン主演、映画『グリーンブック』のあらすじ・感想など

私的評価

映画『グリーンブック』を観ました。
レンタルビデオでの鑑賞です。

この映画は、1960年代アメリカ南部を舞台にした実話をもとにしています。人種差別という重くなりがちなテーマを扱っていながら、終わり方がとても心温まるもので、観終わった後に自然と笑顔になれる作品でした。旅の始まりでは互いに距離を置いていた二人――黒人天才ピアニストのドクター・シャーリーと、粗野でお調子者の運転手トニー。ところが、旅を重ねていくうちに、偏見や壁を越えて友情を育んでいく姿が描かれていきます。その過程にユーモアがちりばめられているので、深刻な題材ながらも重苦しさに押しつぶされることなく観られるのが魅力でした。

もちろん、心が痛むシーンもあります。南部のホテルやレストランで受ける理不尽な差別、才能あるピアニストでありながら「人種」というだけで尊厳を踏みにじられる現実。しかしそうした出来事さえも、二人の絆を深めるきっかけとなり、最終的には観る者に希望を抱かせてくれる展開へと繋がっていきます。

人種差別を扱った映画は数多くありますが、『グリーンブック』は後味が優しく、観る者を幸せな気持ちにしてくれる稀有な作品でした。同じく南部の人種差別を描いた『ミシシッピ・バーニング』は、強烈で見応えはあるものの、観終わった後に重い気持ちが残る映画でした。その点、『グリーンブック』は観客を暗闇に突き落とすのではなく、人間の可能性や友情の力を信じさせてくれるのです。

「幸せになれる映画」って、やっぱり良いですね。人種差別という普遍的なテーマを、エンターテインメントとして観やすく、かつ深く心に響かせてくれる――そんな映画に出会えたこと自体が、少し幸せなことなのかもしれません。

★★★★★

作品概要

監督はピーター・ファレリー。
脚本はニック・ヴァレロンガほか。
製作はジム・バーク、ニック・ヴァレロンガほか」。
出演はヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニほか。

2018年のアメリカ合衆国の伝記コメディ映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
黒人ピアニストと彼に雇われた白人の用心棒兼運転手が、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を手に人種差別が残るアメリカ南部を巡る人間ドラマ。『はじまりへの旅』などのヴィゴ・モーテンセンと、『ムーンライト』などのマハーシャラ・アリが共演。『メリーに首ったけ』などのピーター・ファレリーが監督を務めた。アカデミー賞の前哨戦の一つとされるトロント国際映画祭で、最高賞の観客賞を獲得した。

あらすじ
1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、クラブの改装が終わるまでの間、黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手として働くことになる。シャーリーは人種差別が根強く残る南部への演奏ツアーを計画していて、二人は黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに旅立つ。出自も性格も違う彼らは衝突を繰り返すが、少しずつ打ち解けていく。

シネマトゥデイ

感想・その他

「グリーンブック」とはなにか。「黒人ドライバーのためのグリーンブック」と言われ、人種隔離政策時代の1930年代から1960年代に、自動車で旅行する黒人を対象として発行されていた旅行ガイドブックのことです。30年代から60年代と言えば、KKK団も暗躍した人種差別の激しかった時代で、そんな身の危険を感じる南部を、トラブル無しで旅できるように作られました。これがこの映画の題名となっています。

そんな人種差別を扱う映画ですが、雇うのが黒人で、雇われるのが白人。知的な芸術家で金持ちなのが黒人で、体力自慢の単純でガサツなのが白人。
そんな主人公たちは実在の人物で、黒人はジャマイカ系アメリカ人のクラシック及びジャズピアニストであるドン・シャーリーで、白人はイタリア系アメリカ人のマフィアとも関係のあるトニー・ヴァレロンガという人物です。物語も実話がベースになっています。

出演者で言えば、トニー役のヴィゴ・モーテンセンが良い味を出しています。言うなればロバート・デ・ニーロのような雰囲気を醸し出していました。しかし、役によってはまったく違う雰囲気な俳優さんなんですよ。できれば顔画像の検索していただきたい。まったく違う顔なんです。

また、海外ドラマ『ER』に出演していたリンダ・カーデリーニも出演しています。最近は映画でよく目にします。最近観た中では『ハンターキラー 潜航せよ』とか『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』とか。良い感じにお歳を召されています。



ドク「勝ちたければ、品位を保て」
トニー「自分流でいいんだよ、あんたのピアノはすげえんだ」
トニー「寂しいときこそ、一歩踏み出せ」
旅を続けるうちに、互いに互いを認め合う二人。
帰路に出会った警官の「メリークリスマス」と、ドクとトニーの家族との出会い。
感動して、やさしい気持ちになれます。

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