私的評価
南野苑生著『マンション管理員オロオロ日記』を読みました。以前読んだ『メーター検針員テゲテゲ日記』と『派遣添乗員ヘトヘト日記』のシリーズ本第4作で、図書館で予約し読みました。読んでみると、相変わらず南野氏独特のユーモアと観察眼に引き込まれ、軽いタッチでサクッと読めてしまいました。しかし、ただのおもしろ読み物にとどまらず、職業や働き方、日常生活に潜む小さな苦労や気づきを教えてくれる点が、このシリーズの魅力です。読みながら思わず「なるほど」と唸る場面や、「ああ、自分もこう考えなきゃ」と気づかされる瞬間が随所にあります。
シリーズを通して読むことで、普段見過ごしがちな職場や生活の裏側にあるドラマを学べるのも面白いところです。これで残るは第1作目の『交通誘導員ヨレヨレ日記』のみとなりました。最後の一冊もじっくり楽しみに読もうと思います。
★★★☆☆
『マンション管理員オロオロ日記――当年72歳、夫婦で住み込み、24時間苦情承ります』とは
内容説明
マンション管理員といえば、エントランス横にある小さな事務所にちょこんと座っている年輩男性というイメージをお持ちの人が多いのではないだろうか。たしかに管理員は高齢者と相場が決まっている。若くてもせいぜい60歳くらいだろう。ところで、なぜ老人ばかりなのだろう。ずばり言おう。賃金が安いからである。―本書は13年のあいだ、管理員室から眺めてきたドキュメントである。
目次
まえがき―マンション管理員は、なぜ年輩者ばかりなのか?
第1章 管理員室、本日もクレームあり
第2章 嫌いな理事長、大嫌いなフロントマン
第3章 住民には聞かれたくない話
第4章 マンション管理員の用心と覚悟
あとがき―最後の住み込み管理員
著者等紹介
南野苑生[ミナミノ ソノオ]
1948年生まれ。大学卒業後、広告代理店に勤務。バブル崩壊後、周囲の反対を押し切り、広告プランニング会社を設立するものの、13年で経営に行き詰まる。紆余曲折を経て、59歳のとき、妻とともに住み込みのマンション管理員に。以来3つのマンションに勤務。毎夜、管理員室で寸暇を惜しんで書き綴ったのが本作である。
紀伊國屋書店
感想・その他
今回は、マンションの管理員というお仕事がテーマです。私の中での管理員のイメージといえば、刑事ドラマなどでよく登場する、マンションの受付で聞き込みをしているおしゃべりな老夫婦、といったものでした。しかし、実際に「管理員さん」と呼ばれる方々は、我々が漠然と思っている受付係ではなく、建物や住民の生活全体を支える重要な役割を担っていることが分かりました。勤務形態も様々で、通いの日勤だけで働く方もいれば、住み込みで勤務する方もいるのです。この本で描かれているマンション管理会社の住み込み管理員は、家賃不要、光熱費も無料という待遇ですが、それでも夫婦での収入は20万円に満たないとのこと。通い勤務だけなら一見楽そうに思えますが、実際には早朝や夜間、勤務時間外に対応せざるを得ないこともあり、それはそれで大変なようです。
さらに印象的だったのは、人間模様の多様さです。このシリーズ本に登場する「いい人」ばかりのマンションなら、仕事はやりやすく、やりがいも感じやすいでしょう。しかし現実には、必ず「いい人」でない人も存在します。そうした人々と向き合い、職務を全うする管理員の方々の苦労や忍耐を知ると、日々の生活の裏で支えてくれている人たちへの尊敬の念が自然と湧いてきます。
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