
この部屋で、キイは一日の大半をぽつんと過ごしている。
窓から差し込む光の中で眠ったり、壁の影を追いかけたり。そんなことをして過ごしているのであろう。しかし、やはり人の気配が恋しいのだろう。私がローラー台にまたがった瞬間、彼女は待っていましたとばかりに駆け寄ってくる。
そして器用に自転車をよじ登り、膝の上に収まろうとするのだ。困ったことに、ペダルを回せなくなるだけでなく、バランスを崩せばこちらも危ない。まるで「今は私を見て!」と全身で訴えてくるようで、嬉しいやら困るやら。
結局、ひょいと持ち上げて近くの台に座らせるのだが、そこで大人しくしていてくれるわけではない。目を離せば、またすぐに自転車へアタック。後輪やチェーンに巻き込まれてしまえば、一巻の終わりである。可愛い相棒が思わぬ事故に巻き込まれるなんて、想像するだけで背筋が冷たくなる。
ローラー台の上での時間は、本来なら汗を流してリフレッシュするはずなのに、いまや「キイ監視運動」と化してしまった。どうにかして安全と安心を両立させる方法を見つけなければならない。もしかすると、私のトレーニングよりも難易度の高い課題かもしれない。
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