私的評価
海外連続ドラマ『タルサ・キング』のシーズン1・2(各10話)を観ました。それぞれのシーズンで全10話、Amazonプライムビデオでの視聴です。
正直なところ、シーズン1の序盤は「いつ視聴をやめてもいいかな」と思うくらいの印象でした。しかし、物語が進むにつれて次第に人物同士の関係性や駆け引きが面白くなり、気づけば引き込まれていました。特にシーズン2は展開がさらにスリリングで、敵が味方になったり、逆に味方が敵に回ったりと、人間関係の揺れ動きが非常に見応えがあります。
シーズン2の終盤では、一見すると「めでたし、めでたし」で物語が完結したかのように感じられました。ところが最後の最後で大きなひねりが入り、「これはシーズン3へ続くな」と思わせる終わり方。思わず続きを期待せずにはいられません。
ただ、調べてみるとシーズン3の撮影がもう始まっているとのこと。日本で観られるのはまだまだ先だとは思いますが、物語の続きがどう描かれるのか、ぜひ早く観てみたいところです。
★★★★☆
作品概要
監督はクレイグ・ジスク、アレン・コールター、ガイ・ファーランド、ベンジャミン・セマノフ、ロッジ・ケリガン、ベン・リチャードソン。脚本はテレンス・ウィンター、ジョセフ・リコビーニ、テイラー・シェリダン。
主演はシルヴェスター・スタローン、その他の出演はアンドレア・サヴェージ、マーティン・スター、ジェイ・ウィル、マックス・カセラ、ドメニク・ランバルドッツィ、ヴィンセント・ピアッツァほか。
ファミリーのために25年間も刑務所暮らしをした主人公ドワイト。ところが、出所後に待っていたのは冷たい仕打ちで、ニューヨークから片田舎の都市・タルサへ飛ばされ、新たなビジネスを立ち上げるよう命じられます。そんな主人公を、テレビドラマ初出演となるシルベスター・スタローンが熱演する本作は、痛快なクライムドラマです。 “戦力外通告”を受けてもひるむことなく、地元の人々を味方につけ、独自のマフィア流の手腕で犯罪組織を築き上げていくドワイト。その勢いは瞬く間にタルサの覇権を握るまでに広がっていきます。
2021年にアメリカで配信されたシーズン1第1話は、初日視聴者数が260万人を突破。当時のParamount+におけるオリジナル脚本ドラマとして史上最高の視聴者数を記録し、一躍大ヒットシリーズとなりました。
作品の紹介・あらすじ
解説・あらすじ
殺人の罪で25年間にわたり服役していた、ニューヨークのマフィアのドワイト・マンフレディ。ファミリーを守るべく、仲間を売らずに刑務所で25年間耐え忍んだドワイトだったが、出所後、歓迎されるはずのファミリーは長い年月の間にすっかり変わり果ていた。オクラホマ州のタルサという片田舎の町に行きを命じられ、そこで新しいビジネスを始めるよう言い渡される。それは事実上の厄介払い。ドワイトは、運転手の青年や大麻を売りさばく店の店長、地元バーのオーナーなどを味方にし、犯罪組織を立ち上げ、“マフィア流のやり方”でまたたく間にタルサの覇権を掌握していく。
地元のバイカー・ギャングとの抗争や、出所後のドワイトの動向をしつこく追う警察組織の目を掻い潜りながらタルサでの新しい人生を切り開く中で、ドワイトは自らの過去や家族との関係に向き合っていく。タルサで勢力を拡大し続けるドワイトと仲間たちが、新たなギャングと地元の実業家から圧力をかけられる。そして決別を誓ったはずの元ファミリーもドワイトの前に現れ事態は混沌極めることに。タルサの全てを掌握しようと画策する彼らとドワイトたちの衝突の末に、タルサの支配権を確実のものとしていく。
感想・その他
スタローン演じる主人公ドワイトが、タルサに来て最初に仲間にしたのが若者タイソンです。彼を演じているのは、俳優でありラッパーでもあるジェイ・ウィル。そしてその父親役を務めているのが、ベテラン俳優マイケル・ビーチです。彼は近年、多くのドラマで存在感を発揮しており、画面に登場するたび「あ、この人また出てるな」と思わせる顔ぶれのひとりです。私がマイケル・ビーチを初めて意識したのは、ドラマ『ER緊急救命室』でした。彼はジェニー・ブレ(演:グロリア・ルーベン)の夫アルとして出演し、妻とは別の女性からHIVを感染し、さらに妻に感染させてしまうという役柄を演じていました。そんな細かな設定も記憶に残っており、以来、我が家では彼のことを親しみを込めて“アル”と呼んでいます。それだけ『ER』を繰り返し観ていた、ということでもあります。
話を戻すと、本題はジェイ・ウィル演じるタイソンについてです。シーズン2では、父“アル”が爆弾で負傷し、その出来事をきっかけに復讐に走ります。しかし、誤った相手を標的にしてしまい、その報復としてドワイトの仲間が銃撃され命を落とすという悲劇が起こります。ところが、その葬儀の帰り道での車中シーン。タイソンは何事もなかったかのように冗談を言い、笑い声をあげているのです。彼が招いた悲劇に対する反省の色は一切なく、同乗しているドワイトたちも咎める様子はなく、むしろ一緒に笑っている。
その場面を観ながら、私は強い違和感を覚えました。日本人の感覚からすれば、とても笑える状況ではありません。悲しみや悔しさ、あるいは罪悪感が表に出て然るべき場面で、彼らはそんな表情をまったく見せていません。これは文化の違いなのか。とても違和感の残るシーンでした。
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