
私が北海道でWRC(世界ラリー選手権)を初めて観戦したのは、2008年の秋のことでした。場所は当時のラリージャパンの舞台、十勝エリア。10月から11月にかけて冷え込みが本格化する時期で、朝は氷点下になることもあり、手がかじかみながら観戦していた記憶があります。でもその寒さすら、あの爆音と土煙を巻き上げるマシンたちの迫力にすべて吹き飛ばされていました。目の前を猛スピードで駆け抜けるラリーカーの姿と、その後に残る静寂。初めて味わう“本物”のWRCの現場でした。
そして、F1(フォーミュラ1)を初めてサーキットで生観戦したのは、それから3年後の2011年10月、鈴鹿サーキットでの日本グランプリでした。あの独特のエンジン音――重低音というより「鋭く突き刺さる高周波」。テレビでは絶対に伝わらないあの音圧。そして、ものすごい速度でコーナーを抜けていくマシンの姿。いまでもそのときの緊張感と興奮ははっきりと思い出せます。ヘアピンでのブレーキング、立ち上がりの加速、そしてスタンドの観客たちのどよめき……「ああ、これがF1なんだ」と心の底から実感した瞬間でした。
あれからもう十数年。気がつけばすっかり観戦から遠ざかっていた私ですが――
なんと2025年、WRCもF1も、久しぶりに日本で開催されることが決定!
しかも、WRCは愛知・岐阜エリア、F1は三重・鈴鹿と、どちらも“ほぼ地元開催”といっても差し支えない距離。これはもう、行かない理由がありません。半ばお祭りのような感覚で、観に行く気満々で構えていました。
……が、現実は甘くなかった。最大の壁は「チケット争奪戦」です。
まずWRC。ラリーカーのバトルを間近で観られるSS(スペシャルステージ)観戦チケットは、発売と同時に一瞬で売り切れ。結局、私が確保できたのは「サービスパーク」の入場券のみ。豊田スタジアムが舞台となるこのサービスパークでは、競技後のラリーカーの整備風景やメカニックたちの作業、ドライバーのインタビューなどが観られる予定。大型ビジョンでの中継もあるとはいえ、やっぱり実際のSSで轟音と砂煙を浴びながら観るラリーとはまったく違うんですよね……。うーん、物足りなさは否めないけれど、それでも現地の空気を感じられるだけでもありがたい、と自分に言い聞かせています。
一方のF1。こちらは「西エリア観戦券」をなんとか入手できました。これはサーキットの自由観戦エリア、つまり“指定席なし”。芝生の丘にレジャーシートを敷いて観戦する、いわば“ピクニック観戦”です。座る場所の確保は早い者勝ち。場所取りのために早朝から並ぶ覚悟が必要です。しかも屋根も何もないので、天気に左右されること間違いなし。もし雨が降ったら、観戦どころじゃない。ぬかるんだ地面に荷物を抱えて耐え凌ぐしかない……。快晴の秋空を願うしかありません。
とはいえ、こうしてまたWRCやF1の“熱”が自分の中に戻ってきたこと自体が、ちょっと嬉しかったりもします。あの時感じた「震えるような感動」を、もう一度生で味わえるチャンスが目の前にあるわけですから。
フェスのように楽しめるWRCのサービスパーク。
自然との闘いでもある丘観戦のF1。
どちらも一筋縄ではいかないけれど、それもまた“現地観戦”の醍醐味。
あとは、当日の天気と、体力と、少しばかりの運……いや、だいぶ運。
どうか、最高の一日になりますように――。


土曜日は朝から晩まで、のんびり過ごす予定ですが……もしかしたら、早々に疲れて帰っちゃうかも?
いや、せっかくの機会だから、やっぱり満喫しないともったいない!
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