
私的評価
砂川文次著『小隊』を図書館で借りて読みました。確か新聞の広告記事を見て図書館で予約した記憶ですが、定かではありません。ひょっとしたら中日新聞の日曜日に載っている、3冊の本を紹介する記事だったかもしれないです。「北海道にロシア軍が上陸し自衛隊が応戦。元自衛官の著者がその攻防を描く。2020年芥川賞候補作」こんな紹介文が書かれていれば、私が読みたくなるのは致し方ありません。
出るわ出るわの専門用語は我慢できても、主人公の心の内の描写がだらだらと続く改行の少ない文書は読み難く、読む気が失せさせます。戦闘シーンはリアルで臨場感がありますが、もうちょっと読みやすい文章だったならと思います。また、この「小隊」には、ロシアがどうして攻めてきたのか、この戦争が最後にどんな結末を迎えるのか、などはまったく書かれていません。書かれているのはロシア軍と向き合う小隊長と小隊の物語です。
★★☆☆☆
『小隊』とは
出版社はサンマーク出版、発売日は2021年3月。内容紹介
出版社内容情報
■ロシア軍が北海道に侵攻。元自衛官の芥川賞作家による衝撃作
ロシア軍が北海道に上陸。
自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。
避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々――。
そんな安達の〝戦場〟は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。
軍事描写のあまりのリアルさに話題となり、
専門家をも唸らせた『小隊』に
デビュー作『戦場のレビヤタン』を合本して文庫化。
「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞、
元自衛官という異色の経歴をもつ作家が放つ、
衝撃の戦争小説3篇。
内容説明
ロシア軍が北海道に上陸。自衛隊の3尉・安達は敵を迎え撃つべく小隊を率いて任務につく。避難を拒む住民、届かない敵の情報、淡々と命令をこなす日々―。そんな安達の“戦場”は姿を現したロシア軍によって地獄と化す。「自衛隊の戦争」を迫真のリアルさで描く表題作ほか、元自衛官の芥川賞作家による戦争小説3篇。
著者紹介
砂川文次[スナガワ ブンジ]
1990年大阪府出身。陸上自衛官であった時に書いた「市街戦」で、2016年に第121回文学界新人賞を受賞し作家デビュー。「戦場のレビヤタン」が第160回芥川龍之介賞候補作、「小隊」が第164回芥川龍之介賞候補作となり、今年1月、「ブラックボックス」で第166回芥川龍之介賞を受賞。
紀伊國屋書店
感想・その他
この小説では、ロシア軍が国後島や樺太を経由して北海道に侵攻してくるという、まるで現実の延長線上にありそうな戦争のシナリオが描かれています。読むうちにどうしても、今現在(2022年8月)ウクライナで実際に行われている戦闘のことを思わずにはいられませんでした。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、すでに半年以上が経過しました。ニュースで報じられる前線の様子は、日々過酷さを増しています。最前線で戦うウクライナ兵やロシア兵たちは、おそらく何日もシャワーを浴びることもできず、冷たい戦闘食を口にしながら、地面に寝転がるような生活を強いられているはずです。そして、常に「死」と隣り合わせの状態に置かれているのです。
この小説『小隊』に描かれているような極限状態の兵士たちの姿は、まさに今の戦場の現実そのものと言えるのではないでしょうか。作中では、極度の疲労、士気の低下、兵士間の緊張や疑念、そして命令に従うことの意味が問われるシーンが描かれており、読んでいて胸が締めつけられるような気持ちになります。
ロシアは慢性的な兵員不足を抱えていると言われていますが、果たして兵士のローテーションや補給はうまく機能しているのでしょうか。もしもこの小説のような状況が現実にも起きているとすれば、特にロシア側の兵士たちは、すでに肉体的にも精神的にも限界を超えているのではないかと思わざるを得ません。
戦争が長引けば長引くほど、戦う側の心身はすり減り、被害は拡大する一方です。一刻も早く、ロシアがウクライナから完全に撤退し、自らの侵略行為を認め、被害に対する賠償を含めて「敗北」を受け入れるべきだと強く感じます。
小説『小隊』はフィクションではありますが、そのリアリティの高さゆえに、戦争の非情さと人間の限界を強く実感させられる作品でした。そして同時に、現実の戦争のむごさにも目を向けざるを得なくなる一冊でした。
小隊(しょうたい)は、軍隊の編成において中隊より下位で、分隊より上位の部隊。
小隊は、おおむね2~4個の分隊(陸上自衛隊普通科連隊において班)で編成され、兵科、装備、時代・任務内容などによって規模はさまざまであるが、おおむね10~50名程度の兵員を有する。下位に「分隊」を設ける場合には、30~50名程度となることが多い。
指揮官には、下級将校または上級下士官が補職される。英語ではPlatoonで略称は「Pt」とされる。
Wikipedia
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