私的評価
映画『ノイズ』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
負の連鎖の始まりとなる最初の殺人ですが、これはどちらかと言えば正当防衛でした。その場に警察官も居たわけで、ちゃんと経緯を話していればと、どうしても思うわけです。しかし、それではそこで物語は終わってしまい、映画になりませんからね。でも、隠ぺいしなければならないという動機が弱いんですよね。もうちょっと我々を納得させることができる、最初の殺人の方が良かったです。
この映画の肝となる主人公夫婦の子供の紙芝居の真意とは何だったのか。この私にも分かるように、もうちょっとヒントが欲しかったです。
藤原竜也、松山ケンイチ、そして神木隆之介、脇役も豪華な布陣です。そして、最後まで面白く観られる映画でした。
★★★☆☆
作品概要
監督は廣木隆一。脚本は片岡翔。
原作は筒井哲也の漫画『ノイズ【noise】』。
製作は筒井竜平、福島大輔。
主演は藤原竜也、その他出演者に松山ケンイチ、神木隆之介、黒木華、永瀬正敏、柄本明、余貴美子ほか。
2020年1月公開の日本映画です。原作は筒井哲也が2017年から「グランドジャンプ」で連載した漫画『ノイズ【noise】』です。元受刑者が平和な島に入り込んだことから起こる悲劇を描いた映画です。
作品の紹介・あらすじ
解説
『DEATH NOTE デスノート』シリーズで共演した藤原竜也と松山ケンイチが主演を務めたサスペンスドラマ。平穏な島に暮らす青年たちが犯してしまった殺人が、彼らや島民の運命を大きく狂わせていく。筒井哲也のコミックが原作で、監督は『彼女』などの廣木隆一、脚本は『町田くんの世界』などの片岡翔が担当する。
あらすじ
猪狩島に暮らす青年・泉圭太(藤原竜也)。生産を始めた黒イチジクが評価され、島が5億円の地方創生推進特別交付金を受けられることになり、彼は過疎化に苦しむ島の人々に希望を与えられた喜びをかみしめていた。そんな折、小御坂睦雄という男が島に現れる。圭太と猟師の田辺純(松山ケンイチ)、警察官の守屋真一郎は、不審な言動の彼を警戒していたが、誤って殺してしまう。殺人を隠ぺいしようとする3人だが、殺人鬼で元受刑者だった小御坂の足取りを追っていた県警が島に乗り込んでくる。
シネマトゥデイ
感想・その他
元受刑者役の渡辺大知さん。彼が演じた人物は、観ていて本当に胸が悪くなるような不気味さと狂気を感じさせる存在でした。スクリーンを通してでも伝わってくるその「異物感」は凄まじく、まさに“ノイズ”の象徴。物語の中で彼が命を落とす瞬間、思わず「やっとか……」と安堵してしまった自分に気づき、演技力とは恐ろしいものだと改めて感じました。彼の静かなる狂気、感情を読み取りにくい視線、そして突然の爆発。どれもが圧巻で、まさに「役に憑依する」とはこのことだと思わされます。そんな渡辺大知さん、現在放送中のNHKの朝ドラ『ちむどんどん』にも出演していました。演じていたのは、沖縄の資産家の御曹司で、主人公・暢子の姉にしつこく言い寄る“ちょっと面倒な男”。こちらでも一貫して、どこか気持ち悪さをまとった雰囲気を醸し出していましたが、物語が進むにつれてその裏にある優しさや誠実さが見えてきて、最終的には「案外、いいヤツだったな」と思わせてくれる役でした。まさに“気持ち悪いけど嫌いになれない”という絶妙なバランスを持つ俳優。これからさらに注目されていく存在だと思います。
また、神木隆之介さんの母親役を演じたのは鶴田真由さん。彼女がもう“母親役”を演じる年代になったのかと、正直少しショックを受けました。若い頃の彼女を知る世代としては、時の流れを痛感せざるを得ません。しかし、あの落ち着いた佇まい、凛とした声のトーンは、今も昔も変わらず魅力的で、むしろ年齢を重ねたことで増した深みさえ感じます。とはいえ、「鶴田真由さんが出てた代表作って何?」と聞かれると、意外と具体的に挙げられない自分がいて、なんだか悔しいような不思議な気持ちにもなります。それでも印象には深く残る女優さん。それだけ彼女の演技は“空気を支配するタイプ”なのかもしれません。
ちなみに本作の撮影には、我らが愛知県・知多半島が使われていたそうです。知多の海や港町の雰囲気が、物語の緊張感や孤立感をより一層際立たせていて、地元民としてはちょっと誇らしい気持ちになりました。知っている風景がスクリーンの中で別の顔を見せてくれるのは、映画ならではの面白さですね。
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