私的評価
映画『そして、バトンは渡された』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
確かにお涙頂戴で、私も涙を流しました。しかし、冷静になって、石原さとみさん演じる梨花のことを考えてみます。血の繋がらない子供のためだけに、取っ替え引っ替え旦那を代えているんです。例えばピアノが習いたいと言い出した子供のため、金持である老人の域に達している男性と結婚。その金持ちの男性の年齢が心配になると、次は高学歴の男性と結婚。しかも、子供がいることは結婚式当日まで内緒…。そんなことに付き合わされて結婚した男達っていったい…、と思わずにはいられませんでした。
★★★☆☆
作品概要
監督は前田哲。脚本は橋本裕志。
原作は瀬尾まいこの同名小説。
製作は田口生己、飯沼伸之、白石裕菜。
主演は永野芽郁、その他出演者に田中圭、石原さとみ、大森南朋、市村正親ほか。
2021年10月公開の日本映画です。血の繋がらない大人たちに育てられ、4回も苗字が変わることになった少女の話です。
作品の紹介・あらすじ
解説
第16回本屋大賞で大賞を受賞した、瀬尾まいこの小説を原作にしたドラマ。血のつながらない親のもとで育った女性と、まな娘を残して失踪した女性の運命が意外な形で交錯していく。『老後の資金がありません!』などの前田哲がメガホンを取り、『いぬやしき』などの橋本裕志が脚本を担当。『君は月夜に光り輝く』などの永野芽郁、『mellow メロウ』などの田中圭、『忍びの国』などの石原さとみをはじめ、岡田健史、大森南朋、市村正親らが出演している。
あらすじ
血のつながらない親たちをたらい回しにさせられ、名字を4回も変えた森宮優子(永野芽郁)。いまは義父・森宮さん(田中圭)と二人暮らしをする彼女は、不安ばかりな将来のこと、うまくいかない恋や友人たちとの関係に悩みながら、卒業式で弾く「旅立ちの日に」のピアノの特訓に打ち込んでいた。やがて彼女の人生と運命は、かつて深い愛情を注いでいた娘みぃたんを残して姿を消した女性・梨花(石原さとみ)と不思議な形でつながる。
シネマトゥデイ
感想・その他
この映画には戸田菜穂さんが出演しています。演じていたのは、思春期を迎えた男子高校生の母親役。落ち着いた雰囲気と、子どもに向けるまなざしの中に揺れる複雑な感情を丁寧に表現していて、静かながらもしっかりとした存在感を放っていました。1974年生まれの戸田さんも、いつの間にか“母親役”が自然にハマる年齢となっていたことに、しみじみとした時の流れを感じます。
実は戸田菜穂さんは、私がずっと贔屓にしている女優さんの一人です。最初に彼女の名前を意識したのは、NHK朝の連続テレビ小説『ええにょぼ』でした。毎朝観ていたはずなのに、ストーリーの細かい内容までは正直思い出せません。ただ、画面の中に佇む戸田さんの柔らかな笑顔や、控えめで品のある所作が、当時の私にはとても印象深く、それが今に続く好感の原点だったように思います。
それから年月が流れ、あらためて戸田菜穂さんの魅力に心を奪われたのが、WOWOWのドラマ『マークスの山』でした。彼女が演じていたのは、犯人・正木(演:高良健吾)の恋人という難しい役どころ。正木の抱える闇や孤独に寄り添い、彼の全てを受け止めるかのような眼差しと包容力。決して多くを語らない役ですが、その沈黙のなかに「理解」「赦し」「祈り」のような感情が見え隠れして、ただただ心を打たれました。
彼女の演技を観ていると、まるで岩崎宏美さんの名曲「聖母たちのララバイ」の歌詞が浮かんできます。「献身」と「愛情」——この二つを体現するような、深みと静けさを併せ持った演技。まさにその時、私は完全に戸田菜穂さんに魅了されていたのです。
清楚で可憐、それでいて芯のある強さを感じさせる戸田菜穂さん。これから年齢を重ねていく中で、母親役はもちろん、祖母役、さらには物語の核を支えるような役柄へと、ますます活躍の場を広げていくことでしょう。
その一つひとつの演技に、観るたびにまた新たな一面を発見できる。そんな俳優であり続けてくれることを、心から期待しています。
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