神木隆之介主演、連続ドラマW『鉄の骨』のあらすじ・感想など

私的評価

WOWOWの連続ドラマ『鉄の骨』を観ました。
全5話、レンタルDVDでの鑑賞です。

WOWOWドラマ、しかも池井戸潤原作作品ということもあり、面白さは期待通り、いやそれ以上でした。あまりの引き込まれ具合に、貴重な土曜日の休みをまる一日潰してしまったほどです。一話ごとに展開が巧みに組み立てられており、止めどなく次の話へと引き込まれてしまいました。

物語は、中堅ゼネコンの業務部、いわゆる“談合部隊”に配属された若手社員を軸に展開されます。新しい部署での仕事の難しさ、社内外の圧力、上司や取引先との板挟み――若手社員の苦悩や葛藤がリアルに描かれ、視聴者もつい肩に力が入ってしまいます。業界に詳しくない私でも、「必要悪」とされるゼネコンの入札談合の仕組みや、そこに潜む人間関係の複雑さが分かるように巧みに描写されており、非常に勉強になりました。

また、最近は悪役が板についている西岡徳馬さんが演じる政治家役も印象的です。スクリーン越しでも存在感が際立ち、「現実にもこんな政治家がいるのだろうか」と思わず身を乗り出してしまうほどの説得力がありました。物語の緊張感とリアリティを支える重要な役どころでした。

『鉄の骨』は、業界の裏側をリアルに描きつつ、登場人物の人間ドラマも丁寧に描かれている、池井戸作品らしい見応えのあるドラマでした。見終えた後の余韻も大きく、改めてWOWOWドラマのクオリティの高さを実感できる作品です。

★★★★☆

作品概要

原作は池井戸潤の『鉄の骨』(講談社文庫)。
監督は鈴木浩介、北野隆。
脚本は前川洋一。
主演は神木隆之介、その他出演者には中村獅童、内野聖陽、土屋太鳳、柴田恭兵、宮川一朗太ほか。

2020年冬にWOWOWで放送されました。原作の『鉄の骨』は、講談社の月刊文芸PR誌『IN★POCKET』2007年5月号から2009年4月号に連載され、2009年10月7日に講談社から単行本が刊行されました。2010年7月には、小池徹平主演でNHKでテレビドラマ化されています。

作品の紹介・あらすじ

解説
ベストセラー作家・池井戸潤の発行部数60万部を超える同名小説を神木隆之介主演でドラマ化。これまで数々の池井戸潤原作ドラマを世に送り出してきたWOWOWが満を持して放つ本作は、中堅建設会社の若手社員の奮闘する姿とともに、「談合」は“必要悪”かをテーマに迫力のある人物描写で描く。主演は、映画、ドラマと数々の話題作に出演し、20年以上のキャリアを持つ実力派俳優・神木隆之介。池井戸原作ドラマに登場するのは初となる。
そして共演者には、内野聖陽、中村獅童、土屋太鳳、柴田恭兵、石丸幹二、向井理、小雪という超豪華なオールスターキャストが集まった。会社とは、組織とは、守るべき信念とは、そして正義とは―。自らの理想と、会社員としての使命の狭間で葛藤する姿を描く本作は、原作刊行から10年たつ今、コンプライアンスが問われる時代にも通ずる不変のテーマを持つ、現代社会で生きるすべての人に贈る迫真の人間ドラマだ。WOWOWの社会派ドラマの原点ともいえる池井戸潤とのタッグが骨太なストーリーで真正面から挑む!

あらすじ
中堅建設会社入社4年目の若手社員・富島平太(神木隆之介)は、不器用ながらも建設現場を愛する実直な男。そんな平太がある日突然、畑違いの「業務部」へ異動を命じられる。そこは公共事業などの大口案件の受注を担当する「談合部」と揶揄される部署だった。くたびれた顔の部長や長年業務部にいる頼れる先輩、泰然自若とした女性の先輩、会社を支える切れ者の常務らとともに2000億円規模の公共工事の受注を目指す平太は、やがて談合を取り仕切る業界のフィクサーとの交流を深め、欲望やしがらみを目の当たりにする。
談合は“必要悪”なのか―。平太は“理想”と“現実”の間でもがきながらも会社の命運を握る仕事にやりがいを見いだしていく。一方、入札は大胆な技術革新に成功した平太たちがリードするが、そこに老練なライバル社の幹部たちが立ちはだかる。さらに大物政治家の官製談合を追う検察特捜部も動きだし、やがて平太にも捜査の手が伸び…。

連続ドラマW

感想・その他

このドラマで一番カッコよかったのは、なんといっても柴田恭兵さん。あの髭がまたよく似合うんです。2021年12月時点で70歳!1951年生まれなんですよね。それなのにあの軽やかさと渋さ、さすがです。

思い返せば、私が柴田恭兵さんを初めてちゃんと認識したのは、1981年放送の『プロハンター』。当時、私は17歳。恭兵さんは30歳でした。ちなみに主役だった草刈正雄さんは29歳だったので、年上なのに妙に若々しく見えた記憶があります。ギラついた雰囲気があって、とにかく画面映えする俳優さんでした。

その『プロハンター』の中で、恭兵さん演じるキャラが「かめちょろ」って呼ばれてたな〜と思ってたんですが、最近になってそれが「かべちょろ」だったと知って、ちょっと衝撃(笑)。調べてみたら、「かべちょろ」って九州北部や山口県の一部でヤモリを指す方言なんだとか。たしかに元怪盗って設定だったから、壁を這うようにスルスル動く感じ、わかる気がします。

でも、あのあだ名ってドラマの中でどういう流れで出てきたんだろう?草刈さんや藤竜也さん演じるキャラが九州出身って設定でもあったのかな?…なんて気になってきて、久々にもう一度『プロハンター』を見返してみたくなりました。

それにしても、40年経っても恭兵さんは恭兵さん。年を重ねても変わらぬカッコよさには、ほんと脱帽です。

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