ヴォータン・ヴィルケ・メーリング主演、映画『タイムリミット 見知らぬ影』 のあらすじ・感想など

私的評価

映画『タイムリミット 見知らぬ影』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

物語は、クルマに仕掛けられた爆弾によって、父と子が車内に閉じ込められてしまうというシンプルながらも非常にスリリングな設定から始まります。外に出れば即爆発、逃げ場のない密室状態で、彼らは犯人の要求に従わざるを得なくなるのです。

映画の大部分は車内での親子の姿を中心に描かれているのですが、限られた空間にもかかわらず、息苦しいほどの緊迫感が画面からひしひしと伝わってきました。犯人からの指示が次々と突きつけられる中で、父親はどうにか子どもを守ろうと必死になり、その必死さが観る側の心にも直に響いてきます。時間が進むごとに追い詰められていく展開は、まさに「タイムリミット」というタイトルにふさわしいものでした。

ストーリーは徐々に緊張感を高めながら展開し、観ているこちらも気がつけば画面に釘付け。アクションの派手さよりも心理的な圧迫感を武器にした作品であり、父子の絆や、極限状態で人間がどう行動するのかといったテーマも感じ取れました。全体として、とても引き込まれるサスペンスで、最後まで飽きずに楽しめる一本でした。

★★★☆☆

作品概要

監督・脚本はクリスティアン・アルヴァルト。
原作はアルベルト・マリーニのオリジナル脚本。
製作はジークフリート・カムル、クリスティアン・アルヴァルト、ティム・オーバーヴェラント。
製作総指揮はトマス・ヴァイマル、ヨナタン・ザウバッハ。
主演はヴォータン・ヴィルケ・メーリング、その他出演者にハンナー・ヘルツシュプルンク、クリスティアーネ・パウルほか。

2018年のドイツのアクション・スリラー映画です。。2015年のスペインのスリラー映画『El desconocido』のリメイク作品です。

作品の紹介・あらすじ

解説
『パンドラム』などのクリスティアン・アルヴァルトが監督と脚本を手掛けるサスペンス。ベルリンの街を背景に、脅迫者から理不尽な要求を突きつけられる主人公の姿を描く。『ピエロがお前を嘲笑う』などのヴォータン・ヴィルケ・メーリングが主人公を演じ、『4分間のピアニスト』などのハンナー・ヘルツシュプルンクらが共演。爆弾という脅威で主人公に迫る犯人との慌ただしく変化する状況を描写する。

あらすじ
ベルリンの不動産会社に勤めるカール(ヴォータン・ヴィルケ・メーリング)は、大きな建築計画に携わっていた。ある月曜日の朝、彼は娘ヨゼフィーネと息子マリウスを車の後部座席に乗せて学校へ送って行く途中で、見知らぬ男性から脅迫電話を受ける。脅迫者はカールたちが座席を離れると爆発が起きる特殊な爆弾を車に仕掛けたと話し、大金を要求する。

シネマトゥデイ

感想・その他

この映画に登場する現地警察の指揮官が、なんとも言えない存在でした。彼は単純すぎる思考回路の持ち主で、時に笑ってしまうほど無能。映画などではよくある「肩書きだけは立派なエライさん」という典型的なキャラクターですが、本作でもその役回りを見事に体現していました。

しかし、その無能さが物語を大きく揺さぶります。本来であれば主人公たちを守るべき立場にあるはずなのに、彼の稚拙な判断や場当たり的な対応が、逆に主人公たちをさらなる危機へと追い込んでしまうのです。観ている側としては「頼むから余計なことをするな!」と叫びたくなる場面の連続でした。映画としてハラハラ・ドキドキ感を増幅させる仕掛けになっているのは理解できるのですが、あまりに度が過ぎた間抜けぶりには白けてしまい、作品そのものを少し陳腐にしてしまっている印象も否めませんでした。

特に印象的だったのはラストシーン。「あっ、そこで助けないんだ…」と唖然としてしまう展開で、日本人の感覚からすると非常に違和感が残るものでした。日本の作品であれば、たとえ多少ご都合主義であっても救いの手が差し伸べられる場面なのに、そうならなかったことにカルチャーギャップを強く感じました。おそらく現地の文化や価値観を反映した描写なのだと思いますが、観る側によっては意外性と同時に戸惑いを覚えるシーンかもしれません。

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