ケビン・コスナー主演、映画『13デイズ』のあらすじ・感想など

私的評価

映画『13デイズ』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

少し古い映画ではありますが、今回初めて観ることができました。派手な演出や大規模なアクションシーンはほとんどなく、全体としてはどちらかと言えば地味な印象の映画です。しかし、その地味さが逆に緊張感を生み、スリリングな話の展開が観る者を引き込んでいきます。危機的な状況に直面した登場人物たちの心理描写や判断の連鎖は、ドキドキ・ハラハラの連続で、最後まで目が離せませんでした。

映画は1962年のキューバ危機を題材にしており、核戦争の瀬戸際に立たされた当時のアメリカ政府内部の緊張感や、ケネディ大統領を中心とした政治的駆け引きが非常にリアルに描かれています。そのため、派手なアクションや効果音に頼らなくとも、観る者に強烈な緊迫感を伝えることに成功しています。

また、主演のケビン・コスナーは、ヒーロー然とした役柄よりも、このようなシリアスな役どころの方が自然に感じられ、作品全体のリアリティを高めています。映画的にも非常に成功しており、歴史的事件の映画化としても満足度の高い作品でした。

★★★★☆

作品概要

監督はロジャー・ドナルドソン。
原作はアーネスト・R・メイ。
脚本はデビッド・セルフ。
製作はアーミアン・バーンスタイン、ケビン・コスナーほか。
製作総指揮はイロナ・ハーツバーグ、マイケル・デ・ルカほか。
主演はケビン・コスナー、その他出演者にブルース・グリーンウッド、スティーブン・カルプほか。

2000年公開(日本は2001年)のアメリカ作品。1962年に発生したキューバ危機を題材にしたサスペンス映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
全世界が核戦争寸前にまで追い詰められた1962年の「キューバ危機」に立ち向かう男達の決断と苦悩は何だったのか。ケネディ自ら録音したと言われる緊迫した13日間の会議“ケネディ・テープ”など膨大な資料を元に練りあげられた脚本を丁寧に描き出したスケール感のあるドラマだ。総製作費8000万ドル。ビン・コスナーが製作・主演にあたった。監督は「追いつめられて」のロジャー・ドナルドソンが監督。20世紀の最後に、この作品が私達に残すメッセージの意味は深い。

あらすじ
1962年10月16日偵察機がキューバ上空から撮影した写 真に弾道ミサイルが写し出されていた。 “ソ連がキューバに核兵器を持ち込んだ”との情報にケネディ大統領は国家安全保障会議緊急執行委員会を招集。ミサイルをとり除く手段は空爆か、侵攻か?…決断の時は迫っていた。

シネマトゥデイ

感想・その他

この映画は、私が生まれる2年前、1962年に実際に起こった世界史的事件を描いています。それは、アメリカとソ連が核戦争寸前まで対立した13日間――「キューバ危機」。わずか2週間足らずの出来事でありながら、世界の命運を握る政治判断が次々と下され、人類が破滅の淵に立たされた、まさに冷戦時代の象徴とも言える緊張のドラマです。

物語の中心にいるのは、当時のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディと、その最側近の一人であり大統領特別補佐官を務めたケネス・オドネル。ケネディ大統領を演じるのは名優ケビン・コスナー。映画の中で描かれる二人の姿は、とても若々しく、それでいて信じられないほどの重責を背負っていました。ケネディはまだ40代前半、オドネルに至っては30代という若さ。それにもかかわらず、世界の行く末を決定づける重大な判断を迫られ、核戦争を回避するために極限の心理戦を繰り広げたのです。

わずか13日間という短い時間でしたが、彼らの心身にかかった負荷は計り知れません。まるで30年分の神経をすり減らしたような濃密な日々だったことでしょう。映画を観ていると、もしケネディ兄弟が暗殺されることなく生き延びていたとしても、その精神的な消耗は寿命を縮めていたのではないか、とすら感じます。事実、ケネス・オドネルも53歳という若さで世を去っています。

さらにこの映画の見どころは、単にソ連との対立を描くだけではない点です。真の敵は外部だけではありませんでした。彼らはソ連だけでなく、アメリカ国内の主戦派、特に国防総省や軍部との激しい意見対立にも直面します。核攻撃を主張する強硬派の圧力に抗い、冷静かつ慎重な選択を貫くために、ケネディ兄弟やオドネルは一歩間違えば国家反逆と見なされかねない危険な綱渡りを続けていたのです。戦争を引き起こす要因は、必ずしも外敵だけではなく、自国の内側からも生まれる――その緊迫感がスクリーンを通して鮮やかに伝わってきます。

1962年といえば、私の両親が結婚したばかりの頃。家庭を築き始めたばかりの二人が、この未曾有の危機をどんな気持ちで見聞きしていたのかと思うと、少し感慨深いものがあります。新聞やラジオで断片的に流れるニュースを耳にしながら、「明日はどうなるのだろう」と胸をざわつかせていたのかもしれません。時代の空気を肌で感じた人々の不安や祈りを想像すると、映画のストーリーがより現実味を帯びて心に迫ってきます。

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