ケビン・コスナー主演、映画『クリミナル 2人の記憶を持つ男』のあらすじ・感 想など

私的評価

映画『クリミナル 2人の記憶を持つ男』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

キャストはとても豪華で、主役を務めるのは『ボディガード』や『フィールド・オブ・ドリームス』で知られるケビン・コスナー。さらに名優ゲイリー・オールドマン、渋さが光るトミー・リー・ジョーンズと、まさにハリウッドの重鎮が顔を揃えています。この3人が同じ画面に登場するだけで、映画好きとしては「何かすごいものが観られるのでは?」と期待してしまいます。

ところが、肝心の内容はその豪華な顔ぶれに見合うものとは言いがたく、少し肩透かしを食らった印象でした。物語の設定――死んだCIAエージェントの記憶を凶悪犯の脳に移植する――というアイデア自体は面白いのですが、ストーリーの進行や緊張感の演出にやや粗さが感じられ、せっかくの俳優陣の魅力を十分に生かし切れていない気がしました。

とはいえ、ケビン・コスナーの演技は見どころのひとつ。これまでの知的で冷静なイメージとは異なり、粗暴で残虐、どこか壊れた犯罪者という役柄を見事に体現しており、その存在感には目を引くものがあります。スクリーン上で暴力的でありながらも、ふと垣間見える人間らしさや葛藤をうまく表現していて、「さすがベテラン俳優だ」と感じさせられました。

ただ、どうしても納得がいかなかったのがラスト。物語の終盤での展開や結末は、現実味を欠き、登場人物たちの行動にも説得力を感じられません。まるで「無理やりハッピーエンドに持っていったのでは?」と思わされるような終わり方で、物語に入り込んでいただけに「え、そこでそうなる?」と違和感が残ってしまいました。

★★★☆☆

作品概要

監督はアリエル・ブロメン。
脚本はダグラス・クック、デビッド・ワイズバーグ。
製作はマット・オトゥール、マーク・ギルほか。
製作総指揮はボアズ・デビッドソン、ジョン・トンプソンほか。
主演はケビン・コスナー、その他出演者にゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズほか。

2015年製作のイギリス・アメリカ合作のスパイアクション映画です。監督は『THE ICEMAN 氷の処刑人』のアリエル・ブロメン。主演はケビン・コスナーで、CIAエージェントの記憶を脳に移植された囚人が、テロリストとの戦いに挑む姿を描いたスパイアクション映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
亡くなったCIAエージェントの記憶を脳に移植された死刑囚が、記憶が消えるまでの48時間のタイムリミットが迫る中、テロリストを追う姿をスリリングに描くアクション。重大なテロを起こす可能性のある謎のハッカーの居場所を知るエージェントの記憶を手掛かりに、死刑囚がエージェントと自らの両方の人格に翻弄(ほんろう)されながら世界の危機を救うべく活躍する。主演のケヴィン・コスナーをはじめ、ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズらが出演。主人公の孤独な闘いとサスペンスフルな展開に引き込まれる。

あらすじ
アメリカ軍の核ミサイルを遠隔で操作することが可能なハッカー、ダッチマンの居場所をただ一人知るCIAエージェントのビリー(ライアン・レイノルズ)が、任務中にこの世を去る。手掛かりにすべく、ビリーの記憶が死刑囚のジェリコ・スチュアート(ケヴィン・コスナー)の脳に移植されることになる。凶悪犯である自身とエージェントのビリーの二つの人格がせめぎ合う中、ジェリコは記憶が消える48時間以内にテロを防ぐため孤独な闘いに没入していく。

シネマトゥデイ

感想・その他

CIAの現地責任者クウェイカー・ウェルズを演じていたのが、名優ゲイリー・オールドマン。スクリーンに彼が登場するだけで作品全体の空気がピリッと引き締まるのは、さすがとしか言いようがありません。ここ最近では『裏切りのサーカス』で冷徹な諜報員を、『ハンターキラー 潜航せよ』で緊迫した軍事作戦を指揮する政府高官を、そして『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』では実在の名宰相チャーチルを演じ、アカデミー賞主演男優賞を獲得しました。シリアスからエンタメ系、実在人物から完全なフィクションまで、役ごとに全く別人のように変貌するその幅広い演技力は、まさに“カメレオン俳優”の名にふさわしいと思います。

しかし、そんな数々の名作の中でも、私の中で最も強烈に印象に残っているのは、やはり『レオン』です。1994年公開のこの作品で彼が演じたのは、悪名高き汚職麻薬捜査官ノーマン・スタンスフィールド。36歳という若さでありながら、その存在感と狂気じみた演技は圧倒的でした。ピルを飲み込みながら体を震わせ、突如として暴発する暴力性と、妙に音楽的でリズミカルな話し方。その不気味さと予測不能な行動で観客を恐怖させ、同時に強烈な印象を残しました。

映画の中とはいえ、スタンスフィールドの残虐非道ぶりには心底腹が立ち、「こいつだけは許せない」と思わされるほど。その演技があまりにも生々しく、観る者に“憎しみ”という感情を抱かせるほどのリアリティを帯びていたのです。だからこそ、物語のラストでレオンの手によって爆死するシーンは、まさに溜飲が下がる瞬間でした。スクリーンの前で「よくやった!」と拍手したくなるほどのカタルシスを感じたのを今でも覚えています。

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