小栗旬・星野源主演、映画『罪の声』のあらすじ・感想など

私的評価

小栗旬・星野源主演の映画『罪の声』を観ました。
レンタルDVDでの鑑賞です。

本作は、昭和を代表する未解決事件のひとつ「グリコ・森永事件」をモチーフにした社会派ミステリーです。事件の核心に迫るのは二人の主人公。ひとりは、脅迫テープで声を使われてしまったことから、事件の存在に気づかされる青年(小栗旬)。そしてもうひとりは、当時の事件を追う新聞記者(星野源)。異なる立場の二人が、時代を超えて徐々に事件の真相に近づいていく過程が丁寧に描かれています。

物語の魅力は、単なる事件の謎解きにとどまらず、人間ドラマとしても非常に厚みがある点です。家族や職場、個人の生活に影響を及ぼす事件の残酷さや、登場人物それぞれの葛藤、そして決して解決できない現実との向き合い方がリアルに描かれ、観ていて深く考えさせられます。特に、事件の記憶やトラウマが世代を超えて人々の人生に影響する描写は、単なるフィクション以上の重みを感じさせます。

ただ、正直に言うと、とても長い映画でした。上映時間が長いため、途中で少し疲れを感じる場面もありましたが、それでも最後まで目が離せない引き込まれる力があり、結末にたどり着いたときには「観てよかった」と思わせる満足感がありました。映像や演技の質も高く、小栗旬さんの繊細な演技や星野源さんの冷静で鋭い記者役は、事件の重みや緊張感をしっかりと支えていました。

全体として、『罪の声』は昭和の大事件を題材にしながらも、ミステリーとしての面白さと、人間ドラマとしての深みを両立させた作品であり、ただ事件を追うだけでは味わえない心理的な緊張感と感情の揺れを存分に体験できる映画でした。

★★★★☆

作品概要

監督は土井裕泰。
原作は塩田武士の同名小説『罪の声』。
脚本は野木亜紀子。
製作は那須田淳、渡辺信也、進藤淳一。
主演は小栗旬、星野源、その他出演者は松重豊、火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子ほか。

2020年10月に公開された日本のサスペンス映画です。塩田武士のミステリー小説「罪の声」を、小栗旬と星野源の初共演した映画です。昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれた新聞記者の阿久津英士は、30年以上前の事件の真相を求め、取材を重ねる日々を送ります。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中にカセットテープを再生してみると、幼いころの自分の声が聞こえてきました。その声が、30年以上前に日本中を震撼させた事件の脅迫テープの声と同じものだと知り、独自に事件について調べ始めます…。

作品の紹介・あらすじ

解説
かつて日本を震撼(しんかん)させた事件をモチーフにした塩田武士の小説を映画化。昭和の未解決事件をめぐる二人の男の運命を映し出す。『ミュージアム』や『銀魂』シリーズなどの小栗旬と、『引っ越し大名!』などの星野源が主人公を演じる。星野が出演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の演出と脚本を担当した土井裕泰と野木亜紀子が監督と脚本を務めた。

あらすじ
新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、昭和最大の未解決事件の真相を追う中で、犯行グループがなぜ脅迫テープに男児の声を吹き込んだのか気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)が父の遺品の中から見つけたカセットテープには、小さいころの自分の声が録音されていた。その声は、かつて人々を恐怖のどん底に陥れた未解決事件で使用された脅迫テープと同じものだった。

シネマトゥデイ

感想・その他

グリコ・森永事件と言えば、私が二十歳の時に発生した事件です。まさに今のコロナウイルス報道のように、事件が終息するまでの一年半は、連日この事件の報道で持ち切りだった記憶があります。グリコの社長が一時逃げ出した時点で、事件は終わったのだと思った人も多かったはずです。しかし、実際にはそれからが事件の本番でした。犯人側から事件終息宣言が出たときには、ようやくホッとしたことを覚えています。

この映画で特に焦点が当てられているのが、犯行に使われた脅迫テープの「子供の声」です。私も不思議に思ったのですが、当時その声はメディアで頻繁に流れていたものの、その声に聞き覚えがあるという情報はなかったのでしょうか。当時の子供たちは、今なら40代や50代になっているはずですが、「あれは自分の声だった」といった話も聞こえてきません。やはり、彼らはこの映画のような人生を歩んでいるのでしょうか…。

また、この映画を観て嬉しかったのは、桜木健一さん、浅茅陽子さん、佐藤蛾次郎さん、宮下順子さん、岡本麗さんといった懐かしい俳優陣を再び見ることができた点です。この中で一番若い岡本麗さんでも69歳。あのクロレッツのCMで見せていた姿からは想像できない、皺くちゃのお婆さん役で出演していました。そして宮下順子さんは、中学生時代に雑誌『映画の友』でよくお世話になったことを思い出し、懐かしさがこみ上げました。

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