松坂慶子主演、NHK特集ドラマ『流れ星』のあらすじ・感想など

私的評価

NHK特集ドラマ『流れ星』を観ました。
NHK BSプレミアムで2021年3月22日午後9時より放送されました。

ストーリー自体はしっかりしていて、展開も見応えがありました。登場人物の心情描写や物語の流れも丁寧で、観ていて引き込まれる部分は多かったです。とはいえ、私の視線はどうしても松坂慶子さんの演技や容姿に向かってしまい、物語に集中しきれない瞬間がありました。同年代の竹下景子さんや田中裕子さんが演じていたら、また違った印象を受けたのではないかと思います。

松坂慶子さんはもちろん実力派の女優ですが、この作品の役柄と雰囲気が私の中で少し噛み合わなかったのかもしれません。それでもドラマ全体としてはよく練られた作品で、丁寧に作られていることは十分に伝わってきました。

★★★☆☆

作品概要

原作は宅間孝行。
制作統括は谷口卓敬(NHK)、水野綾子(共同テレビ)。
脚本は阿相クミコ。
出演は松坂慶子、桐山照史、黒島結菜、尾美としのり、船越英一郎ほか。

亡くなった夫の四十九日の日に、その妻・夏子の前にとつぜん現れた魔法使い。夏子の希望で二人は50年前へと時を遡ります。夏子には、どうしても確かめたいことがありました。そして夏子は、今まで思ってもみなかったことを知ることになります。

作品の紹介・あらすじ

主人公は、冷えた夫婦関係が長年続き、夫との会話もめっきり少なくなった女性・夏子(松坂慶子)。ある日、夫・謙作(船越英一郎)は外出先で命を落とし、ひとりきりになった夏子の前に魔法使い・マリー(黒島結菜)があらわれ、願いを4つまでかなえると言う。夏子は「夫と出会う前の過去にタイムスリップしたい」とリクエスト。夏子とマリーは50年前に時をさかのぼる。
夏子がそこで出会うのは、若き日の謙作(桐山照史(ジャニーズWEST))、高校生のころの夏子自身(平祐奈)、存命だったころの父・慎太郎(尾美としのり)たち。夏子は自分の正体を偽って過去の日々をふたたび生き、そして、当時憧れていた教師・中富(堀井新太)と別れることになった本当の理由と、自分が知らなかった夫の隠された真実を知ることになる。時間旅行のさいごに夏子を待つものは? 夏子が魔法使いに申し出るさいごの願いは…?

NHKドラマ

感想・その他

今回の願い事で、夏子は改めて夫・謙作(船越英一郎)の愛情に気付きます。そして4つ目の願いで、謙作が亡くなる日に戻った夏子は、迷わず謙作に感謝の気持ちを伝えます。出かける謙作に向かって「必ず帰って来て」と声をかけるシーンは、胸にじんと響きます。そして空には流れ星が輝きます。物語のルールである「掟──人を殺したり、死んだ人を生き返らせたりしてはいけない」を破った魔法使いは星にされるという設定。この掟を破ったのは、魔法使い・マリー(黒島結菜)なのでしょう。そんな切なくも美しいラストに、視聴者の胸は締め付けられます。

一方で、物語の中で存在感を放つ松坂慶子さんについても、どうしても気になってしまいました。「愛の水中花」などを歌っていた頃の松坂慶子さんの姿は、今の彼女からは想像もできません。当時は網タイツを身にまとい、艶めかしく踊り歌う姿を見せていました。私がまだ中学生だったあの頃、そんなイメージしか頭に残っていませんでした。

しかし時は流れ、現在の松坂慶子さんは横幅も増し、当時の面影はほとんどなくなっています。演技についても、映画『鎌田行進曲』の頃と比べて大きな変化はなく、私にはあまり上手いとは感じられませんでした。歳月が経ち、外見も演技も変化していくことの現実を感じさせる一方で、やはり長年にわたりスクリーンに立ち続けている存在感は圧倒的です。

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