私的評価
映画『MERU/メルー』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
本作は、3人の登山家が難攻不落の山・MERUに挑む姿を描いたドキュメンタリー映画です。彼らの挑戦は決して一度で成し遂げられるものではなく、足かけ3年にわたる試行錯誤と挫折の連続。ついに初登頂という偉業を達成するまでの過程を、リアルに追体験できます。
映像は圧巻です。険しい岩壁を登る登山者たちの躍動感と、対照的に静寂に包まれたメルー峰の神秘的な姿。その美しさには思わず息をのむ瞬間が何度も訪れます。太陽の光が差し込む瞬間や、深い谷間に沈む霧の描写など、自然の荘厳さが巧みに捉えられており、画面を通して観る者をメルー峰そのものへと引き込みます。
また、登山家たちの挑戦は単なるスポーツやアドベンチャーではなく、人間の限界への挑戦として深く感動を与えます。恐怖や不安、そして仲間との信頼や絆といった人間ドラマも描かれており、山のスリルだけでなく心の成長も味わえる映画です。
映像の美しさと緊張感あふれる挑戦の両方が楽しめるこの作品は、登山好きはもちろん、自然の魅力や人間の挑戦に興味があるすべての人にぜひ観てほしい一本です。
★★★★☆
作品概要
監督・プロデュースはジミー・チン、エリザベス・チャイ・バサヒリイ。撮影はジミー・チン、レナン・オズターク。
出演(登山者)はコンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズターク。
映画『MERU/メルー』は、2015年の記録映画で、インド・ヒマラヤ山脈のメルー峰にある「シャークス・フィン(サメのヒレ)」というルートでの初登頂を記録しています。ジミー・チンとその妻であるエリザベス・チャイ・バサヒリイが共同監督しました。2015年のサンダンス映画祭では、米国観客ドキュメンタリー賞を受賞しました。
作品の紹介・あらすじ
解説
ナショナルジオグラフィックなどの写真を手掛けてきた山岳写真家で登山家ジミー・チンが、ヒマラヤ・メルー中央峰ダイレクトルート登頂の様子に迫るドキュメンタリー。ジミー、コンラッド・アンカー、レナン・オズタークが、難関を極める山を目指す姿にカメラが密着する。ジミーとエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィが監督を担当。克明に記録された困難な登山の過程や、険しくも美しく壮大な山の風景に言葉を失う。
あらすじ
コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークは、ヒマラヤのメルー中央峰を目指す。そんな彼らに、シャークスフィンと称される難攻不落の壁が待ち受けていた。トップクライマーたちは、命懸けでシャークスフィン完登を目指す。
シネマトゥデイ
感想・その他
垂直に近い岩壁にテントを張り、何日もかけて山に挑む――そんな光景を初めて知ったのも、吊るして使うテントの存在を知ったのも、村上もとかさんの漫画『岳人列伝』でした。『岳人列伝』の中で、特にはっきり覚えているのが「ザイル」という話です。ザイルパーティーの仲間を助けるため、命綱でもあるザイルを自ら切る…。その瞬間の緊張と葛藤、そして命の重みが描かれたエピソードは、当時高校生だった私にとって衝撃的で、40年近く経った今でも鮮明に記憶に残っています。読んでいるだけで心臓が締め付けられるような思いをしたことを、今でも思い出します。
この漫画を通じて、登山という世界のスリルや美しさに興味を持ったのは確かなことです。ただし、私自身は趣味として本格的に登山をしているわけでも、豊富な知識を持っているわけでもありませんので、その点はあらかじめお断りしておきます。それでも、漫画を通して知った「山に挑む人々の覚悟」や「自然の厳しさ」は、今でも心のどこかに刻まれています。
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