ジョージ・マッケイ主演、映画『1917 命をかけた伝令』のあらすじ・感想など

私的評価

映画『1917 命をかけた伝令』を観ました。
レンタルDVDでの鑑賞です。

物語の舞台は第一次世界大戦の1917年。若きイギリス兵2人に課された任務は、最前線で窮地に立たされている仲間を救うための重要な伝令を届けることでした。彼らは戦場の荒れ狂う地形や砲撃の中をひたすら走り続けます。その緊迫した行動が、全編を通してワンカット風の映像で描かれているのが本作の大きな特徴です。しかし、鑑賞中はその撮影手法に意識が向くことはほとんどなく、自然に物語に引き込まれていました。後から「これがワンカット風の映像だったのか」と知ったほどです。

映像美や迫力ある戦場描写は見応えがありましたが、個人的には一部展開にやや違和感を覚えました。特に、川に流されて目的地に到達するシーンは、少し物語のリアリティから逸脱している印象を受けました。これはレンタルDVDで自宅のテレビで観たことも影響しているかもしれません。映画館の大スクリーンで観れば、より没入感や緊張感が増し、印象は大きく変わった可能性があります。

全体として、緊迫感のある戦場描写と、若き兵士たちの命をかけた奮闘をじっくり堪能できる作品でした。

★★★☆☆

作品概要

監督はサム・メンデス。
脚本はサム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ。
制作はサム・メンデス、ピッパ・ハリス他。
出演はジョージ・マッケイ、マーク・ストロング、ディーン=チャールズ・チャップマンほか。

2019年制作のイギリス・アメリカ合衆国の戦争映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
第1次世界大戦を舞台にした戦争ドラマ。戦地に赴いたイギリス兵士二人が重要な任務を命じられ、たった二人で最前線に赴く物語を全編を通してワンカットに見える映像で映し出す。メガホンを取るのは『アメリカン・ビューティー』などのサム・メンデス。『マローボーン家の掟』などのジョージ・マッケイ、『リピーテッド』などのディーン=チャールズ・チャップマン、『ドクター・ストレンジ』などのベネディクト・カンバーバッチらが出演する。全編が一人の兵士の1日としてつながって見えることで、臨場感と緊張感が最後まで途切れない。

あらすじ
第1次世界大戦が始まってから、およそ3年が経過した1917年4月のフランス。ドイツ軍と連合国軍が西部戦線で対峙(たいじ)する中、イギリス軍兵士のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)に、ドイツ軍を追撃しているマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)の部隊に作戦の中止を知らせる命令が下される。部隊の行く先には要塞化されたドイツ軍の陣地と大規模な砲兵隊が待ち構えていた。

シネマトゥデイ

感想・その他

第一次世界大戦を舞台にした作品ですが、従来の戦争映画のように銃撃戦や爆撃のシーンが延々と続くわけではありません。戦闘シーンは実際にはごく限られているにもかかわらず、全編を通して緊張感が途切れないのは驚くべきことです。その理由のひとつが、この映画ならではの撮影手法――まるで全編が「ワンカット」で撮られているかのように見せる映像美です。

観客は常に主人公たちのすぐ背後に立ち、彼らとともに塹壕を走り抜け、廃墟と化した街を駆け抜け、銃弾や砲撃の危険に晒される。その臨場感はまさに圧巻で、気づけば自分自身が伝令兵の一人になったかのような錯覚に陥ります。「映画を観る」というより「戦場を体験する」といった感覚に近いでしょう。

ただし、この「全編ワンカット風」の技法には光と影があるとも感じました。シームレスな映像によって没入感は抜群に高まるのですが、その一方で戦場の広がりやスケール感がやや希薄になってしまうのです。実際の戦場はもっと広大で、果てしなく続く恐怖や混乱があるはずなのに、映画の中ではどうしても「狭い空間での出来事」として凝縮されてしまう。この点は、手法のメリットでもあり同時に弱点でもあると思いました。

もちろん、こうした作り方の戦争映画も十分に見応えがあります。人間ドラマとしての深みや、戦争の非情さをじわじわと伝えてくれる良作であることは間違いありません。しかし個人的な好みを言えば、私はやはり『プライベート・ライアン』のように、冒頭から弾丸がビュンビュン飛び交い、爆発音が轟く中で兵士たちの極限状態を体感させてくれるタイプの戦争映画の方が好きです。

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