ジェラルド・バトラー主演、映画『ザ・アウトロー』のあらすじ・感想など

私的評価

映画『ザ・アウトロー』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

上映時間は2時間20分と長めで、序盤から中盤にかけては主人公ニックの夫婦間のいざこざや日常生活の描写にかなりの尺が割かれています。しかし、映画を観終わってみると、その描写がストーリーの核心とはほとんど関係がなく、「あの夫婦のもめごとは結局何だったの?」と思わず首をかしげてしまう場面もありました。ニックの家庭環境や人間関係をさらっと触れる程度で十分だったのではないか、と感じます。少し本編のアクションや事件の展開に力を注いでほしかった気がします。

それでも、クライマックスの銃撃戦は圧巻です。銃声が飛び交う中での緊張感、危険が目前に迫る恐怖、そして主人公の冷静な判断力――これらが見事に描かれ、手に汗握る体験を味わえました。しかし、ラストのどんでん返しには少々戸惑いを覚えます。果たしてあれは必要だったのか、と感じる視聴者も多いのではないでしょうか。

全体として、前半の描写にはやや冗長さを感じるものの、アクションシーンの迫力と緊張感は確かで、アクション映画ファンなら十分に楽しめる作品でした。

★★★☆☆

作品概要

監督・脚本・原案はクリスチャン・グーデカスト。
制作はジェラルド・バトラー、ライアン・カヴァノーほか。
出演はジェラルド・バトラー、パブロ・シュレイバーほか。

2018年のアメリカ合衆国のアクション映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
『エンド・オブ・ホワイトハウス』などのジェラルド・バトラー主演のクライムアクション。ロサンゼルスを舞台に、強盗団と刑事の対決を映し出す。メガホンを取るのは、ジェラルドの出演作『エンド・オブ・キングダム』の共同脚本を担当したクリスチャン・グーデガスト。『フライト・リミット』などのパブロ・シュレイバー、『ストレイト・アウタ・コンプトン』などのオシェア・ジャクソン・Jrらが共演する。

あらすじ
ロサンゼルスで多発する銀行強盗事件を追う刑事のニック(ジェラルド・バトラー)は、ある銀行襲撃計画の情報をつかむ。それは、他人を巻き込まずに鮮やかな手口で強奪を成功させているメリーメン一味が、銀行から3,000万ドルを盗み出そうとしているというものだった。綿密な計画を立てていく一味と、彼らの動向をチェックするニックたちの攻防が始まる。

シネマトゥデイ

感想・その他

この作品の最大の見せ場は、やはりクライマックス。渋滞で車がずらりと並んだ路上で、強盗団と警察が正面から撃ち合うという圧巻の銃撃戦です。狭い道路に人々が閉じ込められたまま、銃声と悲鳴が入り混じる光景は、画面越しにも手に汗握る緊迫感が伝わってきました。

特に印象的だったのは、銃器の扱いが妙にリアルなこと。銃撃戦の最中に「Moving」と声を掛け合いながら、きちんと弾倉を交換しているんです。アクション映画の中には、弾切れを完全に無視して無限に撃ち続けるような作品もありますが、個人的にあれはどうしても気になってしまうんですよね。「映画だから」と言えばそれまでですが、やはりこうした細部のリアリティこそが作品全体の説得力を高めるものだと思います。その点、この映画はしっかりと現実味を感じさせてくれました。

ただ一方で、観ながらどうしても引っかかったのは「現実にこんな状況で本当に銃撃戦を始めるのだろうか?」という疑問です。だって舞台は人が乗ったままの車が列をなす渋滞のど真ん中。どう見ても無関係な一般市民に死傷者が出ているはずですし、車体は穴だらけになって廃車必至。映画だからこそ迫力満点で楽しめますが、現実的に考えると被害の補償や責任の所在はどうなるのか、と妙に気になってしまいました。

日本の警察であれば、暴走車を危険と判断して追跡を打ち切るケースさえあるくらいです。それに比べると、アメリカの「とにかく犯人を仕留める」徹底した姿勢は、勇敢さと同時にリスクの高さも感じさせます。果たしてどちらの対応が正しいのか――その答えは簡単には出ませんが、映画を通じて「国ごとの正義の在り方」にまで考えが及ぶのは興味深い体験でした。

コメント