アルバン・ルノワール出演、映画『15ミニッツ・ウォー』のあらすじ・感想な ど

私的評価

映画『15ミニッツ・ウォー』を観ました。
レンタルDVDでの鑑賞です。

正直なところ、冒頭の緊張がじわじわと高まっていく描写のあたりで、つい眠気に負けてしまいました。しかし、物語のクライマックスである「同時射撃」から一気に始まる“15分間の戦争”で目が覚め、その迫力に一気に引き込まれました。もちろん、眠ってしまった部分は後でしっかりと見直しました。

この映画は1976年にジブチで実際に起きたバスジャック事件を基に描かれており、派手なアクション映画ではありません。それでも、緊迫した状況下での人質救出作戦を徹底的にリアルに描いているため、観ている側も手に汗を握ります。銃撃戦はハリウッド的な爆発やド派手な演出とは無縁で、むしろ“静かで重たいリアルさ”が際立っていました。

特に印象的だったのは、フランス特殊部隊のスナイパー5人が、わずかな合図で同時に引き金を引き、命懸けの「奇跡の人質救出」を成功させる場面です。5人の緊張感、そして“絶対に失敗できない”という重圧がスクリーン越しにヒシヒシと伝わってきました。まさに極限状態に身を置くプロフェッショナルの姿を堪能できる作品でした。

★★★★☆

作品概要

監督・脚本はフレッド・グリヴォワ。
製作はアンリ・ドゥブールム。
出演はアルバン・ルノワール、オルガ・キュリレンコほか。

2018年制作のフランス・ベルギーのアクション映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
1976年に起こったバスジャック事件での対テロ特殊部隊の人質救出劇を基にしたアクションドラマ。腕利きのスナイパーたちが命懸けで挑んだ作戦を活写する。『その女諜報員 アレックス』などのオルガ・キュリレンコが教師を演じ、『ゴール・オブ・ザ・デッド』などのアルバン・ルノワールらが共演。『孤独の暗殺者/スナイパー』などのフレッド・グリヴォワが監督を務めた。

あらすじ
アフリカのジブチで、独立派武装組織が軍関係者の子供たちが乗るスクールバスを占拠する。フランスからの独立や政治犯の即時釈放などを求めるテロリストたちは、要求が退けられた場合子供たちののどを切ると通告する。フランス政府は、ジェルヴァル大尉(アルバン・ルノワール)が率いる選りすぐりのスナイパーで構成された特殊介入チームをひそかに派遣する。

シネマトゥデイ

感想・その他

生徒たちの命を守るため、恐怖を押し殺して単身でテロリストに占拠されたバスへと乗り込んでいく女性教師・ジェーン。この難しい役どころを演じたのは、ウクライナ出身の女優オルガ・キュリレンコです。彼女は映画『007 慰めの報酬』でボンドガールを演じ、世界的に注目を集めた存在であり、その後『オブリビオン』ではトム・クルーズ(※トム・ハンクスではなく)と共演しています。国際的なキャリアを歩んできた彼女ですが、旬な話題としては2020年に新型コロナウイルスに感染していたことを自身のSNSで公表し、後に無事回復したことが報じられました。私生活では2度の離婚歴があり、子育てをしながら女優業を続ける40歳の彼女ですが、映画の中ではそんな私生活を感じさせないほど凛とした美しさを放っていました。

とりわけ印象に残ったのは、銃撃戦のさなかに、怯える子供たちを安心させるようにウインクをする場面です。戦場のただ中にいながらも、母性と強さを併せ持つ彼女の表情はとてもチャーミングで、美しさと勇気を同時に際立たせており、観客の心を強く惹きつけました。

一方、救出作戦のリーダーを務めるジェルヴァル大尉を演じたのは、フランスの俳優アルバン・ルノワールです。彼の外見は、筋肉隆々の現代的なアクションスターとは一線を画し、むしろ1970年代の硬派な兵士像をそのまま切り取ったようでした。無骨で飾り気のない顔立ち、そしてやや使い込まれたティアドロップ型のサングラス――その薄汚れたレンズがかもし出す“時代の匂い”は、観客に「ああ、これは確かに70年代だ」と納得させるほどの説得力を持っていました。彼がチームを率いる姿は華やかではありませんが、だからこそリアリティに満ちており、映画全体を地に足のついた緊張感で支えていたように思います。

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