ニコラス・ケイジ主演、映画『ダーク・サイド』のあらすじ・感想など

私的評価

映画『ダーク・サイド』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

先日観た『ヒューマン・ハンター』に続き、立て続けに選んだのがこの作品『ダーク・サイド』。タイトルからして不穏な空気を漂わせていますが、実際に観てみると、謎が謎を呼ぶ展開の連続で、退屈する暇のない映画でした。ストーリーは一見シンプルに始まるのですが、次々に新たな伏線が提示され、観客の想像力をかき立てます。「これはどういう意味なのか?」「あの人物は本当に信用できるのか?」と常に頭を働かせながら観ることになり、気がつけば物語に引き込まれていました。

ただし、この映画は全てをスッキリと回収するタイプではありません。ラストに至っても、多くの謎はあえて解き明かされず、観客の解釈に委ねられたまま幕を閉じます。そのため「答えが知りたい」という人には少々モヤモヤが残るかもしれませんが、その曖昧さがまた作品の余韻となり、観終わった後もしばらく頭の中で考えさせられる魅力があります。

ハラハラ・ドキドキさせる演出も効果的で、決して派手なアクション映画ではないものの、じわじわと心拍数を上げてくるような緊張感が終始漂っていました。BGMやカメラワークも不安を煽るように工夫されていて、静かな場面でさえ「何か起きるのではないか」という緊迫感がありました。

総合的に見れば、娯楽性とスリルをしっかり味わえる作品で、星三つを付けても良いと思える出来でした。ストーリーの全貌をきれいに理解するというよりも、謎と緊張感に翻弄される体験そのものを楽しむ映画、といった印象です。

★★★☆☆

作品概要

監督はティム・ハンター。
脚本はジェリー・ラップ。
製作はブラクストン・ポープほか。
出演はニコラス・ケイジ、その他の出演者はロビン・タニーほか。

2018年のアメリカ合衆国のスリラー映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
数々の作品で異彩を放つオスカー俳優ニコラス・ケイジを主演に迎えたサイコスリラー。モーテルの隠し通路からのぞける客室の秘密を探ろうとする主人公の姿を描く。ドラマシリーズ「メンタリスト」などのロビン・タネイ、ブレイク・ライヴリーの父親であるアーニー・ライヴリーらが共演。ドラマシリーズなどを手掛けてきたティム・ハンターが監督を務める。

あらすじ
事故で小さな娘を失ったレイとマギーの夫妻は、心機一転、田舎町のモーテルを購入して経営を始めることにする。ある日レイは、倉庫の奥で10号室の壁の裏まで続く秘密の通路を見つけ、マジックミラーで室内がのぞけることを知る。そしてレイは、2人の美女がSMプレイに熱中する姿を見てしまう。

シネマトゥデイ

感想・その他

その闇を覗いたものは、もう二度と戻れない
隣人と浮気をしていた夫レイ(ニコラス・ケイジ)と薬漬けになっていた妻マギー。そんな夫婦の一人娘が転落死してしまう。夫婦はお互いに心に傷を持ったが、人生をやり直すために田舎町へやって来るところから映画は始まる。

そんな傷心の夫婦が再起のためやって来たのは、とある田舎町にあるモーテルの経営を引き継ぐため。しかし、平和そうに見えたこの田舎町は、なにか異様な雰囲気です。前オーナーは謎の失踪。モーテル向かいにあるガソリンスタンドで働く男たちは、誰もが胡散臭く敵意丸出し。訪ねてきた保安官までもが、なんだか隠している嫌な感じの野郎です。そして、モーテルを利用する常連客も、胸に一物がありそうな感じです。

レイは、モーテルの修繕に精を出していたところ、厳重に施錠されている部屋を見つけます。部屋には壁に穴が開けられた箇所があり、その中に入ってみると地下空間があり、さらに梯子を上がると秘密の空間がありました。なんとそこは、モーテルの10号室を覗ける部屋だったのです。そんな秘密の部屋を、夜な夜な覗き見するレイは、なんだか得体のしれない事件に巻き込まれ始めていくのです。
犯人も最初に登場した時から怪しくて、私の予想通り犯人でした。また、最後にレイ夫婦はクルマに飛び乗って逃げてしまうんですが、犯人の死体を見つけた警察は、どう思うんでしょうか。絶対にレイ夫婦の仕業と思うはずで、お尋ね者になってしまうでしょう。よくあるパターンのラストなら、モーテルにパトカーや救急車が来ていて、救急隊員に手当てしてもらう二人は肩を寄せ合っている、そんな終わり方なんじゃないでしょうか。

向かいのガソリンスタンドの工員の若者たちの態度や、SMプレイの女王様のいわくありげな態度や言葉、プールに投げ込まれた豚の死体に、ばら撒かれた赤ペンキ、そういった謎は何一つ解明されずに終わります。

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