小出恵介主演、連続ドラマW『天使のナイフ』のあらすじ・感想など

私的評価

WOWOWの連続ドラマ『天使のナイフ』を観ました。
Amazonプライムビデオでの視聴です。

しかし、やはり小出恵介さんの不祥事は残念でなりません。演技力のある俳優で、個人的にも好きな俳優さんだっただけに、その才能が埋もれてしまったことが非常にもったいないと感じます。演技の安定感や繊細な表現力には目を見張るものがあり、彼の存在が作品に深みを与えていたのは間違いありません。

今回の『天使のナイフ』でも、その演技力は存分に発揮されており、役柄の複雑な感情や葛藤を自然に表現していました。もし不祥事がなければ、さらに多くの名作で彼の演技を見ることができたのだと思うと、とても残念です。才能ある俳優が表舞台から去るのは、やはりファンとしても作品としても大きな損失だと感じます。

★★★☆☆

作品概要

原作は薬丸岳の『天使のナイフ』、第51回江戸川乱歩賞受賞作です。
脚本は尾西兼一。
主演は小出恵介、その他出演者には倉科カナ、藤本泉、千葉雄大、若村麻由美ほか。

2015年春にWOWOWで放送されました。全5話。「少年法」となんなのか。「少年法」にみる更生を問いかけるドラマです。事件に隠された妻の過去と数々の罠が…。

作品の紹介・あらすじ

あらすじ
カフェの店長・桧山(小出恵介)は、ある日、妻(藤本泉)を13歳の少年たち(村上虹郎、北村匠海、清水尋也)に殺害される。彼らは刑事責任能力を問われず、 少年法によって守られた。一方、桧山や妻の母(若村麻由美)は、マスコミに追われ、生活の全てを白日の下にさらされた。
それから4年。桧山は妻の友人の保育士(倉科カナ)や店員(千葉雄大)の警告を無視して、社会に復帰した少年たちの「更生」の結果と、「現状」を人知れず調べ始める。だが、その直後から、少年たちが次々と命を狙われ始める。
刑事たち(手塚とおる、町田啓太)は、桧山を第一容疑者とし追うことに。桧山が妻を殺した犯人が少年と知った際、マスコミの前で「国家が罰せないのなら、自分が犯人を殺してやりたい」と発言したからだった。
警察や人権派弁護士、ジャーナリストからの攻撃に追われながらも、少年たちの真の姿を探るため奔走する桧山。次第に少年法の裏に隠されていた真実が明らかになる。

連続ドラマW

感想・その他

WOWOWの連続ドラマ『天使のナイフ』ですが、主演の小出恵介さんの問題の影響か、現在WOWOWの連続ドラマ一覧から削除されているようです。視聴できる環境は限られてしまいましたが、物語自体は非常に重厚で考えさせられる内容でした。

ドラマは、カフェ店長の桧山貴志(小出恵介)の妻が、3人組の中学生によって無残に殺されるところから始まります。少年法によって守られる加害少年たちに対して、被害者遺族はプライバシーも同情も与えられず、執拗にマスコミの取材を受ける状況が描かれます。桧山は「犯人たちをこの手で殺してやりたい」と感情的な発言をしてしまい、その瞬間から世間の容赦ないバッシングに晒されることになります。その心理描写や社会からの圧力の描き方は、視聴者としても息苦しさを感じるほどリアルです。

物語が進むにつれ、事件がなぜ起きてしまったのか、その背景や加害者たちの心情が少しずつ解き明かされていきます。前半の怒りや悲しみが、後半では理解や複雑な感情に変わっていく過程が丁寧に描かれており、単なる復讐劇では終わらない深みがあります。

近年の社会状況を考えると、被害者遺族が過剰にバッシングされる描写は少なくなりつつあるように感じます。今では、加害者情報がネットで瞬時に拡散され、事実無根のことまで書き立てられることが珍しくありません。顔写真や住所まで晒される現状を見ると、本当に恐ろしいネット社会になったものだと実感します。ドラマ内で描かれるような、被害者が嫌がらせで生卵を投げつけられるシーンは現実の日本ではほとんど考えられませんが、演出としての衝撃度は視聴者に強烈な印象を与えます。

全体として、このドラマは事件の悲劇性だけでなく、社会や法律、そしてネット社会における情報の扱いにまで視点を広げて考えさせられる作品でした。演出やストーリーの緊張感も高く、社会的なメッセージが強く印象に残るドラマです。

コメント